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――銅メダル獲得から一夜明けて、今の心境を聞かせてください。
渡辺 まだまだ実感は湧いていないところはありますが、いろんな方々からメッセージやメールをいただいて、少しずつ実感が湧き始めています。
東野 (銅メダルは)素直にうれしいですし、たくさんの方々から連絡やメッセージをいただいて、徐々に実感が湧いてきています。
――東京五輪は”復興五輪”ということで準備を進めてきましたが、無観客となり、復興を伝えることが難しいという声が聞かれています。今回、2011年に東日本大震災で被災された2人が世界に向けて発信する機会にもなると思いますが、福島に対する今の気持ちについて聞かせてください。
渡辺 僕らは福島で育ったといっても過言ではないですし、その6年間は僕にとってすごく大切で、かけがえのない時間だったと思っています。震災とか、いろんなことがあって、苦しんでいる方もたくさんいると思いますが、そのなかでも、僕らを諦めず応援してくれて、サポートしてくれた方々に、何か少しでも、勇気とか感動を与えられたらという思いでこのオリンピックは戦っていました。銅メダルを獲得したことで、少しでも恩返しができていたらという気持ちで今はいっぱいです。
東野 福島で過ごした6年間は自分にとってかけがえのない時間でしたし、この6年間がなければ今、私はここにいないと思います。本当に、福島の方々にはたくさんお世話になりましたし、本当に、恩返しをしたいという気持ちでこのオリンピックに臨みました。
――今大会、日本代表がなかなかか勝てない中で、重圧とどのように戦い、どう乗り越えたかをあらためて教えてください。
渡辺 他の選手は僕ら以上にメダルを期待されていたと思いますし、プレッシャーも半端なかったと思います。そういうものを僕らもすごくヒシヒシと感じていて、難しいゲームが続きました。2人で楽しもうという話はしていたんですけど、なかなか楽しむことはできなかったです。ただ、やるからには覚悟を持ってコートに立てていましたし、責任感とか、重圧というのを感じながらも、覚悟を決めてコートに立って、2人で話し合いながら試合ができたのがよかったと思います。
僕自身、何度も心が折れそうになって、試合から逃げ出したくなることもたくさんありました。でもそんな時、コートの中で先輩が「大丈夫だよ」とか「ドンマイ」とか声をかけてくれて、そこに僕がかなり救われて、立ち直るきっかけになりました。3位決定戦でも、本当に諦めそうになったこともありましたが、そこで先輩が声をかけてくれた。あの試合に関しては、そこがすごく分岐点だったし、あそこで踏ん張れてよかったなと思っています。
東野 先輩方は自分たち以上に、プレッシャーだったり、重圧が本当にすごかったと思います。先輩たちの分まで自分たちも頑張ろうという気持ちで臨みました。前日も、準決勝で負けたあとに先輩方が「明日は思いきってやるだけだよ」とか声をかけてくれて、本当に心が救われました。先輩たちの分も勝ててよかったです。
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取材・構成/バドミントン・マガジン編集部
写真/JMPA