東京2020オリンピックのバドミントン競技7日目。ミックスダブルスの渡辺勇大/東野有紗が3位決定戦に臨み、銅メダルを獲得した。この種目での日本ペアとしてのメダル獲得は初。また、渡辺はオリンピックでのバドミントン競技初の男子メダリストとなった。
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最後は気持ちの勝負だった。変則的な左利き同士の香港ペア。「頭を使って相手のバック側でラリーを展開したり、フォア側では我慢して…」(渡辺)と戦術もあったが、最後は形ではなく、必死にシャトルをねじ込んだ。
「内容は決していいとは言えないですけど、最後は二人の気持ちだけの勝利だった」と渡辺は振り返った。
前日には、中国ペアにファイナルゲームの末に敗退。渡辺は遠藤大由と組んだ男子ダブルスでも敗れ、「つらくて、しんどくて…」と明かしたように、気持ちを切り替えるのは簡単ではなかった。
東野もまた、「勇大くんとめざしていたのは金メダルだったから、悔しくて」と、敗戦後のミックスゾーンでは涙を浮かべていた。敗戦のショックで、選手村に戻ってからも食事をとる気になれなかったほどだ。
ここまでメダル本命と期待された日本代表が相次いで敗退したことも、二人にはプレッシャーになっていただろう。「期待やプレッシャーにおしつぶされそうで、逃げ出したくて、試合をしたくないという気持ちもあった」(渡辺)。それでも、遠藤から「切り替えて頑張れよ」という言葉をもらい、最後は腹をくくった。
渡辺は、「遠藤さんと3人で取った銅メダル」と話し、東野は「遠藤さん、(日本代表の)先輩方と一緒に勝ち取った銅メダル」と続けた。めざしてきた東京オリンピックで苦しんだ日本代表チームに、二人が初のメダルをもたらした。
【混合ダブルス】
▼3位決定戦
渡辺勇大/東野有紗(日本)②〔21−17、23−21〕0●鄧俊文/謝影雪(香港)
取材・文/バドミントン・マガジン編集部
写真/Getty Images