6月2日、BWF(世界バドミントン連盟)は、2000年から2010年代にかけて中国代表として活躍した女子シングルスの張寧(ツァン・ニン)、男子ダブルスの蔡贇(カイ・ユン)/傅海峰(フ・ハイフン)の3名が、BWF殿堂入りしたことを発表した。新たな殿堂入りは、2018年に韓国の方銖賢(バン・スーヒュン/1996年アトランタ五輪女子シングルス金メダリスト)以来、3年ぶりとなる。
張寧(上写真)は2004年アテネ五輪、2008年北京五輪の女子シングルスで金メダルを獲得。ほかにも国際大会で数多くのタイトルを獲得しており、2003年世界選手権でも頂点に輝くなど、女王として長らく第一線で活躍した。団体戦でもユーバー杯やスディルマン杯の主軸として貢献。2006年に日本で開催されたユーバー杯でもトップシングルスとして出場し、中国の連覇の立役者となっている。
175cmの高長身から繰り出すカットやスマッシュは鋭く、どんな状況でも正確に打ち分けるショットコントロール、ディフェンス力は当時の世界トップレベル。プレー面での総合力の高さはもちろん、どんな状況でもポーカーフェイスを貫いてライバルたち圧倒し続ける精神力の強さも、トップランカーの中で群を抜いていた。中国の同志・謝杏芳(シェ・シンファン)とともに、2000年代の中国黄金期を支えている。
蔡贇(上写真・左)/傅海峰は、2008年北京五輪で銀メダル、2012年ロンドン五輪で金メダルを獲得。当時の男子ダブルスは中国以外にもインドネシア、マレーシア、韓国、デンマークから強豪ペアが台頭していたが、その中でも蔡贇/傅海峰は世界選手権で4度の世界一に輝くなど、大舞台で勝負強さを発揮。試合では司令塔の蔡贇がラリーをコントロールし、左腕・傅海峰の豪快なスマッシュを引き出した。完成度の高いコンビネーションを武器に、2000年代後半から世界の最前線で常に好成績を残し続けている。
ロンドン五輪後には蔡贇が先に代表を引退したが、残った傅海峰は後輩の張楠(ツァン・ナン)とのペアで現役を続行。3回目の出場となった2016年リオ五輪では、ライバルたちを撃破して2つ目の金メダルを獲得した。
BWF殿堂…国際大会で多くの実績を残した選手や指導者、審判など、バドミントンの普及・発展に貢献した関係者らが対象。発足した1996年以降、今回の3人を含めて69人が殿堂入りを果たしている(人数には発足メンバーを含む)。日本からは全英選手権女子シングルスで4度の優勝を飾った湯木博恵さん(故人)が、2002年に殿堂入り。日本代表の朴柱奉監督は、2001年に殿堂入りしている。
文/バドミントン・マガジン編集部
写真/Getty Images