5月20日に開催された世界国・地域別男女混合団体戦スディルマン杯2023(中国・蘇州)7日目は、決勝トーナメント・準決勝が行なわれた。準々決勝でタイと対戦した日本は、大接戦となった勝負を3-2で制して準決勝に進出。その準決勝では、優勝候補の中国と対戦した。
結果一覧は こちら
第1試合の混合ダブルスは、準々決勝に続き山下恭平(上写真・右)/篠谷菜留を起用。中国は準々決勝に出場した世界ランク1位の鄭思維(ツェン・シーウェイ)/黄雅瓊(ファン・ヤーチョン)ではなく、馮彦哲(フォン・イェンジァ)/黄東萍(ファン・ドンピン)で勝負に出る。
その第1ゲーム、先制したのは日本。「プレッシャーは中国選手のほうが大きかったと思います。自分たちは向かっていけた」と山下。強敵との激しいラリーの応酬は24オールまで続いたが、最後は山下/篠谷が2連取して中国ペアにプレッシャーをかける。地元開催で負けられない馮彦哲/黄東萍も、第2ゲームはねばり強いディフェンスを見せて21-18で奪い返し、勝負の行方はファイナルゲームへ。すると、前半にペースを握った中国ペアが18-12と6点差をつけたのに対し、ここから山下/篠谷が猛追。山下のスマッシュや篠谷の鋭いドライブなどで3連続得点。さらに攻撃の手を緩めない日本ペアが20オールに持ち込むと、最後は相手のミスをうまく誘った山下/篠谷が24-22で逆転勝利。日本が貴重な先制ポイントをつかむ。「私が気持ちで引いてしまって流れがこなかったところを、山下がカバーしてくれた。それで最後は勝ち切れたと思います」(篠谷)
続く第2試合は男子シングルス。ここは世界ランク3位の奈良岡功大(上写真)で勝利をめざした日本に対し、中国は経験豊富な石宇奇(シー・ユーチー)で勝利をねらう。過去の対戦成績では石宇奇がリードしているものの、第1ゲームを先制したのは奈良岡。序盤こそ相手にペースを握られたが、中盤から奈良岡のレシーブが冴えわたる。鋭いクロススマッシュをショートリターンで返してポイントにつなげると、奈良岡がリズムよく得点を重ねて21-13で制した。
第2ゲームに入ると、逆転をねらう石宇奇がペースアップ。奈良岡の得意なネットプレーを封じながら、自分の攻撃につなげて21-15で奪い返した。互いに疲れも見えたファイナルゲームは、石宇奇がリードを奪って11-4。長いラリーに持ち込んでポイントをねらう奈良岡功だったが、勝負所となった中盤は石宇奇がさらにスピードアップ。鋭いショットで押し込んだ石宇奇が、最後は21-17で勝利。奈良岡は後半の追い上げが実らず、悔しい逆転負けとなった。
1-1の同点に戻された日本だが、続く女子シングルスに登場した山口茜(上写真)が、世界女王の本領を発揮。中国のエース、陳雨菲(チェン・ユーフェイ)に対して第1ゲームは積極的に攻撃を仕掛けて21-14で先制。さらに第2ゲームも、スピードを上げて対抗する陳雨菲に対して冷静にラリーを構築。「相手は地元開催などのプレッシャーがあったと思うし、今日はミスが多かったと思う」と山口。11-9で折り返した後は、13-10、18-13とリードを保って試合を進め、終盤も落ち着いて戦った山口が21-15で勝利。エースが安定感のあるプレーで白星をつかみ、日本が2-1で勝利に王手をかけた。
大きなポイントを得た日本は、前日の準決勝でチームを勝利に導く白星をつかんだ男子ダブルスの保木卓朗/小林優吾(上写真・左)が登場。第1ゲームから先手を奪ったのは日本ペア。中国の劉雨辰(リュウ・ユチェン)/欧烜屹(オウ・シュァンイ)に対して低空戦からチャンスをつくり、17オールから連続ポイントをつかんだ保木/小林が21-17で先制した。
第2ゲームは、中国ペアが得意のドライブ戦から主導権を握って21-19。ファイナルゲームに入って仕切り直すと、保木/小林が12-10から連続得点で19-13と大きくリード。日本の決勝進出が大きく近づいたかに見えたが、ここから劉雨辰/欧烜屹の逆襲が始まる。世界一を何度も経験する劉雨辰が、ネット前で巧みにラリーを支配、3連続ポイント、そして4連続ポイントで日本ペアに一気に接近する。20オールに持ち込んでからもその勢いは止まらず、最後は中国ペアがそのまま押し切って22-20で逆転勝ち。保木/小林は20-16と先にマッチポイントを握ったが、あと1点が遠く、悔しい黒星となった。
2-2でまわってきた女子ダブルスだったが、男子ダブルスの逆転勝利で流れは完全に中国へ。福島由紀/廣田彩花が陳清晨(チェン・チンチェン)/賈一凡(ジャ・イーファン)との勝負に挑むも、第1ゲームは序盤から相手の猛攻を止められず11-21。第2ゲームも中国の猛攻を防ぎ切れずに点差を離され、6-21で完敗。あと1点で決勝進出に迫った日本は、悪夢の大逆転負けでベスト4に終わった。
▼準決勝(19日)
XD 山下恭平/篠谷菜留②〔26−24、18−21、24−22〕1●馮彦哲/黄東萍106分
MS 奈良岡功大●1〔21−13、15−21、17−21〕②石宇奇91分
WS 山口茜②〔21−14、21−15〕0●陳雨菲48分
MD 保木卓朗/小林優吾●1〔21−17、19−21、20−22〕②劉雨辰/欧烜屹83分
WD 福島由紀/廣田彩花●0〔11−21、6−21〕②陳清晨/賈一凡48分
文/バドミントン・マガジン編集部
写真/BADMINTONPHOTO