日本一を決める「第75回全日本総合選手権」が、12月25日に開幕。東京・武蔵野の森総合スポーツプラザを舞台に、12月30日の決勝戦まで熱戦が展開される。大会5日目の29日は、各種目準決勝を実施。ここでは、選手のコメントを紹介しよう。
奥原希望（太陽ホールディングス）
「うまい」と「強い」は違いますが、佐藤選手は「強さ」がある選手。プレーの強さに加え、どんなコンディションでも、日本代表でなくなっても結果を出し続ける強さ、年齢でも立場でも負けないという、最後まで立ち向かう気持ちの強さがある選手です。だからこそロンドン五輪にも混戦の中、出場したと思います。
昨日は対戦が決まったときに、負けられないという思いと、できるといううれしさといろんな感情がぐるぐるしていたんですけど、佐藤さんに対して敬意を払って何ができるのか考えたとき、佐藤さんの思いに対して自分の思いをしっかりぶつけて戦うことだなと思ったので、高ぶりそうなところを抑えながら、今日はコートに入りました。
相変わらずしぶといな、強いなと感じましたが、でも自分も譲らないぞという強い思いを持っていました。コンディションが互いに悪い中でもベストパフォーマンスは出せたのじゃないかな。佐藤さんという存在があって、私も少しずつ気持ちが入って、プレーも戻ってきたところがあります。明日につながる試合だったと思います。
戦い方としては、佐藤さんは身長が高く、1ゲーム前半はつかまってしまうことが多かったのですが、中盤からは高さに気をつけて配球することができました。佐藤さんから学んだことは、どんな状態でも立場でもシンプルにやるべきことをやりきること。どんなときでもコートに返す、ミスをしない。バドミントン選手として強くいる、それを当たり前にやり続けた選手だと思います。背中で伝えてくれる先輩の引退は寂しいですし、今後、若い選手もそうしたことを生かしてほしいなと思うところです。
今日は強い思いでコートに立ちましたが、明日も厳しい戦いになるのは覚悟しています。（3連覇まで）あとひとつといいますけど、この決勝戦を勝つことの難しさも経験しているので、あまり先を見過ぎず、もう一度自分がやるべきことを見直して、一球一球頑張っていきたいと思います。
取材・構成／江國晴子、バドミントン・マガジン編集部
写真／バドミントン・マガジン編集部