BWF世界選手権2023(デンマーク・コペンハーゲン)は、8月26日、各種目の準決勝が行なわれた。
男子シングルスでは、奈良岡功大が地元・デンマークのアンダース・アントンセンを破り、昨年に続く2度目の出場となった世界選手権で初の決勝進出を決めた。決勝で奈良岡と対戦するのは、同世代のクンラビット・ビティサラン(タイ)。クンラビットは準決勝では、王者・アクセルセンを破ったプラノイ・H.S.(インド)に対し、第1ゲームを失ったが、逆転で勝利。世界選手権では昨年に続く2年連続の決勝進出を決めている。
女子シングルスは、キャロリーナ・マリーン(スペイン)が、世界選手権2連覇中の山口茜をストレートで破って、2018年以来となる決勝進出を決めた。もう一方の準決勝は、アン・セヨン(韓国)が陳雨菲(中国)にストレート勝利。アン・セヨンは今季絶好調で、今年8月に山口に代わり世界ランキング1位になっている。世界選手権初制覇をねらうアン・セヨンの前に、3度の優勝経験のあるマリーンが立ちはだかるか。
男子ダブルスでは、地元の後押しに奮闘が続くキム・アストルップ/アンダース・スカルップ・ラスムセンが、中国の王昶/梁偉鏗をファイナルゲーム21-19の接戦で制して決勝へ進んだ。また、韓国の徐承宰/カン・ミンヒュクが前年覇者のアーロン・チア/ソー・ウィーイク(マレーシア)を破り、決勝進出を決めた。
女子ダブルスの決勝カードは、陳清晨/賈一凡(中国)とラハユ/ラマダンティ(インドネシア)。それぞれ準決勝では、陳清晨/賈一凡は中国対決を制し、ラハユ/ラマダンティは金昭英/孔熙容(韓国)に勝利した。
混合ダブルスは、第1シードの鄭思維/黄雅瓊(中国)が中国対決を制し、2年連続で決勝へ。4回目の世界選手権制覇をねらう鄭思維/黄雅瓊は、準決勝で渡辺勇大/東野有紗を破った徐承宰/蔡侑玎(韓国)と決勝を争う。なお、徐承宰は男子ダブルス、混合ダブルスの2種目で決勝進出を果たしている。
以下は、注目選手の準決勝後のコメント。
クンラビット・ビティサラン(タイ)
男子シングルス:プラノイ・H.S.(インド)に2-1で勝利
「(奈良岡選手について)皆が思っているのと同じで、彼は今、すごく実力がある選手。特にすばらしいディフェンスをもっている。決勝で対戦するなら、自分にとってすごく大変な試合になるはず」(※先に決勝進出を決め、コメント時には対戦相手は決まっていなかった)
アンダース・アントンセン(デンマーク)
男子シングルス:奈良岡功大(日本)に0-2で敗退
「本当にキツい試合だった。彼はすごくタフな選手だから、それに対抗できるように準備をしていたけど、試合中は体力的につらかった。第1ゲームはリードしていたし自分のパフォーマンスもよかったと思う。その第1ゲームで逆転されたことについては、これからずっとずっと長い間考え続けることになると思う。試合の映像をすぐに見るつもりでいるけど、この敗戦を受け入れるのは時間が必要だ。
コートから見えたたくさんの国旗、会場からの大声援は今まで体験したことない最高の時間だった。サポートしてくれた観客皆に感謝を伝えたい」
キャロリーナ・マリーン(スペイン)
女子シングルス:山口茜(日本)に2-0で勝利
「目標にしていた決勝に進めて、うれしすぎて涙が出た。今の気持ちは言葉では言い表せません。ケガをしてからここに来るまでに、自分を信じて前向きに諦めないで努力を重ねてきましたが、正直に言えば、もう二度とトップには戻れないかもしれないということが頭に浮かび、気持ちを保つのが難しいときもありました。そういった大変な日々を乗り越えて、たった一つの目標を掲げ、この世界選手権に挑みました。自分自身を信じ続けることは難しい。でもその目標が達成できることを私は自分自身に証明することができた瞬間でした。
今日の試合は、メンタルがカギになったと思います。また、私にとって第1ゲームを取る事は重要でした。第1ゲームを取ったことで、私は最後の1点まで諦めずに戦う気持ちがあることを対戦相手に示すことができた。相手は勝ちたいという気持ちが私よりも足りていなかったようにも思う。私は絶対にギブアップしないし、最後まで戦い続けます」
アストルップ(左)&ラスムセン(デンマーク)
男子ダブルス:第3シードの王昶/梁偉鏗(中国)に2-1で勝利
アストルップ「1点を取り合う展開になったとき、会場の大声援は100パーセント僕たちの背中を押してくれて、勝利に導いてくれた。もし、今日の試合がどこか別の場所で行なわれていたら、絶対負けてた! 今日ここに来てくれたサポーターの皆には感謝してもしきれない」
ラスムセン「1点入るたびに沸いた会場の大声援は、まるでサッカーの試合でオーバータイムにゴールを決めて逆転勝ちしたかのような迫力だったよ。自分たちの声もコーチの声も何も聞こえなかった! こんな経験ができて本当に感謝してるし、感動した」
徐承宰(左)/蔡侑玎(韓国)
混合ダブルス:渡辺勇大/東野有紗(日本)に2-0で勝利
「いつも負けている相手なので、過去の対戦映像を繰り返し見返してじっくり研究を重ねて今日の試合に備えた。彼らはほぼ弱点のないペアなので、どうやったら相手のミスを誘えるがカギになる試合だった。試合中はお互い、いつもよりコミュニケーションを取るように心がけ、さらにこちらの作戦がうまくハマり、結果につながったと思う」
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取材/ボイス春野 構成/バドミントン・マガジン編集部
写真/Badmintonphoto