東京2020バドミントン競技は、7月30日に混合ダブルスの3位決定戦、決勝が行なわれ、中国の王懿律(ワン・イーリュ)/黄東萍(ファン・ドンピン)が金メダル、同じく中国の鄭思維(ツェン・シーウェイ)/黄雅瓊(ファン・ヤーチョン)が銀メダル、日本の渡辺勇大/東野有紗が銅メダルを獲得。同日の表彰式後に行なわれたメダリスト記者会見の質疑応答を抜粋してお届けする。
――王懿律/黄東萍ペア、中国勢として4つめの混合ダブルスでの金メダルです
王懿律 金メダルを獲得したとき、頭が真っ白になりました。まだ現実とは思えず、実感がありません。
黄東萍 この金メダルは簡単に手に入れたものではありません。特にパンデミックの間、トレーニングが非常に困難でした。もちろん、私たちは他の国よりもラッキーでした。中国ではトレーニングの場所を確保できましたし、安心して練習に打ち込むことができました。
――中国ペア同士の決勝。お互いにどのような思いでプレーしましたか
王懿律 自分に自信を持っていなくてはいけなかったと思います。金メダルを取れる、勝てば1位になれるんだと自分に言い聞かせました。
――混合ダブルス決勝で中国ペア同士が決勝を争うのは、ロンドン五輪以降は初めてです。銀メダルの鄭思維/黄雅瓊ペア、おめでとうございます
鄭思維 まず、とてもうれしく思っています。金メダル、銀メダルを中国で獲得できて、素晴らしい試合をお見せできました。もちろん悔しい思いはありますが、相手が素晴らしかったんです。五輪への旅路を振り返ると、後悔することは、もちろんあります。このオリンピックにおいては銀メダルにとどまりましたが、ここへ到達するまでに、たくさんの方の支援がありました。彼らのサポートなしにはここに来ることはできなかったでしょうから、心から感謝しています。
――渡辺勇大/東野有紗ペア、銅メダル獲得おめでとうございます。渡辺選手は日本人男子選手として初めてのメダル獲得です。
渡辺 日本人男子選手として初めてメダルを獲得できたことを、素直にうれしく思っていますし、二人で今まで頑張ってきたことが少し報われた気がします。引き続き、これを続けていかなければならないですし、中国の2ペアに近づけるように、これからも練習していきたいと思います。
――渡辺選手、東野選手、生まれ故郷やサポートしてくれた人たちに向けて
東野 本当にたくさんの方々に応援してもらって、メッセージなどをたくさんもらいました。(生まれ故郷の)北海道に帰ったときには、メダルを皆さんにお見せできると思うと、うれしい気持ちでいっぱいです
渡辺 (地元の)東京、北海道に限らず、(中高時代を過ごした)福島の方々に少しでも元気を与えられたらと思ってプレーを続けてきましたし、ひとつメダルを獲得できたことによって、少しでも支えてくれる皆さまに恩返しができたらと思っています。
――中国の2ペアへ。お互いについて、どう評価しているか
鄭思維 この大会において自分自身の90パーセントの能力を発揮できたと思います。決勝まではスムーズでしたが、決勝は第1ゲームを落として、第2ゲームも途中まで負けていました。相手ほどうまくプレーできず、アグレッシブではありませんでした。後悔するところはあります。でも出しきったと思います。
王懿律 どちらが勝ってもおかしくなかったと思います。彼らは素晴らしい、メンタル、フィジカル、タクティクスがあります。そういう意味では、私たちは幸運でした。
――渡辺選手へ。混合ダブルスをやる上で、遠藤選手から何かアドバイスは今までありましたか。東野選手は遠藤選手から何かアドバイスはありましたか
渡辺 遠藤さんからは、バドミントンのすべてを教わったと思っています。それがすべて混合ダブルスにも生きていると思っていますし、何かと言われるとたくさんありすぎて…。1から10まで教えてくれた存在です。
東野 遠藤さんは、私にはいつも一言、「頑張れよ」と言ってくれるので、それだけで心が救われていました。
――渡辺/東野ペアへ。復興五輪という意味合いのある大会です。福島への思いについて
渡辺 福島では中高の6年間過ごして、僕がバドミントンで強くなるきっかけを与えてくれた場所だと思っています。いろんなつらい思い出も、楽しい思い出もたくさんありますけど、少しでも福島の皆さんに恩返しができたらと思って、ここまでやってこられました。メダルを持ち帰ることができて、少しでも果たせたかなと思っています。
――東京五輪では、混合ダブルスという種目が(他競技の中で)新たに採用された競技もあります。混合ダブルスという種目の普及をどのように考えているか
渡辺 日本ではバドミントンの混合ダブルスはまだメジャーではないんですけれども、僕らがメダルを取って、まずは日本で混合ダブルスという種目の価値が認められればうれしいなと思っていますし、僕らが混合ダブルスのおもしろさをもっともっと広げていきたいなと思っています。
東野 勇大くんが言ってくれたように、日本ではまだまだミックスが評価されていないので、そのおもしろさというのを皆さんに知ってもらって、広がっていくといいなと思います。
鄭思維 ミックスダブルスのプロモーションとしては、私たちが最高の試合をして、この種目の素晴らしさを感じてもらうことだと思います。
黄雅瓊 このオリンピックを通じて、おもしろさを感じてもらえたらいいですよね。
王懿律 プロのアスリートとして最高のパフォーマンスを見せることだと思います。
黄東萍 ミックスダブルスの魅力は、パートナーとのインタラクション(相互作用)、いかに互いにサポートするかだと思います。ですから、そこを見ていただけるといいですね。
取材・構成/バドミントン・マガジン編集部
写真/Getty Images、BBM