8月26日に開催されたBWF世界選手権2022(東京体育館)5日目は、各種目準々決勝が行なわれ、日本代表選手が登場。ここでは、女子シングルスに出場した山口茜の試合結果、コメントをお伝えする。
世界選手権2022
ニュース一覧
こちら
【女子シングルス】
闘志をむき出しに戦ってくる元世界女王のキャロリーナ・マリーン(スペイン)を、現世界女王の山口茜がどう受け止めるのか。注目が集まった一戦は、山口の鮮やかなストレート勝ちで終わった。
左ヒザの大ケガから今年4月の欧州選手権で復活したマリーン。「今はパフォーマンスが100パーセントではない。無理をせずに戦っている」と大会期間中は語っていたが、コートに立てば勝利への貪欲な姿勢を見せる。ポイントを奪うごとに大きな声を出して自身を鼓舞。スタートから3連続ポイントをつかんだ。
これに対し、山口は相手の速い展開に付き合わず、冷静に試合を進めた。4-7とリードされたが、すぐにヘアピンから相手のアウトミスを誘い9オール。インターバル後は、低いクリアーとネット勝負からポイントを重ね、21-17で第1ゲームを制した。「押し負けないようにという気持ちと、低いクリアーを打っても、あまり(相手の)得点につなげられることがなかった」(山口)
後がないマリーンは、ここからスピードを上げて攻撃を仕掛けてきたが、山口はブレずに自分のプレーを徹底した。ドライブなどで押し込むマリーンを、ロブやクリアーで後ろに下げれば、クロスドロップやクロスヘアピンを使って前後左右に動かしていく。「相手の得意な速い展開ではなくて、コートを大きく使った」と山口。16-15と競った場面でも、落ち着いて左右に揺さぶり、マリーンの体力を削る。ねばり強く戦うマリーンも、「山口の試合運びがよかった。自分は戦略的にミスをしたし、ショットコントロールもできなかった」と苦しんだ。
終盤まで競った試合は、先にマッチポイントをつかんだ山口が決めて勝負あり。世界女王対決は21-17で山口に軍配。2大会連続となるメダルを確定させ、準決勝に駒を進めた。
決勝をかけた準決勝の相手は、中国選手との激戦を制したアン・セヨン(韓国)。年下のライバルと激突する。
【コメント】
−−第1ゲームは低いクリアーで押し込んでいた
押し負けないようにという気持ちと、低いクリアーをあまり得点につなげられることがそんなになかったので、最初からラリーの修正を気にせずにやりました。
−−第2ゲームはどういう展開にしようとしたか
少し高さを出して、相手の得意な速い展開ではなく、コートを大きく使って相手を動かしながらラリーをしていくイメージでやりました。
−−2ゲーム目の終盤は競っていた
ラリーが長いことが多かったので、自分のペースに流れを持っていくのがなかなか難しかったです。点数差が離れない場面で集中を切らさなかったのは、よかったかなと思います。
−−相手の圧力を感じながらの試合だったか。それとも余裕はあったか
1ゲーム目のサービスミスなどは、相手のスピードに引くというか押されてミスになっていた。物理的にサービスを強くして、まずは、そこから押されないようにやれました。
−−今日のパフォーマンスをどう評価するか
悪くはないですし、いい方だったと思います。明日につなげていきたいです。
−−クロスの球が多かったと思うが
クロスを使ってみたら、(相手が)崩れたり、決まったりすることが多かったので、使うようにしました。
−−3試合の勝ち上がり方については
だんだんよくなっていると思う。あまりいろんなことを考えすぎず、明日以降をやれたらいいなと思います。
−−2-0のストレートで終わらせたことは大きいか
気持ち的にも、プレッシャーがそんなにかからずに勝ちきれたところがあったので、そこはよかったです。
−−明日の相手(アン・セヨン)についての印象は
ディフェンス力、ラリー力があるので、自分からラリーを嫌がったり我慢できなかったりすると、簡単に点数を取られてしまう。そこはしっかり我慢したい。あとはラリーするだけではなく、積極的に自分からラリーをつくっていけたらいいなと思います。
▼準々決勝(8月26日)
山口茜②〔21−17、21−17〕0●キャロリーナ・マリーン(スペイン)54分
▼準決勝(8月27日)
山口茜 − アン・セヨン(韓国)
取材・文/バドミントン・マガジン編集部
写真/菅原淳