「第49回全国高校選抜大会」の競技4日目、28日は、福島県郡山市の宝来屋郡山総合体育館で試合が行なわれた。男女ともにダブルスが準決勝から、シングルスが準々決勝から実施され、各種目で優勝者が決まった。ここでは、男子のダイジェストをお伝えする。
【男子ダブルス】
先に行なわれた男子ダブルスで決勝進出を決めたのは、埼玉栄の馬屋原光大郎/宮下怜と、高岡第一の大田隼也/佐々木大樹。埼玉栄ペアは第1シードの武井凜生/小林倫太朗(ふたば未来学園)を15本、17本に抑えて勝ち上がる。一方の高岡第一ペアは、南茂斗羽/竹澤陽生(勝山)との北信越対決をファイナル14本で撃破。2ゲーム目を失っても気持ちで引かず、攻めの姿勢を崩さなかった。
その大田/佐々木が、決勝も躍動する。硬さの見える馬屋原/宮下に対し、サービスまわりから上げさせる展開でリズムをつかむと、第1ゲームを17本で奪取。第2ゲームは勝負所でミスが出て15本で失ったが、ファイナルゲームは攻めのレシーブから相手のミスを誘発するなど、強気のプレーで攻めきった。最後はねばる相手を振りきって21-18。北信越予選3位の1年生ペアが快進撃を見せ、勢いよく男子ダブルスの頂点に立った。
【優勝コメント】
大田「素直にうれしいです。決勝は団体戦でボロ負けした相手でしたが、一度対戦しているぶん特徴がわかっていて。頭を使ってしっかりラリーできました。ただ、今回の1位は組み合わせに恵まれた部分が大きい。実力的に全国1位なわけではないので、夏の地元のインターハイでは実力で取りたい。本当の1位になれるように、また練習を頑張っていきたいです」
佐々木「まだ優勝した実感がないのですが、すごくうれしいです。決勝は少し緊張して硬くなる部分もありましたが、声を出して向かっていけた。プレー面では、サービスを浮かせずに入れて、自分たちの攻めの形を作れたのがよかったと思います。でも、内容がよかったとは言えないですし、実力はまだまだ下。夏までにもっとレベルアップして、もう一度優勝して、自分たちの強さを証明できるようにしたいです」
【男子シングルス】
シングルスは、最終日に勝ち上がったジュニアナショナルメンバー3人のうち、第1シードの齋藤駿(ふたば未来学園)、後藤拓人(浪岡)の2人が準々決勝で姿を消した。
順当に駒を進めたのは、埼玉栄のエース・森口航士朗。地力の差を見せつけて準々決勝と準決勝を勝ち上がると、決勝は九州チャンピオンの田中市之介(瓊浦)に苦しみながらも2-1で勝利。優勝候補の齋藤や、埼玉栄の馬屋原光大郎をねばり強く下した勢いある相手だったが、「最後は気持ちの勝負だった」と森口。決めたい気持ちからミスを重ねた第2ゲームから立て直しを図り、ファイナルゲームは我慢強くチャンスメーク。持ち味の角度あるショットを生かして得点を重ねていった。
最後はスマッシュを相手コートに突き刺して21-17。観客はいないが、この日の最後の試合を見守った大会関係者たちから、両者の健闘を称える温かい拍手が送られた。
【優勝コメント】
「全国では初めての優勝で……まだ実感が湧かないですが、とにかくうれしいです。準決勝で馬屋原が相手を苦しめてくれて、周りに期待してもらっているぶん緊張したんですけど、ベンチで山田(秀樹)コーチが声を掛けてくれたのが心強くて。踏ん張ることができました。自分一人だったらきっと、勝てなかったと思う。すごく感謝しています。今のままではインターハイで3冠できないと思うので、体力とか気持ちの部分を、埼玉に戻ってまた一から鍛え上げていきたいです」
【男子個人戦の結果】(28日)
◆男子ダブルス
▼準決勝
馬屋原光大郎/宮下怜(埼玉栄・埼玉)②〔21-15、21-17〕0●武井凜生/小林倫太朗(ふたば未来学園・福島)
大田隼也/佐々木大樹(高岡第一・富山)②〔21-8、17-21、21-14〕1●南茂斗羽/竹澤陽生(勝山・福井)
▼決勝
大田隼也/佐々木大樹②〔21-17、15-21、21-18〕1●馬屋原光大郎/宮下怜
◆男子シングルス
▼準々決勝
田中市之介(瓊浦・長崎)②〔21-16、21-15〕0●齋藤駿(ふたば未来学園・福島)
馬屋原光大郎(埼玉栄・埼玉)②〔18-21、21-13、21-15〕1●増田翔(柳井商工・山口)
川島一将(高岡第一・富山)②〔21-10、21-18〕0●後藤拓人(浪岡・青森)
森口航士朗(埼玉栄・埼玉)②〔21-17、21-9〕0●千葉倫也(聖ウルスラ学院英智・宮城)
▼準決勝
田中市之介②〔21-11、17-21、21-19〕1●馬屋原光大郎
森口航士朗②〔21-8、21-11〕0●川島一将
▼決勝
森口航士朗②〔21-19、13-21、21-17〕1●田中市之介
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取材・文/バドミントン・マガジン編集部 写真/井出秀人