12月30日に開催された第76回全日本総合バドミントン選手権(東京・武蔵野の森 総合スポーツプラザ)最終日は、各種目決勝戦が行なわれた。ここでは、女子ダブルスの戦いをダイジェストでお伝えする。
【女子ダブルス】
志田千陽/松山奈未(再春館製薬所)、松本麻佑/永原和可那(北都銀行)と、世界ランク上位のペアが棄権した女子ダブルス。頂点に立ったのは2ペアとしのぎを削る福島由紀/廣田彩花(丸杉)。2020年以来、2年ぶり4回目の優勝を果たした。
対戦相手の櫻本絢子/宮浦玲奈(ヨネックス)は昨年、櫻本が鈴木陽向(NTT東日本)と、宮浦が保原彩夏(ヨネックス)とペアを組み、決勝で対戦。宮浦/保原が優勝した。今年に入ってペアの組み替えを行ない、同い年の櫻本と宮浦が組むことに。ともに攻撃を得意としている2人は、短期間で成長を遂げてきた。
堅いレシーブとねばりで世界のトップを張ってきた福島/廣田(上写真・左)と、攻撃力を前面に出す櫻本/宮浦。前衛を得意とする廣田と宮浦を、互いに後ろに回す形でラリーを組み立てる。特に、櫻本/宮浦の「廣田ねらい」は徹底していたが、それに屈するフクヒロではなかった。廣田は無理に前に入ることはせず、後ろから緩急をつけてしっかり打ち分ける。福島も2人の陣形を崩さずに我慢し、勝負所で確実に決める。長い長いラリーで見つけたチャンスを逃さず、2人で確実に得点するフクヒロ。対して左右ペアの櫻本/宮浦は、2人の真ん中へのショットで重なるシーンが、試合終盤まで続いた。
第1ゲームは21-16で福島/廣田。第2ゲームも第1ゲームと同様、球足の短いドロップを多用して、センターに集めてサイド、サイドに散らしてセンターと、相手に的を絞らせない福島/廣田。櫻本/宮浦は、櫻本の強打から仕留める得意の形をつくるも、なかなか決めきれず。長いラリーに持ち込まれると、アウトやネットミスを重ねてしまう。点差はそれほどつかないものの、「1点を取る重みをすごく感じた試合でした」という試合後の櫻本のコメントが、すべてを物語っていた。19-16と福島/廣田がリードの最終盤、福島がドロップで崩し、廣田がネット前で仕留めてマッチポイント。最後も長いラリーから、少し甘くなったシャトルを廣田が逃さず、左サイドからクロススマッシュ。ノータッチで決まってゲームオーバーとなった。
試合後の会見では、「今大会は全体的にフクヒロらしく戦えたんじゃないかなと思います。修正すべきところは修正して、引き続きやっていければ」(福島)、「2人らしいプレーができているときは、結果がついてきているときかなと思うので、こういうプレーを忘れずに、来年もやっていきたいと思います」(廣田)。復活の手応えと未来への意欲を得て、全日本総合を終えた。
▼決勝(12月30日)
福島由紀/廣田彩花(丸杉)②〔21-16、21-18〕0●櫻本絢子/宮浦玲奈(ヨネックス)
文/バドミントン・マガジン編集部
写真/菅原淳