8月24日に開催されたBWF世界選手権2023(デンマーク・コペンハーゲン)4日目は、各種目3回戦が行なわれた。日本勢は海外のライバルと激戦を繰り広げ、男子ダブルスを除く4種目でベスト8に勝ち残っている。
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男子シングルスは、西本拳太(上写真・手前)が2-0で常山幹太との同国対決を制して初のベスト8進出を決めた。2024年パリ五輪の出場権獲得に必要となる「世界ランク16位以上、日本勢2番手以内」の2番手を争っている2人の直接対決。立ち上がりは西本が9-2とリードしたが、風下から高い球を使い始めた常山がレシーブから立て直すと、1点を奪い合う大接戦となった。
西本は第1ゲームを18オールから抜け出して19本で先取。第2ゲームは中盤14-16で逆転を許したが、同点に追いつくと、フォアハンドのロングサービスで相手に打たせる作戦に変更。「バックハンドからのサービスを打とうか迷ったけど、直感に従って成功だった。互いに息が上がっていて(強打を)打つ方がきついだろうという判断。勇気を持ってできた」と手応えを語った西本が、最後は相手のロブのバックアウトを誘うラリーに成功して17本で勝利を収めた。同種目では、第4シードの奈良岡功大(FWDグループ)も初の8強入り。李卓耀(リー・チョクイゥ/香港)を相手に、第2ゲームは14-0までリードするなど危なげない勝ち方だった。
女子シングルスでは、奥原希望(上写真)がラチャノック・インタノン(タイ)に2-0で勝利。日に日にパフォーマンスを上げており、クリアーのコントロールに悩む相手に優位性を保ち続けた。第1ゲームを19本で競り勝つと、第2ゲームは14-13から3連続得点で引き離す。15点目は、長いラリー。アウトになる球を見送ると、コートに倒れ込み、四つ這いの姿勢で呼吸を整えた。「相手がどこまで疲れているか見えていなかったけど、相手が我慢しきれず(決め急いでアウトに)出してくれた。集中を切らさずに捕らえられたところから(連続得点で)ガッといけたのは、大きな境目だった」と勝負所を振り返った。
終盤に追い上げを受けたが、16本に抑えて逃げ切った。3大会ぶりの出場だが8強入り。プレー内容だけでなく成績面でも上位戦線への復帰を印象付けた。同種目で3連覇をめざす山口茜は相手棄権のため不戦勝で準々決勝進出が決まった。
女子ダブルスは、2組が8強入り。福島由紀(手前)/廣田彩花は、李汶妹(リー・ウェンメイ)/劉玄炫(リュウ・シュアンシュアン/中国)に7本、15本の2-0で快勝。相手が得意とするドライブを待ち受けて先手を取らせず、得意の守備から組み立てる試合に持ち込んだ。相手の特長を消す戦い方で勝ち上がったのは、志田千陽/松山奈未も同じ。2連敗中の中西貴映/岩永鈴を相手に、ロングサービスを用いて相手が得意とするドライブ戦を避ける形で主導権を握った。
松本麻佑/永原和可那は、タン/ティナ(マレーシア)との攻撃型ペア対決に0-2で敗戦。五輪レース開幕後の大会で、初めて8強入りを逃した。終盤は足がもつれるほどの連続レシーブで耐えて形勢逆転をねらう場面もあったが、守備の時間が長過ぎた。
混合ダブルスで2大会連続銀メダルの渡辺勇大(上写真・右)/東野有紗は、順調に8強入り。第2ゲーム終盤に追い上げを受けたが、しっかりとストレートで勝ち切った。男子ダブルスの保木卓朗/小林優吾は、インドネシアのマウラナ/フィクリに0-2で敗退。第1ゲームを18-12から20-22で落としたのが痛かった。小林は「どうしても 1点が欲しいと無意識に思って力んでしまった」と単調に陥り、ミスが出た戦いぶりを悔しがった。
24日の結果と準々決勝の対戦カードは以下の通り。
【男子シングルス】
▼3回戦(8月24日)
奈良岡功大②〔21−11、21−4〕0●李卓耀(香港)36分
西本拳太②〔21−19、21−17〕0●常山幹太56分
▼準々決勝(8月25日)
ビクター・アクセルセン(デンマーク) − プラノイ・H.S.(インド)
クンラビット・ビティサラン(タイ) − 王子維(台湾)
奈良岡功大 − 石宇奇(中国)
西本拳太 – アンダース・アントンセン(デンマーク)
【女子シングルス】
▼3回戦(8月24日)
奥原希望②〔21−19、21−16〕0●ラチャノック・インタノン(タイ)47分
山口茜 ◯キケン● ブサナン・ンバルンパン(タイ)
▼準々決勝(8月25日)
奥原希望 − アン・セヨン(韓国)
陳雨菲(中国) − 王祉怡(中国)
戴資穎(台湾) − キャロリーナ・マリーン(スペイン)
山口茜 – グレゴリア・マリスカ・トゥンジュン(インドネシア)
【男子ダブルス】
▼3回戦(8月24日)
保木卓朗/小林優吾●0〔20−22、18−21〕②マウラナ/フィクリ(インドネシア)43分
▼準々決勝(8月25日)
セティアワン/アッサン(インドネシア) − 徐承宰/カン・ミンヒュク(韓国)
アーロン・チア/ソー・ウィーイク(マレーシア) − 劉雨辰/欧烜屹(中国)
マウラナ/フィクリ(インドネシア) − 王昶/梁偉鏗(中国)
アストルップ/ラスムセン(デンマーク) − シェティ/ランキレッディ(インド)
【女子ダブルス】
▼3回戦(8月24日)
志田千陽/松山奈未②〔21−13、21−11〕0●中西貴映/岩永鈴40分
松本麻佑/永原和可那●0〔14−21、20−22〕②タン/ティナー(マレーシア)48分
福島由紀/廣田彩花②〔21−7、21−15〕0●李汶妹/劉玄炫(中国)42分
▼準々決勝(8月25日)
志田千陽/松山奈未 − 陳清晨/賈一凡(中国)
タン/ティナー(マレーシア) − 鄭雨/張殊賢(中国)
金昭英/孔熙容(韓国) − ジョンコパン/ラウィンダ(タイ)
福島由紀/廣田彩花 – ラハユ/ラマダンティ(インドネシア)
【混合ダブルス】
▼3回戦(8月24日)
渡辺勇大/東野有紗②〔21−14、21−17〕0●クシャリジャント/クスマワティ(インドネシア)35分
▼準々決勝(8月25日)
鄭思維/黄雅瓊(中国) − 金ワンホ/鄭ナウン(韓国)
クリスチャンセン/ボエ(デンマーク) − 蒋振邦/魏雅欣(中国)
徐承宰/蔡侑玎(韓国) − デチャポル/サプシリー(タイ)
渡辺勇大/東野有紗 – チェン・タンジェ/トー・イーウェイ(マレーシア)
取材・文・写真/平野貴也