栄冠に輝くのは5連覇をねらうトナミ運輸か、日本王者・桃田賢斗を擁するNTT東日本か、西本拳太が加入したジェイテクトか、悲願の初優勝に挑む日立情報通信エンジニアリングか。バドミントンの国内最高峰のリーグ戦『S/Jリーグ2022』は、2月11、12日に埼玉県さいたま市のサイデン化学アリーナで、トーナメント形式の順位決定戦を行なう。最注目は、SブロックとJブロックの各上位2チームによる「TOP4トーナメント」と呼ばれる優勝決定戦だ。
2月11日に行なわれるTOP4準決勝に向け、各チームの監督にブロックリーグの戦いを振り返ってもらい、今大会の目標や準決勝のポイントについて語ってもらった。ここでは、男子4強の常連で初優勝をねらう日立情報通信エンジニアリングと、日本A代表の西本拳太が加入して初の4強進出を果たしたジェイテクトのカードを紹介する。
取材・文／平野貴也
S/Jリーグ 2022
TOP4トーナメント
2/11(土)準決勝～12(日)決勝／3位決定戦
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【男子・準決勝】
日立情報通信エンジニアリング
（Sブロック1位）
VS
ジェイテクト
（Jブロック2位）
日立情報通信Eは
充実のダブルス陣で勝負
日立情報通信Eは、4連覇中のトナミ運輸と同組となったSブロックを全勝の首位で通過した。杉山勝美監督は「これまではずっと2位での通過。トナミ運輸さんとの試合は、ともに日本A代表不在の戦いでしたが、チームの総力戦で勝ちきれた。1位通過で勢いとムードが全然違います」と充実感をのぞかせた。
チームの強みは、ダブルスだ。エースの竹内義憲（上写真・右）／松居圭一郎は日本A代表で活躍。前衛の松居がスピーディーな展開を見せ、長身の竹内が後衛から強打をねらう。1月のインドネシアマスターズ（Super500）では8強入りを果たした。
2番手は、2021年の全日本総合を制した高野将斗／玉手勝輝で、ともにストロークのクオリティが高い。また、Sブロックの全5試合で勝利を挙げた霜上雄一／野村拓海も実力派。霜上には技術、野村には高速スマッシュがある。2人は、2022年6月の日本ランキングサーキットで2回戦敗退を喫してから精力的に自主練習に取り組み、直後の全日本実業団選手権で当時の日本B代表ペアを撃破。9月の全日本社会人選手権でベスト4入りと躍進した。杉山監督は「霜上／野村が伸びてきて、練習では3ペアが互角になってきた」と評価する。S/Jリーグは、第1ダブルス、シングルス、第2ダブルスの順で2勝を争う形式。3組の使い分けでダブルス2本を取りに臨む形になりそうだ。
しかし、杉山監督は「勝つか負けるかは当然だが、次につながる試合を見せられるかが大事」とシングルスにも期待。小柄ながら機動力に長け、強敵を相手にもしぶとさを見せる小本翔太の奮闘にも期待がかかる。チームの過去最高成績は3位。杉山監督は「ずっと準決勝の壁を破れず苦戦している。簡単ではないが、一戦必勝で臨む。コートに立つ選手には、楽しみながら、全力でプレーしてほしい」と悲願の決勝進出にかける思いを語った。
西本加入のジェイテクト
引退3選手もサポートで一丸
ジェイテクトは、今季から加入した西本拳太がシングルスのエース。Jブロックでは桃田賢斗（NTT東日本）との日本A代表対決を含めて全勝だ。ただし、1月から国際大会を4連戦。帰国して5日後にTOP4の準決勝という厳しい日程で、コンディションが気がかりだ。西本の加入に刺激を受けた若手の村本竜馬は、2022年12月の全日本総合でベスト4強に進出。23年から日本B代表に選出されており、こちらが起用される可能性も残されている。
そんなチームの勝利の鍵を握るのは、ダブルス陣だろう。市川和洋／馬屋原大樹は、ブロックリーグ第4戦のBIPROGY戦で約1年越しに再結成し、第5戦と合わせて2連勝。平田典靖監督は「今までは勢い任せのペアでしたが、馬屋原は若い村本と組んで引っ張っていく中で、冷静に技術を生かせるようになってきた。市川は北林悠とのペアに組み替えて、我慢ができるようになった。よいペアリングで戻ってきた」と評価する。馬屋原は、感情表現が豊かで絶叫パフォーマンスが目立つ選手だが、平田監督は「音を消して見てもらえれば、上手い所もあるとわかってもらえるはず」と苦笑いを浮かべつつ、見た目に反した繊細なプレーへの注目を訴えた。もう1組は、長身ペアの野田悠斗／相澤桃李が有力。体のサイズを生かした守備範囲の広さ、高さを生かした攻撃力を武器に成長中だ。
実質プロ契約の西本以外、ジェイテクトの選手たちは午前中に社業に励んでいるが、大会に向けて1月末から社業免除でトレーニングに専念。平田監督は「（初の4強進出で）こんなチャンスはなかなかない。初制覇をめざします」と意気込みを語った。
なお、北林悠、小林晃、松村健太の3選手は、今季で引退する予定。現在は、出場選手のサポートに回っており、先輩たちに支えられた選手が、結果で恩を返そうと一丸になっているという。
両チームの激突は、第2ダブルスまでまわれば、総合力で上回る日立情報通信Eが優位だろう。第1ダブルスが勝敗を大きく左右しそうだ。ダブルス陣が充実している日立情報通信Eか、西本加入でシングルスを強化したジェイテクトか。ともに初の決勝進出をかけた一戦は、2月11日（土）の10時半から開始。2月12日（日）に勝者は決勝戦、敗者は3位決定戦に臨む。
写真／菅原淳