8月22日から28日までは世界選手権、そして8月30日から9月4日までダイハツ・ヨネックスジャパンオープンと、2週にわたって日本でバドミントンのビッグトーナメントが開催された。その興奮が冷めやらぬ中、ヨネックスは全国3カ所で契約選手が登場するジュニアクリニックを開催。9月5日は、新潟県新潟市の新潟市東総合体育館で、世界王者のビクター・アクセルセン(デンマーク)をはじめ6選手によるジュニアチームクリニックが行なわれた。
新潟会場に登場したのは、世界選手権の男子シングルスを圧倒的な強さで制したビクター・アクセルセンを筆頭に、男子ダブルスの世界ランキング1位のギデオン/スカムルヨ(インドネシア)、女子シングルスで世界選手権を最年少18歳で制したラチャノック・インタノン(タイ)、女子ダブルスで2018年・19年世界選手権優勝の松本麻佑/永原和可那という豪華な顔ぶれ。
参加ジュニアは、新潟県内のトップジュニア30名。インターハイに出場した選手や全日本ジュニアへの出場が決まっている有望な中高生たちが、世界のトッププレーヤーと打ち合う貴重な機会を得た。
約1時間半の練習会では、男子シングルス、女子シングルス、男子ダブルス、女子ダブルスのコートに分かれてゲーム形式でラリー。男子シングルスはアクセルセン、女子シングルスはインタノン、男子ダブルスはギデオン/スカムルヨ、女子ダブルスは松本/永原がコートに入り、ジュニアたちと羽根を打ち合い、一人ひとりにアドバイスを送った。
アクセルセンと6分間ラリーをして、「相手から攻撃されるとき、コートの後ろで構えすぎるから前に落とされてしまう。引かずに、もう少し前で準備して」と細かいアドバイスをもらった葛塚中の佐藤佑羽くん(中3)は、「アクセルセン選手は手足も長いし、リストが強くて、どこに打っても簡単に返ってきた。それでコート後ろに引いてしまって、前に落とされて取れなかった。もらったアドバイスを生かしたい」と話し、「高校ではインターハイに出場して活躍したい」と今後の目標を話してくれた。
中学生との練習、高校生との練習後には、トップ選手たちによる混合ダブルスのエキシビションマッチも。ギデオンと松本、スカムルヨと永原がペアを組んで対戦。また、アクセルセンはインタノンとペアを組み、北越高校の男子ダブルス大山翔愛/稲川天(3年)と対戦し、普段は見せないダブルスのプレーで会場を沸かせた。
新潟県バドミントン協会新潟支部によれば、今回のクリニック開催について告知は行なっていなかったものの、イベント開催とトッププレーヤーの来場について口コミで広がり、観覧席には多くの観客が来場。実数把握はしていないというため、正確な観客の人数はわからないが、300人~400人ほどのファンが集まり、トッププレーヤーのプレーを楽しんだ。イベント後に取材に応えた松本は、「こんなに見に来る方がたくんいるとは私たちも知らなかったので驚きましたが、子どもたちも観客の皆さんも楽しんでもらえたようでよかったです」と語っていた。
下記はイベント後、取材に応じた松本麻佑/永原和可那のコメント。
松本麻佑
「ジュニアたちと一緒にゲーム形式でプレーをして、楽しく感じているというのがプレーで伝わってきました。ひとつでも何かを吸収したいという気持ちを持つ姿勢は大事。海外のトップ選手にアドバイスをもらう機会というのは、めったにないことだと思うので、ジュニアたちにはこういう機会を大事にしていってほしいなと思います。エキシビションマッチは、最初は、インドネシアペア対私たちという対戦だったらしいのですが、さすがに相手にならないだろうと(笑)。ミックスダブルスでやらせてもらいました。他の種目の選手と羽根を打つ機会というのがなかなかないので、自分たちも楽しかったです。ジュニアたちにも、これを見て、上をめざしてもらえたらと思います」
永原和可那
「ジュニア選手たちはコートに入る前から目が輝いていて、この日を楽しみにしてくれていたんだなということを感じました。コートの中でもすごく楽しそうで、私たちもうれしかったですし、いい機会になったんじゃないかと思います。私たち自身、海外のトップ選手と一緒にイベントをするのが初めてで、すごく楽しみました。今日のメンバーは本当に豪華なメンバーで、自分たちにとってもいい経験になりました。インドネシアペアの球は受けてみたいと思っていたので、一緒に打ち合えたのは、私自身もすごくうれしかったです」
このジュニアクリニックは、ヨネックスがスポーツを通じて笑顔をお届けし、明日の健康をめざす「ヨネックススポーツチャレンジ」の一環として開催。9月7日には札幌、熊本での開催を予定している。
取材・文/バドミントン・マガジン編集部
写真/川口洋邦