国内のトップ選手が集う2023日本ランキングサーキット（埼玉・サイデン化学アリーナ）が、5月27日に開幕した。勢いある若手が多くエントリーし、日本バドミントン界の将来を占う戦いがくり広げられている。大会2日目の28日は各種目2回戦が行なわれ、ベスト8が出そろった。ここではダブルス3種目のダイジェストを紹介する。

【女子ダブルス】

昨年優勝の第1シード、大竹望月／髙橋美優（BIPROGY）が2-0で勝利。高校時代からペアを組む2人が、ACT SAIKYO期待の新鋭、大澤陽奈／倉島美咲とのスピード勝負を制した。準々決勝の相手は、石川心菜／古根川美桜（NTT東日本）。パワー全開の高崎夏実／田部真唯（山陰合同銀行）を2-0で倒してきた、高校卒1年目のペアの挑戦を受ける。

高校生ペアで唯一勝ち残ったのが、清瀬璃子（上写真・左）／藤井史穂（青森山田高）。大学生ペアの小方里羽／去来川琴葉（龍谷大）にひるまず打ち続け、ファイナルゲーム21-19で勝利。最後は連続スマッシュで決めきり、ベスト8に進出した。準々決勝では、攻撃力が武器の川添麻依子／小西春七（丸杉）と対戦。挑戦はまだ続く。

B代表の保原彩夏／水津優衣（ヨネックス／ACT SAIKYO）は、1、2回戦を快勝。準々決勝では、こちらも快勝を重ねる矢﨑月子／内山真希（丸杉）と対戦する。混合ダブルスB代表が組む佐藤杏／佐藤灯（レゾナック）は、長身ペアの山藤千彩／志波寿奈（広島ガス）に2-1で勝利。準々決勝の相手は、同じく2-1で勝ち上がった毛利未佳／今井優歩（七十七銀行／YAMATO奈良）だ。

▼準々決勝（5月29日）

大竹望月／髙橋美優（BIPROGY）　−　石川心菜／古根川美桜（NTT東日本）

佐藤杏／佐藤灯（レゾナック）　−　毛利未佳／今井優歩（七十七銀行／YAMATO奈良）

保原彩夏／水津優衣（ヨネックス／ACT SAIKYO）　−　矢﨑月子／内山真希（丸杉）

清瀬璃子／藤井史穂（青森山田高）　−　川添麻依子／小西春七（丸杉）

【男子ダブルス】

ここまで安定した戦いを見せているのが、B代表の西田陽耶／目崎駿太郎（トナミ運輸）。レシーブから攻撃へ転じる形もスムーズに、コート内で躍動している。準々決勝の相手は、日立情報通信エンジニアリングの霜上雄一／野村拓海。どちらも負けられない戦いだ。

1回戦で社会人ペアを下した高校生2ペアは、いずれも敗退した。谷岡大后／松川健大（ふたば未来学園高）は、金子真大／大田隼也（トナミ運輸）に対して最初から気合十分。勢いよく第1ゲームを先取した。第2ゲームから速い攻めに対応され、12本、13本で敗れたが、点差以上に内容が濃い試合だった。

沖本優大／角田洸介（埼玉栄高）は、高校の先輩にあたる竹内宏気／小川桂汰（丸杉）に16本、11本で敗戦。前日の1回戦のように、戦術を変えて勝つことはできなかった。金子／大田は大学生で唯一勝ち残っている小川航汰／熊谷翔（日本大）と、竹内／小川は長身の左右ペア、西川裕次郎／仁平澄也（NTT東日本）と、それぞれ準々決勝で対戦する。

最後にベスト8入りを決めたのが、柴田一樹（上写真・左）／山田尚輝（NTT東日本）。全日本総合優勝経験を持つ玉手勝輝（日立情報通信エンジニアリング）が、同チームの高校卒ルーキー、岩野滉也を引っ張るペアに2-1で勝利。ファイナルゲームにもつれる激闘は、終盤に岩野がミスを重ねて21-15で決着。最後は柴田がスマッシュ、山田がネット前で仕留める最高の形でゲームオーバー。同じくファイナル勝負を制した農口拓弥／林谷理貴（大同特殊鋼／三菱自動車京都）と、ベスト4をかけて対戦する。なお、柴田と竹内宏気は、混合ダブルスと2種目でベスト8入りしている。

▼準々決勝（5月29日）

小川航汰／熊谷翔（日本大）　−　金子真大／大田隼也（トナミ運輸）

霜上雄一／野村拓海（日立情報通信エンジニアリング）　−　西田陽耶／目崎駿太郎（トナミ運輸）

竹内宏気／小川桂汰（丸杉）　−　西川裕次郎／仁平澄也（NTT東日本）

柴田一樹／山田尚輝（NTT東日本）　−　農口拓弥／林谷理貴（大同特殊鋼／三菱自動車京都）

【混合ダブルス】

5試合がファイナルゲームとなった混合ダブルス2回戦。2-0で真っ先に勝ち名乗りを挙げたのは、柴田一樹／尾﨑沙織（NTT東日本）だ。ロングレシーブを得意とする尾﨑が男子のスマッシュをしっかり返し、相手をじわじわ追い詰めてチャンスをつくり得点。点差を詰められる場面もあったが、柴田の豪快なスマッシュでラリーを切れるのが強み。準々決勝では、同じく2-0で勝ち上がった佐野大輔／今井優歩（ジェイテクト／YAMATO奈良）と対戦する。

2-0で勝利したもう一つのペアが、下農走／重田美空（トナミ運輸／ACT SAIKYO）。サウスポー・下農のセンスとシングルスで鍛えたカバー力に、重田の思いきりのよさ、さらに2人の強気の姿勢が、試合を重ねるごとに合っていく。準々決勝で対戦するのは、大学生ペアの勢いを打ち返して2-1で勝利した荒井大輝／佐藤萌（レゾナック）だ。

混合ダブルスB代表ペアは明暗を分けた。「明」となったのが、江藤佑太（上写真／左）／神山歩美（東海興業／七十七銀行）。木田悠斗／朝倉みなみ（龍谷大／福井県協会）に大苦戦するも、2人で声を出して気持ちを切らさず、ファイナルゲーム21-19で勝利した。最後のラリーをスマッシュで決めた江藤は、床に仰向けになってしばらく起き上がれず。試合中も試合後も2人で話し合う姿に、明日以降への意欲が感じられた。準々決勝の相手は、同チーム対決を2-1で制した、市川和洋／水津優衣（ジェイテクト／ACT SAIKYO）だ。

昨年の全日本総合ベスト4でB代表に選出された、西大輝／佐藤灯（龍谷大／レゾナック）は、竹内宏気／内山真希（丸杉）に1-2で敗れた。序盤からエンジン全開で得点を重ねていく竹内／内山が第1ゲームを先取。第2ゲームを21-14で取り返した西／佐藤が流れをつかむかと思われたが、ファイナルゲームは序盤から竹内／内山がリードし、21-11という大差でゲームオーバーとなった。準々決勝の相手は、大逆転で勝ち上がった山澤直貴／本田恵利奈（コンサドーレ／北海道バーバリアンズ）。どちらが先に流れをつかむか、最初から目が離せない。

▼準々決勝（5月29日）

竹内宏気／内山真希（丸杉）　−　山澤直貴／本田恵利奈（コンサドーレ／北海道バーバリアンズ）

佐野大輔／今井優歩（ジェイテクト／YAMATO奈良）　−　柴田一樹／尾﨑沙織（NTT東日本）

下農走／重田美空（トナミ運輸／ACT SAIKYO）　−　荒井大輝／佐藤萌（レゾナック）

市川和洋／水津優衣（ジェイテクト／ACT SAIKYO）　−　江藤佑太／神山歩美（東海興業／七十七銀行）

取材・文／平田美穂

写真／平野貴也