2月12日にバドミントンの国内最高峰リーグ『S/Jリーグ2022』TOP4トーナメント&順位決定戦が、埼玉県さいたま市のサイデン化学アリーナで開催された。昨年11月に開幕したS/Jリーグは、約3カ月の期間でS&Jブロックリーグを戦い、各ブロックの上位2チームがTOP4に進出。3位以下は、S&Jブロックの同じ順位のチーム同士が激突した。ここでは、昨日に引き続き行なわれたTOP4トーナメントの男子決勝および3位決定戦を中心に、ダイジェストでお伝えする。
【TOP4】
決勝■トナミ運輸 vs ジェイテクト
前日、激戦の末にNTT東日本を下したトナミ運輸は、その前日と同じオーダーで決勝に臨んだ。一方、準決勝で日立情報通信エンジニアリングを破って初の決勝進出を果たしたジェイテクトは、トナミ運輸の第1ダブルス・園田啓悟(上写真・右)/保木卓朗に対し、キャプテンの宮嶋航太郎と内定選手の佐野大輔(法政大)という意表を突くオーダー。「昨日の疲れも残っていた」(保木)というトナミ運輸ペアだが、21-15、21-11のストレートで勝利し、5連覇に向けてチームを勢いづける。
続くシングルスでは、常山幹太が西本拳太(上写真)に対し第1ゲームを奪い、第2ゲーム終盤までリードを奪う展開で、トナミ運輸が一気に勝負を決めるかと思われた。しかし、ここから常山の連続失点に、西本が息を吹き返し、このゲームを21-19、ファイナルゲームを21-15と逆転勝利。ジェイテクトが勝負をタイに戻した。
それでも、このまま流れを渡さないのが王者の強さだろう。第2ダブルスの小林優吾/目崎駿太郎(上写真・手前)が、前日の準決勝でジェイテクトの勝利を決めている野田悠斗/相澤桃李をストレートで退け、ガッツポーズ。準決勝、決勝と第2ダブルスまでもつれる勝負となったが、トナミ運輸が王者の貫禄を見せてS/Jリーグ5連覇を果たした。なお、小林/目崎は大会MVP(最高殊勲選手賞)を獲得した。
一方、ジェイテクトは、西本拳太が古巣から貴重な勝利をもぎとり、見せ場をつくった。ダブルス陣も顕著な成長を見せており、初の決勝進出で頂点へあと一歩と迫ったのは、大きな収穫と言っていいだろう。
トナミ運輸・荒木純監督
「第1ダブルスをしっかり取れたのが大きかった。シングルスは負けましたが、気持ちのこもったプレーで次につなげてくれたし、それが第2ダブルスにつながった。どこのチームも強く、力は拮抗していて、なんとか2-1で勝てればと思っていました。そんな中で、5連覇できたのは、頼もしい選手たちのおかげです」
▼TOP4・決勝
トナミ運輸(Sブロック2位)2−1 ジェイテクト(Jブロック2位)
園田啓悟/保木卓朗②〔21−11、21−15〕0●宮嶋航太郎/佐野大輔
常山幹太●1〔21−19、19−21、15−21〕②西本拳太
小林優吾/目崎駿太郎②〔21−12、21−19〕0●野田悠斗/相澤桃李
3位決定戦■NTT東日本 vs 日立情報通信エンジニアリング
トナミ運輸を苦しめたNTT東日本が、日立情報通信エンジニアリングを2-0で下し、来季につながる手応えを得た。
NTT東日本の第1ダブルスは内定ペアの武井優太/遠藤彩斗(明治大)。日立情報通信エンジニアリングの霜上雄一/野村拓海に対し、ファイナルゲームにもつれる激戦となったが、ポイントを決めるごとに声を上げ、ガッツポーズを繰り出すなど向かっていく姿勢で、終盤の勝負どころをものにした。
続くシングルスでは、前日のトナミ運輸戦でA代表の常山から勝利を奪った田中湧士が、連日の躍動。同じく社会人1年目の嶺岸洸との対戦はファイナルゲームにもつれたが、最後は持ち前のスタミナで突き放した。
日立情報通信エンジニアリングは、エースの竹内義憲/松居圭一郎を第2ダブルスに据えるオーダーだったが、勝負をエースにつなぐことはかなわかった。
▼TOP4・3位決定戦
NTT東日本 2−0 日立情報通信エンジニアリング
武井優太/遠藤彩斗②〔21−16、16−21、21−19〕1●霜上雄一/野村拓海
田中湧士②〔21−15、17−21、21−7〕1●嶺岸洸
【順位決定戦】
5、6位決定戦は、それぞれのブロックで3勝2敗だったBIPROGYと三菱自動車京都が対戦。第1ダブルスでBIPROGYの三橋健也/岡村洋輝が勝利、シングルスを三菱自動車京都の常山明良が制し、第2ダブルスまでもつれる勝負になったが、日本A代表の金子祐樹と渡辺勇大のペアが個人技の高さを発揮。TOP4トーナメント進出を逃したBIPROGYが5位を死守した。
7、8位決定戦は、トップリーグ初参戦同士の対戦。2021年S/JリーグⅡ2位の豊田通商が、同優勝のコンサドーレを2-0で破って7位に。リーグでは1勝4敗と苦しんだ豊田通商だが、第1ダブルスの北里元輝/吉村徳仁が接戦をものにすると、シングルスの清水智彦がストレートで勝負を決めた。一方のコンサドーレも順位決定戦では敗れたとはいえ、トップリーグ初参戦にしてJブロックで2勝と十分に健闘したと言っていいだろう。
▼5・6位決定戦
BIPROGY(Jブロック3位)2−1 三菱自動車京都(Sブロック3位)
三橋健也/岡村洋輝②〔21−12、16−21、21−19〕1●内田裕太郎/三上楓
森口航士朗●0〔19−21、17−21〕②常山明良
金子祐樹/渡辺勇大②〔21−16、21−13〕0●西谷春樹/外川賢輝
▼7・8位決定戦
豊田通商(Sブロック4位)2−0 コンサドーレ(Jブロック4位)
北里元輝/吉村徳仁②〔21−16、12−21、21−18〕1●本田大樹/山澤直貴
清水智彦②〔21−10、21−13〕0●齋藤大樹
取材・文/バドミントン・マガジン編集部
写真/黒崎雅久