国内のトップ選手が集う2023日本ランキングサーキット(埼玉・サイデン化学アリーナ)が、5月27日に開幕。勢いある若手が多くエントリーし、日本バドミントン界の将来を占う戦いがくり広げられている。大会3日目の29日は各種目準々決勝が行われ、ベスト4が出そろった。ここでは女子シングルスのダイジェストを紹介する。
【女子シングルス】
高校2年生になったばかりの16歳、宮崎友花(柳井商工高/上写真)の勢いが止まらない。準々決勝の相手は、柳井商工高で2学年上にいた明地陽菜(再春館製薬所)。3月まで同じ高校にいた先輩に対し、ひるむことなくラリー勝負を挑んでストレート勝ちを収めた。
序盤からクロスカットがノータッチで決まり、宮崎がリードする展開もラリーは互角。折り返しは11-9で明地。しかし、ふわりと落ちるドロップに加え、フォアからのストレートスマッシュも決まり、第1ゲームは21-19で宮崎が奪った。先輩として負けられない明地は、フォア奥、ラウンドと宮崎を揺さぶり、いい形で打たせないようにしてミスを誘う。宮崎を攻略するにはいい作戦だが、ゲーム中の修正能力が高いのも宮崎の武器。ミスを重ねることなくラリーを刻み、気づいてみれば点差が開き、20-15で宮崎がマッチポイント。最後はラウンドからのクロスカットがノータッチで決まり、先輩との対決を制した。
準決勝で宮崎と対戦するのは、2017年に優勝している日本B代表の仁平菜月(ヨネックス)。柳井商工高出身の水津愛美(ACT SAIKYO)とのB代表対決は、お互いにスピード全開の好勝負となった。スマッシュを打ち込み、拾い、ネットを切り、また拾い、長い長いラリーが続く。勝負を分けたのは、ほんの少しのミスや、焦りの気持ちだったのだろうか。敗者となった水津を何も攻められない、素晴らしい戦いだった。
第1シードの髙橋明日香(ヨネックス/上写真)は、小西春七(丸杉)に2-0で勝利。ダブルスでも勝ち上がっていた小西は動きもよく、B代表の髙橋と互角のラリーを展開。しかし、前日の2回戦でも厳しい戦いを制してきた髙橋は、リードされても焦ることなく自分のプレーを展開。勝負どころをきっちり決めて、一番乗りでベスト4進出を決めた。2019年以来となる優勝まで、あと2つだ。
髙橋と対戦するのは、同じB代表の栗原あかり(筑波大/上写真)。4月の大阪国際チャレンジ(IC)で優勝するなど好調の齋藤栞(ACT SAIKYO)を、得意のクロスショット、フェイントショットで翻弄した。
第1ゲームは21-13で栗原。第2ゲームは齋藤が大きく左右に栗原を揺さぶり、21-13で奪い返すが、ファイナルゲームは栗原のフェイントショットが再び炸裂。強気にスマッシュを打ち込む攻撃力も光り、最後は齋藤のボディに打ち込んで決めた。学生選手のベスト4進出は、2014年に富岡高の大堀彩(現・トナミ運輸)が優勝して以来のこと。快挙達成なるか、まずは準決勝のB代表対決に注目したい。
▼準々決勝(5月29日)
髙橋明日香(ヨネックス)②〔21-17、21-18〕0●小西春七(丸杉)
栗原あかり(筑波大)②〔21-13、13-21、21-14〕1●齋藤栞(ACT SAIKYO)
宮崎友花(柳井商工高)②〔21-19、21-15〕0●明地陽菜(再春館製薬所)
仁平菜月(ヨネックス)②〔23-21、21-18〕0●水津愛美(ACT SAIKYO)
▼準決勝(5月30日)
髙橋明日香(ヨネックス) − 栗原あかり(筑波大)
宮崎友花(柳井商工高) − 仁平菜月(ヨネックス)
取材・文/平田美穂
写真/菅原淳