第75回全日本総合バドミントン選手権(東京・武蔵野の森総合スポーツプラザ)は12月30日の最終日、男女シングルス、男女ダブルス、混合ダブルスの決勝戦が行なわれた。女子シングルスは、奥原希望(太陽ホールディングス)が優勝。下記は優勝セレモニー後の記者会見でのコメント。
奥原希望
(太陽ホールディングス)
決勝結果:水井ひらり(NTT東日本)に2-0で勝利
――試合を振り返って
水井選手とは、2回目の対戦。水井選手が高校3年の時の全日本総合で戦って以来です。久しぶりに対戦してうれしい気持ちと、世界トップでやっている私の立場からすると負けられないという意気込みがありました。
――今日の戦略は
今の若手選手は、強みとしてそれぞれキレのあるショットを持っている。それで乗せてしまうと盛り上がってしまいますが、しのぐか、打つチャンスを与えなければ、雑な部分も出てくる。水井選手はクロス球にキレがあるので、特にそこをやられないように丁寧にゲームメイク、配球しました。水井選手には、試合の流れに乗っていけるまでの我慢を覚えてほしいと同時に、試合に対する気持ち、試合の進め方の違いを感じてもらえたと思います。
――今大会で感じた手ごたえは
正直、何も感じていません。結果だけかなと。勝負勘や点数のとりかた、試合の流れは、いままで経験したものを発揮しただけで、新たな発見があったかというと…。毎日、自分のコンディションと相談しながら、経験でできることをやりました。
――どんな思いで大会に臨んだか
B代表選手と公式戦で戦う機会は少ないので、私の参加が若手の刺激になるのではないかという思いがありました。また、佐藤冴香選手(ヨネックス)が最後とも聞いていたので、できれば佐藤さんともう一度と戦えたらと。私の使命は両方とも果たせたと思っています。3連覇という結果以上に大会への参加の意義を考えていました。
――若手に育ってもらいたいという思いはどのように芽生えたのか
私が最初に活躍したのは高校2年の時。そのあと、すぐに山口茜選手(再春館製薬所)、大堀彩選手(トナミ運輸)ら、若い選手がどんどん出てきました。でも最近は新たな新星が出ていない。脅かされる存在がおらず、ホッとする気持ちもなくはないですが、私もいずれ引退するので、頼むよと任させられる選手がいたらバドミントン界は明るい。若手には、今年の総合で(トップが出ていない)チャンスをモノにできなかった悔しさを感じてほしいです。
――今後について
(3連覇で)パリ五輪のスタートラインに立てたかというと、そうではありません。今回の5試合でのパフォーマンスでは世界に通用しない。ただ、いまは全日本総合を視野に急ピッチで仕上げ、正直、体のダメージがある状態です。9月の合宿で右足をねんざし、内視鏡の手術を10月中旬にしました。なので、これからしばらくはゆっくり来年の大きな大会、日本での世界選手権に向けて体を整え、そこからスタートラインに立ちたいです。
取材・構成/鈴木快美、バドミントン・マガジン編集部
写真/バドミントン・マガジン編集部