女子ダブルスの予選Aグループで福島由紀/廣田彩花を破ったインドネシアのグレイシア・ポリイ(写真左)とアプリヤニ・ラハユ。33歳のポリイは、2012年のロンドン五輪、2016年のリオ五輪に続く、自身3度目のオリンピック出場で、初のメダル獲得をめざす。
前回リオ五輪では、前パートナーのマヘスワリとのペアで、準々決勝で敗退。2017年から11歳年下のラハユと本格的に組むようになった。
ポリイが東京オリンピックに強い思いで臨む理由は、メダル獲得だけではない。2020年12月、ポリイはこれまで彼女をサポートしてくれていた兄を、新型コロナウイルス感染症で失くしている。バドミントン・マガジンの取材に応え、ポリイが兄について、そして東京オリンピックにかける思いについて、語ってくれた。
「兄は私が東京オリンピックに出場することを本当に願っていました。彼は、2018年から私のプレーヤーとしての活動をサポートしてくれていました。兄は亡くなる前、私に、“肉体だけでなく、メンタルも鍛えなければならない”と言っていました。その言葉に従って、私はメンタルを鍛えるべく、心理学やメンタルトレーニング、セルフコントロールの本などをたくさん読んだりして、メンタルを鍛えてきました。
東京オリンピックでプレーする上で、本当に兄への思いがモチベーションになっていると思います。とにかく、ベストを尽くして戦いたいと思います」
悲しい出来事を乗り越えたポリイ。ミックスゾーンではとても穏やかな笑顔で、強い決意を語ってくれた。
取材・文/バドミントン・マガジン編集部
写真/Getty Images