【全日本社会人2022】波乱のダブルスは3種目すべてがペア初優勝!<ダブルス>

9月3日から7日にかけて、第65回全日本社会人選手権(愛知・一宮市総合体育館)が開催された。2019年以来、約3年ぶりの実施となった全日本社会人は、日本代表やS/Jリーグに所属する実業団選手、一般選手まで幅広いレベルの選手が参加。最終日7日は各種目の準決勝、決勝戦が行なわれ社会人王者が決まった。ここでは、ダブルス3種目のダイジェストをお伝えしよう。

シングルスの結果はこちら

【男子ダブルス】

昨年の総合王者や日本代表が次々と敗れる中、全日本社会人の頂点に立ったのは日本B代表の井上拓斗(上写真・左)/三橋健也(BIPROGY)。ライバルたちを退けて、ペアとして初の全国タイトルをつかんだ。

井上/三橋にとって大きな山場となったのは、準決勝の下農走/金子真大(トナミ運輸)戦だ。シングルスからダブルスに転向した下農と、今年の日本ランキングサーキットでは園田啓悟とのペアで優勝を飾った金子が、タッグを組んでエントリー。実力ペア同士の対決は、第1ゲームを下農/金子、第2ゲームを井上/三橋が取り合い、勝負の行方はファイナルゲームへ。

前半から拮抗したスコアは終盤まで続き、ラリーも我慢比べが増える。すると、最後に意地を見せたのが井上/三橋。サービスまわりから攻撃展開をつくると、17オールから先に抜け出して21-18で勝利。決勝に進出した。

頂上決戦は、準々決勝で日本代表の小野寺雅之/岡村洋輝(BIPROGY)を下し、準決勝も霜上雄一/野村拓海(日立情報通信エンジニアリング)を18本、17本で制した竹内宏気/小川桂汰(丸杉)。経験豊富な竹内と元気いっぱいの小川のダブルスに、井上/三橋は第1ゲームこそ接戦を演じたが、ここを21-19で取りきる。第2ゲームは竹内/小川のスピードが落ちた隙を見逃さなかった井上/三橋が攻勢を仕掛けると、最後は21-14で勝利。井上/三橋が、歓喜の瞬間を手にした。

井上拓斗(右)/三橋健也
(BIPROGY)

井上 結成以来、コンビの持ち味がいま一つつかめなかったんですが、モンゴル遠征の時の練習で感じをつかんだり、高野/玉手ペアに勝ったりして、ペアのいいカタチが見えてきました。だから今回は、手応えはありました。でも、決勝は2人の間を抜かれることがあり、まだまだですね。

三橋 自分は細かいことを考えられるタイプではないんですが、なかなか優勝できずに負け癖がつくのはよくないので、この優勝はうれしいです。この大会だけではなく、海外の試合につなげられるようにちゃんと練習し、しっかりとしたパフォーマンスをしたい。

▼準決勝

井上拓斗/三橋健也(東京)②〔11−21、21−19、21−18〕1●下農走/金子真大(富山)

竹内宏気/小川桂汰(岐阜)②〔21−18、21−17〕0●霜上雄一/野村拓海(神奈川)

▼決勝

井上拓斗/三橋健也②〔21−19、21−14〕0●竹内宏気/小川桂汰

【女子ダブルス】

若手からベテランまでが参加した女子ダブルスを制したのは、経験豊富な櫻本絢子(上写真・左)/宮浦玲奈(ヨネックス)。同級生ペアが、若手の挑戦をはねのけ優勝を飾った。

昨年の全日本総合では宮浦/保原彩夏(ヨネックス)が優勝、櫻本と鈴木陽向(NTT東日本)が準優勝を飾り、それぞれ日本代表入り。しかし、今季は代表内でペアの組み替えがあり、6月の大会では保原/鈴木で国際大会に出場していた。

全日本社会人には櫻本/宮浦、保原/鈴木でエントリー。保原/鈴木が4回戦で敗れる中、櫻本/宮浦は順当に勝利をつかむ。6 月の全日本実業団優勝の時は第1ダブルスで出場しており、ペアとしての個人戦は今回が初出場でも、その息はピッタリ。4回戦、準々決勝を快勝すると、準決勝も成長株の加藤佑奈/廣上瑠依(再春館製薬所)をファイナルゲームの末に下した。

決勝は第1シードで、今年の日本ランキングサーキット優勝を果たした大竹望月/髙橋美優(BIPROGY)だったが、勝ったのは櫻本/宮浦。第1ゲームを13本で奪うと、第2ゲームは前半から大量リードをつかんで21-10で勝利。貫禄を見せた櫻本/宮浦が、ペアとしての初陣を見事優勝で飾った。

櫻本絢子(左)/宮浦玲奈
(ヨネックス)

櫻本 2人では初めての個人戦ですが、自分が後衛でしっかり打てば、宮浦が前で仕留めてくれる。宮浦が前、私が後ろというカタチができれば、完全に自信があります。また今までよりも対角での動きが増え、自分が前に出てもさわれるところはさわるパターンも増えました。宮浦と組んだら、女子ダブルスの上の3組に食らいつくのも不可能ではないと思います。

宮浦 絢子とは同学年。組んだら絶対優勝しかない、優勝以外はねらっていませんでした。下の年代が多く、若手には勢いがありますが、受け身にならずに強さを証明できました。ここ2年は大会が中止でしたが、実は前回(2019年/ペアは與猶くるみ)も優勝しているんです。これで2連覇ですよね?

▼準決勝

大竹望月/髙橋美優(東京)②〔21−14、20−22、21−11〕1●星千智/大澤佳歩(東京)

櫻本絢子/宮浦玲奈(東京)②〔21−15、17−21、21−14〕1●加藤佑奈/廣上瑠依(熊本)

▼決勝

櫻本絢子/宮浦玲奈②〔21−13、21−10〕0●大竹望月/髙橋美優

【混合ダブルス】

日本B代表3ペアが揃って敗れる波乱の中、頂点に立ったのは霜上雄一(上写真・左)/加藤佑奈(日立情報通信エンジニアリング/再春館製薬所)。どちらも本業のダブルスでの優勝には届かなかったが、思いがけない日本一をつかんだ。

霜上/加藤は、それぞれのダブルスでも最終日の準決勝まで勝ち残っていたが、朝イチの試合は接戦の末に敗退。残されたのは混合ダブルスの準決勝となったが、ここは小林晃/小野菜保(ジェイテクト/再春館製薬所)を2-0で退けて決勝に進出した。

その決勝は、先に行なわれた男子ダブルス決勝の疲労が残る竹内宏気と今井莉子(丸杉)のペアだったが、霜上/加藤が第1ゲーム中盤からペースをつかみ21-11で先制。後半も流れを渡さずにそのまま押しきり、霜上/加藤が優勝。社会人の初タイトルを手にした。

霜上雄一(右)/加藤佑奈
(日立情報通信エンジニアリング/再春館製薬所)

霜上 ミックスは大学4年でちょっとやっただけで、ほぼ初めて。楽しいですが、男子とテンポが違うので強弱がむずかしいですね。最初は加藤が硬かったですが、「自分が後ろで打つから」と伝えて、前に専念してくれたのが初めてのタイトルにつながりました。

加藤 女子ダブルスと1試合1試合、切り替えながらやっていました。霜上さんが後ろをカバーしてくれるので自分のやることがはっきりし、試合をやるごとにいいカタチになっていきました。

▼準決勝

竹内宏気/今井莉子(岐阜)②〔21−14、23−21〕0●小野寺雅之/髙橋美優(東京)

霜上雄一/加藤佑奈(神奈川/熊本)②〔21−11、21−15〕0●小林晃/小野菜保(愛知/熊本)

▼決勝

霜上雄一/加藤佑奈②〔21−9、21−11〕0●竹内宏気/今井莉子

取材/楊順行

文/バドミントン・マガジン編集部

写真/BADMINTONPHOTO

投稿日:2022/09/08
■関連キーワード

      

人気記事ランキング

閉じる