日本の頂点をかけて争われる第75回全日本総合バドミントン選手権(東京・武蔵野の森総合スポーツプラザ)最終日は、各種目決勝戦が行なわれた。世界選手権(スペイン・ウエルバ)に出場した日本代表選手らは不参加となったが、国内の各カテゴリーのトップ選手らが集結。日本一をめざして白熱した戦いを繰り広げている。ここでは、各種目のダイジェストを紹介する。
【男子シングルス】
どちらが勝っても総合初優勝となる男子シングルス決勝戦。その頂上決戦の舞台に立ったのは、日本大学4年生の田中湧士(日本大/上写真)と、同じく日本大に所属する奈良岡功大(IMG)。ともに日本B代表で世界の強豪と戦う仲間でもあるが、この日は日本一の座をかけて対峙した。
第1ゲーム序盤は積極的に仕掛ける田中が4-1、9-5とリードを奪いながら試合を進める。一方の奈良岡は、中盤に入ってからようやくギアが上がり、ネット前のプレーでポイントを奪取。すると、奈良岡が7-10から一挙10連続得点! 一気に逆転し、第1ゲームは奈良岡が21-14で制した。
第2ゲームに入ると、コート上ではスマッシュ音がより一層鳴り響く展開に。お互いラリースピードを上げてポイントを奪い合うと、スコアは10オール。田中が際どいヘアピンなどで14-11と先行したが、奈良岡(上写真)も負けじとボディへのスマッシュを叩き込む。再び17オールで並ぶと、後半にクロス、ストレートに強烈なスマッシュを打ち分けた田中が連続ポイントで抜け出し、第2ゲームを奪った。
「2ゲーム中盤はミスが出てしまったけど、自分はもともとミスが多い選手なので、そこから吹っ切れました」と田中。最終ゲームはネット前の攻防を田中が制して10-6。さらにスピードを上げると、16-10まで点差を広げた。負けられない奈良岡もここからスマッシュ&ネットでポイントを奪ったが、後半は運動量で上回る田中が主導権を掌握。強烈なジャンプスマッシュなどで振り切った田中が、総合初優勝を達成。2016年の西本拳太(当時中央大4年)以来、5年ぶりに大学生王者が誕生した。
▼決勝
田中湧士(日本大)②〔14−21、21−17、21−14〕1●奈良岡功大(IMG)
準優勝:奈良岡功大(IMG)
文/バドミントン・マガジン編集部
写真/菅原淳