東京から車でおよそ90分。茨城県の最東南端に位置する神栖(かみす)市は、鹿島灘と利根川に囲まれ、温暖な気候に恵まれた静かなまちだ。水資源を生かした水産加工業が盛んで、野菜ではピーマンの出荷量が日本一である。またホテルや旅館、スポーツグラウンドが多い地域としても知られている。市の観光振興課主事・村田光さんは言う。
「官民合わせて100面もあるサッカーグラウンドをはじめ、豊富な運動施設や旅館を観光資源として積極的に活用していこうと、市では、2018年4月にスポーツツーリズム推進室を立ち上げました。関連する事業者の方々と協力し、スポーツのイベントサポート、さらには合宿や大会誘致に取り組みながら、『スポーツタウン日本一』を目指しています」
2019年6月には、新たな複合型施設「かみす防災アリーナ」がオープン。全面ガラス張りのロビーは明るく開放感があり、競技を行うアリーナは、高い天井にカーブを描くように張られた木材が印象的だ。これまでには、BリーグやTリーグなどのプロスポーツ大会も開催されている。
ちなみに「かみす防災アリーナ」の名は、震災など災害時に避難の拠点になるところから。最大で1万人を収容でき、併設されたプールの水を生活用水に活用することもできるという。
日本ユニシスが2年連続で合宿に
「2020年にコロナ禍でいつもの体育館が使えず、インターネットで合宿地を探したところ、この防災アリーナを見つけました。東京からのアクセスがよく、とてもきれいな施設ですし、バドミントンコートが12面とれるので、充実した練習ができています」
茨城県出身の坂本監督だが、「それはたまたま」と笑い、こう続けた。
「アリーナは朝9時から夜9時まで使えるので、自主練習も好きなだけできます。本当に練習に集中できていいですね」
選手たちも、その環境が気に入っている。いくつか感想を紹介しよう。
「町の風景がきれいで、近くのホテルでは肉も魚もおいしくいただけ、練習に集中して取り組めます。アリーナは、コート間の幅が広いのでやりやすく、天井が適度に高くて僕は好きです。羽根がゆっくりに感じられて、ラリーを磨くのにうってつけ。またウエイト場を使ったときに、説明してくれたスタッフの方がすごく優しかったです」
「普段は人が多い東京で練習しているので、静かで落ち着いた神栖での練習はリフレッシュになります。食事は近くのホテルでとっていますが、(名産の)ピーマンもおいしくいただきました! お肉やにんじん、玉ねぎと一緒にガーリックで炒めたお料理です。アリーナは壁が黒いので羽根が見やすく、プレーがしやすいです」
「アリーナの入口に、『日本ユニシスようこそ』と書いたボードを出してくれるなど、スタッフの方々が温かく迎えてくださりありがたいと思いました。きれいな体育館でプレーもしやすく、客席が多いので、ここで試合ができたらいいなと思いました。朝食でお魚をおいしくいただきました」
「アリーナの近くの公園でランニングしたら、景色がよくて気持ちよく走れました。アリーナは、ライトがかぶって打ちづらいと感じることもなく、しっかり打ち込めます。コートの間隔も広くてよかったです。桃田選手と対戦しても勝てるようにとイメージしながら、集中して練習ができました」
「体育館が夜9時まで使えるので、自分に足りない部分練習も納得いくまでできます。得意ではないヘアピンや、決め球のスマッシュも多く練習しました。広い体育館なので、大きな大会へのイメージにもつなげやすい環境だと思います。施設のスタッフのみなさんが温かく挨拶してくれるのもうれしいです」
講習会でつながる思い
坂本監督は言う。「いつも選手は教わる立場。教えることで気づくこと、プラスになることも必ずあると思います」。
「スポーツするならかみすでしょ!?」
こうしたトップ選手と地元の子どもたちの橋渡しは、スポーツを応援したいという神栖市の仕組みづくりの一つでもある。市内で合宿を行ったチームには、さまざまなかたちの助成金が用意されており、講習会を行って地域に貢献した場合もその対象だという。合宿に訪れるチームにも、受け入れる地域にもうれしいシステムだ。
もちろん、トップチームばかりではなく、一般の愛好者や学生などの合宿も後押ししてくれる。今年度は、1人1泊1,000円のキャッシュバックや、バスを利用したときの支援など、合宿者に寄り添ったサービスを展開している。
人も環境も、選手にとって申し分ない神栖市。それを象徴するような、木のぬくもりが心地いいかみす防災アリーナ。スポーツを楽しみたい人、頑張りたい人に、ぜひおすすめの場所なのだ。
【問い合わせ】
神栖市観光振興課スポーツツーリズム推進室
T E L:0299-90-1161
Email:kanko@city.kamisu.ibaraki.jp 神栖市スポーツツーリズム公式ホームページはこちら