国内のトップ選手が集う2023日本ランキングサーキット(埼玉・サイデン化学アリーナ)が、5月27日に開幕した。勢いある若手が多くエントリーし、日本バドミントン界の将来を占う戦いがくり広げられている。大会2日目の28日は各種目2回戦が行なわれ、ベスト8が出そろった。ここでは男女シングルスのダイジェストを紹介する。
【女子シングルス】
女子シングルスは、日本B代表5人がベスト8入り。第1シードの髙橋明日香(ヨネックス/上写真)は、同チームの木村百伽に第1ゲームを奪われるも、我慢しながら持ち味である大きなプレーを展開して2-1で勝利。準々決勝では、ダブルスでもベスト8入りしている小西春七(丸杉)と対戦する。また、水津愛美(ACT SAIKYO)と仁平菜月(ヨネックス)は2-0で勝利。準々決勝は、2人によるB代表対決だ。
大会初日から好調ぶりが光る齋藤栞(ACT SAIKYO/上写真)は、昨夏のインターハイ女王・吉川天乃(丸杉)に21-13、21-9で勝利。ショットの安定感、特にクリアーとロブのコントロールが抜群で、余裕すら感じられるラリー展開で快勝した。準々決勝で齋藤と対戦するのは、B代表の栗原あかり(筑波大)。妹・琉夏(NTT東日本)との姉妹対決を、ファイナルゲーム21-14で制して勝ち上がった。試合後、穏やかな表情でコートを去った姉に対し、負けた妹の目には涙。なんともつらい直接対決だった。
B代表で世界ジュニア女王の宮崎友花(柳井商工高/上写真)は、この日もコートで輝きを放った。昨年の全日本総合でも勝っている水井ひらり(NTT東日本)との再戦は、21-15、21-5と快勝。常に先手を取ってラリーを展開し、絶妙なフェイントショットやクロスカットでノータッチエースを奪った。中学時代から「ラリーの組み立てが好き」と言っていたが、恐るべきラリー力だ。準々決勝の相手は、柳井商工高の2学年先輩にあたる明地陽菜(再春館製薬所)。サウスポーからの絶妙なショットで社会人選手を翻弄してきたが、後輩との対決はどんな結末になるだろうか。
▼準々決勝(5月29日)
髙橋明日香(ヨネックス) − 小西春七(丸杉)
齋藤栞(ACT SAIKYO) − 栗原あかり(筑波大)
宮崎友花(柳井商工高) − 明地陽菜(再春館製薬所)
水津愛美(ACT SAIKYO) − 仁平菜月(ヨネックス)
【男子シングルス】
第1シードの田中湧士(NTT東日本)は、同じ日本B代表の村本竜馬(ジェイテクト)に2-0で勝利。ともに昨年の全日本総合ベスト4という2人の対戦は、21-18、21-19という僅差の勝負だった。比較的低い展開のラリーで挑む村本がリードする場面も、田中は我慢して点差を離されず、勝負所できっちり得点を奪う。大差がつかなくても2-0で勝ちきれるのは、ショットもフットワークも気持ちも安定しているからだろう。準々決勝では、五十嵐優(BIPROGY)と対戦。高校選抜三冠の沖本優大(埼玉栄高)をストレートで退けたスピードにどう対応するか、楽しみな組み合わせだ。
唯一のファイナル勝負が、武井凛生(NTT東日本/上写真)とB代表の大林拓真(トナミ運輸)との対決。互いに攻撃力が持ち味で、序盤から激しい打ち合いを展開。ファイナルゲームは大林の勢いが止まり、最後まで打ち続けた武井が21-8と大差をつけて勝利を収めた。武井は準々決勝で、2-0で勝ち上がったB代表の高橋洸士(トナミ運輸)と対戦する。一昨年優勝の古賀穂(NTT東日本)と小川翔悟(ジェイテクト)も、2-0勝利で準々決勝進出。明日の対戦では、どちらが先に流れをつかむか注目したい。
気合の声がひときわ響いていたのが、サウスポーの川本拓真(BIPROGY)。B代表の秦野陸(トナミ運輸)に対し、序盤から集中力を高めて攻撃。第1ゲームを奪うと、第2ゲームも集中と気合は途切れない。最後は左からのストレートスマッシュがライン際に決まり、拳を握りしめた。準々決勝の相手は、同チームの先輩でB代表の渡邉航貴。高校の先輩にあたる竹内宏気(丸杉)に快勝して勢いに乗っている。互いに好調であり手の内を知る同士、長い戦いになりそうだ。
▼準々決勝(5月29日)
田中湧士(NTT東日本) − 五十嵐優(BIPROGY)
古賀穂(NTT東日本) − 小川翔悟(ジェイテクト)
渡邉航貴(BIPROGY) − 川本拓真(BIPROGY)
高橋洸士(トナミ運輸) − 武井凛生(NTT東日本)
取材・文/平田美穂
写真/平野貴也