7月25日にBWFワールドツアー・ダイハツジャパンオープン(代々木第一体育館/Super750)が開幕。大会初日は、各種目1回戦が行なわれた。日本勢は女子シングルスで3連覇をめざす山口茜や、男子シングルスの奈良岡功大らが初戦を突破している。
日本勢の最大のハイライトは、奈良岡(上写真)の試合だった。1回戦でブライアン・ヤン(カナダ)と対戦。応援に駆けつけた浪岡ジュニアの後輩が2階席から「1本、功大!」と声援を送り続ける中、得意のラリーで相手を振り回した。しかし、ロブに跳びついてくる相手の鋭い攻撃で点を奪われる場面もあり、リードをしても点差を広げられず、ファイナルゲームまで競り続けて92分を要する大接戦に。最後は、奈良岡がスマッシュを決めて2-1で勝利。仰向けで大の字になり、達成感を表した。
前週の韓国OP(S500)を準決勝まで戦った奈良岡は、大会前日に帰国したばかり。「応援って力になるなと思いました。動きは悪くない。最後、勝ち切れたので。あれで負けていたら全然ダメですけど。疲労も残っているので休みたい」と安どの表情。1日の休養で回復を図り、27日の2回戦に臨む。
同じく韓国OPを準決勝まで戦った山口は、日本勢の先陣を切って10時開始の第1試合に登場。格下のアカラシ・カシャップ(インド)との対戦は、連戦の疲労もあって2ゲームとも17本での勝利。圧勝とは言い難い試合の流れだったが、安定した強さを見せつけた。
初戦にかける思いが強く伝わったのは、女子ダブルスの志田千陽/松山奈未(上写真・左)。ラハユ/ラマダンティ(インドネシア)を相手に、サービスまわりから積極的なプレーを仕掛け続ける。第2ゲームでは、志田がバレーボールのような回転レシーブでピンチをしのいで点を取るなど集中力を発揮。ファイナルゲームも先手を取る姿勢を崩さず2-1で勝利を飾った。「(五輪レースで2組を追う立場で)後がない状況で戦っているのでプレッシャーもありましたが、悔いなく試合をしたい気持ちが一番で、それをやり切れた」と話した志田。試合後は、強い緊張感からの解放で、勝ってすぐに涙を浮かべていた。
このほか、混合ダブルスの渡辺勇大(上写真・右)/東野有紗、女子ダブルスの福島由紀/廣田彩花、櫻本絢子/宮浦玲奈、加藤佑奈/廣上瑠依が初戦を突破した。渡辺/東野は、東京オリンピックの準々決勝で対戦したインドネシアペアに付つけ入る隙を与えずに完勝。福島/廣田は、前週の韓国OPで敗れた中国ペアに2-0で雪辱。安定したレシーブが光った。廣上/加藤はジャパンOP初出場。加藤は緊張したと話したが、廣上は「小学生の頃から観客席で見てきた、憧れの舞台」と初出場を喜んだ。
また、試合には敗れたものの、手応えをつかんだ選手もいた。度重なるケガで欠場や棄権が続く女子シングルスの奥原希望だ。1回戦は韓国選手に0-2で敗れたが、4カ月ぶりに1試合を最後まで戦い抜いた。動きも体力も十分ではなく「思ったより、できたかなというのが率直な感想。怖さはないけど、1試合フルで戦えるかどうかの確認ができていなかった」と復調途上を認めたが、次戦の世界選手権に向けた足掛かりを刻めたことをポジティブと表現。復活に意欲を示した。
25日の結果は以下の通り。
【男子シングルス】
▼1回戦(7月25日)
奈良岡功大②〔21−18、17−21、21−19〕1●ブライアン・ヤン(カナダ)92分
【女子シングルス】
▼1回戦(7月25日)
山口茜②〔21−17、21−17〕0●アカラシ・カシャップ(インド)34分
奥原希望●0〔14−21、10−21〕②金ガウン(韓国)37分
【女子ダブルス】
▼1回戦(7月25日)
志田千陽/松山奈未②〔21−12、16−21、21−13〕1●ラハユ/ラマダンティ(インドネシア)66分
保原彩夏/水津優衣●1〔21−11、15−21、14−21〕②ジョリー/プレラ(インド)65分
櫻本絢子/宮浦玲奈②〔21−13、23−21〕0●スミス/バーチ(イングランド)41分
加藤佑奈/廣上瑠依②〔21−17、21−15〕0●A・シュー/K・シュー(アメリカ)39分
福島由紀/廣田彩花②〔21−17、21−14〕0●李汶妹/劉玄炫(中国)59分
【混合ダブルス】
▼1回戦(7月25日)
緑川大輝/齋藤夏●0〔8−21、13−21〕②鄭思維/黄雅瓊(中国)29分
渡辺勇大/東野有紗②〔21−13、21−8〕0●ジョルダン/オクタビアンティ(インドネシア)30分
取材・文/平野貴也
写真/菅原淳