8月22日から開催される世界選手権に向けて熊本県内で強化合宿を行なっている日本代表が、7月26日、益城町総合体育館での練習を公開した。この日の練習は、一般公開もされ、町の担当者によれば300人を超える観客が客席から練習を見守った。
日本代表は、9時から体育館で練習。朴柱奉ヘッドコーチが今回の合宿についてフィジカルを鍛える合宿と位置付けたように、体育館での練習でもたっぷり2時間以上、シャトルを打たないフィジカル強化のトレーニングに時間を割いた。
コート10面を使って行なわれたフットワーク練習で、選手たちは体を追い込んだ。実戦さながらにラケットを振りながら1分間コート全面を動き続け、30秒の休憩をはさんで、再び1分間動く。動く方向やパターンは変えながら、これを約30セット。選手たちは休憩には膝に手をついてしばらく動けないなど苦しそうにする場面が多かったが、トレーニングを通じて、フィジカルだけでなく、最後まで出し切るメンタル面も鍛えた。
その後1時間、選手たちは種目別でコートに入り、ノックや2対１などでシャトルを打った。
また、午後は15時からラケットを一切持たずに、JISS（国立スポーツ科学センター）のトレーナーの指導の下、トレーニングを行なった。30分ほど体育館内でストレッチや体幹トレーニング、ステップ系のトレーニングなどに取り組んだあとは、隣接する陸上競技場で100メートルを６本、200メートルを５本、300メートルを4本と短距離および中距離走で、体を追い込んだ。
約1時間の陸上トレーニングの最後となった300メートル走の4本目がフィニッシュすると、観客からは自然に拍手が。最後まで妥協なく走り切った選手たちはお互いのガッツを称え合いながら、清々しい笑顔を見せていた。
朴柱奉ヘッドコーチ（7月25日の練習後、取材に応えて）
「今回の合宿は、世界選手権の準備のための合宿です。４月から6月は遠征が続き、フィジカルトレーニングをするチャンスがありませんでした。いつも大きな大会前は、フィジカル中心のトレーニングプログラムを実施していたので、それと同じ意味合いがあります。実は、熊本でのトレーニングキャンプは2020年5月のトマス杯・ユーバー杯前にやる予定でしたが、コロナで予定が変わってしまい、今回、世界選手権前にやることになりました。
合宿の目的は、『ストロング・フィジカル』『ストロング・メンタル』。フィジカルが強くなり、メンタルも強くなれば、トータルで強くなれる。選手が『アイム・ストロング（私は強い）』と言うことができれば、いい合宿になったと言えるのかなと思います。
（昨年の）東京オリンピックは全体として目標に届かず、残念な思いをしたので、世界選手権ではリベンジするイメージでいます」
下記は、26日の午前練習後、囲み取材に応えた志田千陽／松山奈未のコメント。
志田千陽（左）
「あまりお客さんが入った状況で練習することはないので、緊張感はあったんですけど、その中でも自分らしくいつも通りできたのではないかなと思います。1週間合宿があって、その中で羽根打ちはすごく少ないですが、体がきつい中で、ミスせず安定して打てるようにとか、トレーニングを生かした足運びとかでしっかり打てたらいいのかなと思います」
松山奈未（※体調不良のため、25日の練習は不参加）
「コンディションは万全とは言えないですけど、練習したほうがよくなるかなと思って、今日から出てきました。実際に動いてみて、自分が思っていたよりも動けていたので、ちょっと安心しました。ここまで連戦が多く、体づくりに特化した合宿というのはあまりできなかったので、この合宿で体を強くしたいなと思います。体を少しでも強くして、それをプレーに生かしていけることを目標に、この合宿を乗り越えたいなと思います」
なお、強化練習の一般公開はこの日、7月24日（日）に続いて2回目だった。同様に、29日（金）の練習も一般公開する予定だという。新型コロナウイルス感染拡大の状況を見極めるため、熊本県ホームページおよび益城町ホームページでの告知も直前になってからだったというが、夏休み中ということもあり、多くの親子連れやジュニアプレーヤーなどが会場を訪れ、トップ選手の正確な技やフットワークに見入っていた。
取材・文／バドミントン・マガジン編集部