12月30日に開催された第76回全日本総合バドミントン選手権(東京・武蔵野の森 総合スポーツプラザ)最終日は、各種目決勝戦が行なわれた。ここでは、混合ダブルスの戦いをダイジェストでお伝えする。
【混合ダブルス】
2022年の全日本総合決勝、最初に勝負が決まったのは混合ダブルス。世界ランク12位の金子祐樹(上写真・右)/松友美佐紀(BIPROGY)と、同13位の山下恭平/篠谷菜留(NTT東日本)の対決は、金子/松友が2-0で勝利。ペアとして初優勝を飾った(※)。
篠谷から松友へのサービスで始まった試合。最初のラリーは篠谷のレシーブが甘くなったところを、松友が叩き込んで決めた。サービスまわりがやや不安定だった金子/松友だが、コンビネーションは抜群。長身サウスポーの金子が後衛から緩急自在のショットでチャンスをつくり、世界を制してきた松友が絶妙なコースにプッシュを打ち込む。自分たちの持ち味を存分に発揮して試合を進めていった。
山下/篠谷は、左右ペアの相手のセンターを抜くクリアーなど工夫を凝らし、篠谷が果敢にネット勝負に出るが、リードを奪うことはできず。「出だしから最後まで相手のリズムでいかれてしまった」(山下)と振り返ったように、なかなか流れをつかめない。中盤にはサイドアウトやネットミスが重なり、金子/松友に4連続得点を許してしまう。積極的な姿勢でのミスだったが、勝負という観点からすると痛い失点。第1ゲームは21-18で金子/松友が奪った。
第2ゲームは我慢比べの展開が続く。金子がスマッシュを叩き込んで決めれば、次のラリーは篠谷が果敢にドライブ勝負を挑んで取り返す。その中でも金子/松友はレシーブのコースを散らし、山下/篠谷に連続攻撃をさせない。短いラリーで点を取る山下/篠谷に対して、金子/松友はトップ&バックの形をつくり、金子の緩急をつけたショット、松友の読みに長けたプレーと、2人のコンビネーションでラリーを奪っていく。「相手のプレースタイルを見て、相手が嫌がる戦い方をしないといけないと感じました」という篠谷のコメントを、実践したのが金子/松友だった。終盤、連続攻撃から松友がプッシュ→金子がプッシュで決めてマッチポイント。最後は山下が相手の右サイドに送ったシャトルを、左利きの金子がバックからクロスドライブで切り返してノータッチエース。金子は拳を握りしめ、のけぞって雄叫びを上げた。
試合後の記者会見ではペアとしての初優勝を喜びつつ、「全体的にすべてにおいて、もう一段階、二段階強くなっていかないと、世界のトップでいい勝負ができないと思う。そこと勝負していけるように少しずつ」(松友)。見据えているのは世界の舞台だ。
決勝戦の結果は下記の通り。
▼決勝(12月30日)
金子祐樹/松友美佐紀(BIPROGY)②〔21-1821-15〕0●山下恭平/篠谷菜留(NTT東日本)
※松友は早川賢一(現・BIPROGYコーチ)とのペアで2013、14年に優勝
取材・文/バドミントン・マガジン編集部
写真/BADMINTONPHOTO