7月28日に行なわれた徳島インターハイ(吉野川市、徳島市、鳴門市)最終日は、個人戦の男女シングルス、男女ダブルスの準決勝から決勝までを日本フネン市民プラザで実施。各種目の優勝者が決まった。ここでは、男子シングルスの熱戦をダイジェストでお伝えする。
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【男子シングルス・ダイジェスト】
3冠が消え、2冠も消えた。ダブルスの準決勝が終わった時点で、ふたば未来学園に栄冠の可能性が残されたのはシングルスのみとなり、その望みをつなぐのはダブルスの落胆を抱えたままの齋藤駿と岩野滉也だった。彼らはまず、体力の回復も気持ちの切り替えもできない酷なタイムスケジュールと戦わなくてはならなかった。
選抜王者の齋藤の準決勝の相手は、個人戦では自己最高となる場所まで勝ち進んできた藤原陸月(埼玉栄・埼玉)。齋藤が第1ゲームを先取し、藤原が奪い返す展開でファイナルゲームへ突入した。前半は11-10と互角の戦いだったが、連戦の中ギリギリで持ちこたえていた藤原の足が止まり、後半は齋藤が連続ポイントを重ねて勝利を手にした。
決勝は岩野との同校対決とはならなかった。勝ち上がってきたのは、これまで個人戦では全国ベスト16が最高の今越健太(金沢市立工・石川)。岩野は第1ゲームを14本で奪ったが、第2ゲームは今越が激しいラリー戦を制してものにした。疲弊する岩野に追い討ちをかけるような今越の配球は賢く、最終ゲームは持ち味のスピードが落ちた岩野を序盤からリードし、一度も挽回を許さなかった。
こうして決戦の舞台に意外な挑戦者を迎えることになった齋藤だが、その戦いぶりは見事だった。スマッシュを軸にした高い攻撃力で、今越の技術力と頭脳プレーを封じ、11本、10本で圧倒。勝利の瞬間に放り上げたラケットは、味わった悔しさの分だけ高く舞い上がった。
優勝コメント:齋藤駿
「全体的には納得のいくインターハイではなかったですけど、団体戦の悔しさが残る中でなんとか気持ちを切り替えて、最後にシングルスで優勝できたことは素直にうれしいです。準決勝は(藤原に)なかなか思い通りに攻めさせてもらえませんでしたが、決勝は自分にとってはやりやすい相手でした。得意な上からのショットを中心に攻撃的なペースで試合を進めることができたので、自然と気持ちも乗っていってプレーに勢いがついたと思います」
男子シングルス・試合結果
▼準決勝
齋藤駿(ふたば未来学園・福島)②〔21−17、13−21、21−11〕1●藤原睦月(埼玉栄・埼玉)58分
今越健太(金沢市立工・石川)②〔14−21、21−18、21−13〕1●岩野滉也(ふたば未来学園・福島)62分
▼決勝
齋藤駿②〔21−11、21−10〕0●今越健太28分
※徳島インターハイの熱戦の模様は、8月22日(月)発売の『バドミントン・マガジン』9月号でも紹介します!
取材・文/山口奈緒美
写真/菅原淳