8月24日に開催されたBWF世界選手権2022(東京体育館)3日目は、各種目2回戦が行なわれ、日本代表選手が登場。ここでは、男子シングルス2回戦に出場した桃田賢斗の試合結果とコメントをお伝えする。
世界選手権2022
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【男子シングルス】
世界一を手にした2019年8月以来、3年ぶりに世界選手権のコートに立った桃田賢斗。初戦はメキシコ選手に勝利し、2回戦は今年5月のトマス杯で優勝したインドのプラノイ・H.S.が相手となったが、第1ゲームは攻撃力がある相手に対し桃田はなかなか主導権を握れない。すると、鋭いカットや強烈なスマッシュを叩き込むプラノイが、11-7と先行。桃田も相手のミスを誘いながら13-15と2点差まで迫ったが、後半は波に乗ったプラノイに逃げ切られてしまい、17-21で先制を許した。
後がなくなった桃田は第2ゲーム、スピードを上げてプラノイの速いショットに対応。低いロブやクロスカットなどを使いながら揺さぶるも、ラリーの最後で得意のヘアピンが決まらない。「もっと相手を動かしたい、疲れさせたいと思えば思うほど、シャトルがショートになってしまった」と桃田。6-11とプラノイにリードを許すと、後半は崩しにいった球がことごとく拾われてしまい、逆に桃田のミスが増えた。「一つひとつのショットに対して、ラケットを振り切れなかった。ミスを恐れて縮こまってしまった」(桃田)と、打開策が見つからないまま終盤まで進み、最後は16-21で敗戦。復活をめざして臨んだ桃田の世界選手権は、54分で終わった。
【コメント】
――試合を通して主導権を握れず、打開策がないまま敗れてしまった
一つひとつのショットに対して、ラケットを振り切れなかったです。ミスを恐れて縮こまってしまったのが、敗因だと思います。途中でわかったのにも関わらず、それを実戦できなかったのは気持ちの弱さ。すごく、悔しい気持ちでいっぱいです。
――昨日は我慢比べという言葉を使っていた。我慢する中で攻めの気持ちをどれくらい持っていたのか
前半に攻めた時に、カウンターを何回かもらった場面があった。そこで、あまりフルスイングで決めにいくショットが有効ではないと思ったら、クリアーやロビングも気持ちで押すことができなかったかなと思います。そのぶん相手がどんどん前にきて、自分がプレッシャーを感じてしまいました。
――ネットミスも多い印象だった
途中までは足を動かして打っていこうと思ったけど、もっと相手を動かしたい、疲れさせたいと思えば思うほど、シャトルがショートになってしまったと思います。
――第2ゲームは攻撃ができていなかった。負けている状況だからこそガムシャラにいこうと思えないものか
攻めというよりも、他のショットで攻撃的な展開を増やしていこうとしました。スマッシュだけが攻撃だとは思っていない。スマッシュは自分の持ち味ではないと思うので、まずは決めるというよりも、プレッシャーを与えたいと思っていました。でも、それを実行できなかったのが力不足だったと思います。
――それは相手が強かったから、できなかったのか
いや、相手どうこうではなく、実戦する勇気、自分の精度の低さが敗因だと思います。
――実戦する勇気が持てなかったのはなぜか
一点がほしい、負けたくないという気持ちから、大事に大事にいき過ぎたのがダメだったかなと思います。
――大会前は、自分の状態について不安はないと話していた
アップのときから体は動いていたし、昨日の感覚はよかった。でも、本番の緊張感の中で、自分のプレーを練習通りにすることがどれだけ難しいかということを、あらためて痛感しました。
――世界選手権を2回優勝しても、それは難しいものか
難しいです。うまくいっている時は、何もかもうまくいっていた。でも、そうでなくなった時にどう打開するか、そこが難しいかなと思います。
――世界一に復帰する自信については
日本で世界選手権が開催されるので、ここで復活したい気持ちが本当に強かった。自分の中で本気で取り組んできたけど、こんな結果になってしまったのはすごく悔しいです。今後については、いったん気持ちを落ち着かせてから考えたいと思います。
――国際大会でタイトルを取れていないことについて
昔の自分が取りすぎていたので、タイトルを取るのが当然みたいな感じになっているけど、そこは本当に難しい。トライしても一生取れない人だっている。だから、タイトルが取れないな、という考えはないです。
▼2回戦(8月24日)
桃田賢斗●0〔17−21、16−21〕②プラノイ・H.S.(インド)54分
取材・文/バドミントン・マガジン編集部
写真/菅原淳