3月17日から21日までBWFワールドツアー・ヨネックス全英OP(イングランド・バーミンガム/Super1000)が開催される。この1年間、新型コロナの影響で多くの大会が中止、延期となる中、昨年に続き大会を開催。格式高い全英OPは、今回で111回目を迎える。ここでは、世界トップの誰もが憧れる全英OP各種目の展望を紹介。最終回は混合ダブルスにクローズアップする。
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混合ダブルスは世界ランキング上位の中国勢が欠場したことで、前回の全英王者・ジョルダン(上写真・左)/オクタビアンティ(インドネシア)が第1シードに入った。第2シードは2018年の覇者である渡辺勇大/東野有紗。伝統の全英OPの優勝争いは、この2ペアを中心に進んでいきそうだ。
ジョルダン/オクタビアンティは1月の3大会に出場。ヨネックスタイOPでは準優勝の成績を残したものの、中国や日本勢が不在の中ではやや物足りない結果に終わっている。今回も上位陣が欠場となっているだけに、ここでしっかり好結果をつかみ、次戦以降に弾みをつけたいところだ。
3年ぶりの優勝をねらう渡辺/東野にとっては、1年ぶりの国際大会。過去に2回も決勝に進んでいる相性のよい大会だけに、頂点奪還のチャンスは十分にありそうだ。このほかの上位候補は、混合ダブルスのWR上位選手を擁するマレーシアやイングランド、デンマークペアの名前が挙がる。1月の3大会で活躍したフランスのジケル/デリューは、3月のスイスOP(Super300)でも優勝。ブレークの予感がする2人にも注目が集まる。
【日本選手1回戦の対戦相手】
渡辺勇大(左)/東野有紗(WR6位)
1回戦:ラバー/トラン(フランス)
2人にとっては1年ぶりの国際大会。最大のライバルであった中国ペアが欠場しているため、ここで3年ぶりの優勝をつかみたいところ。初戦で戦う世界ランク39位のフランスペアは、普段通りの実力を発揮すれば問題のない相手だが、注意が必要なのは2回戦。ここではデンマークのクリスチャンセン/ボエ、オランダのタベリング/ピキの勝者と対戦する。ともにWR10位台のペア。侮れない相手だ。
金子祐樹(左)/松友美佐紀(WR23位)
1回戦:ランキレッディ/ポンナッパ(インド/19位)
昨年の全日本総合混合ダブルスで準優勝を飾り、同種目で日本A代表入りを果たした金子/松友。これまでは男女ダブルスとの兼任で混合ダブルスに出場していたが、今回から混合ダブルスに専念して上位をねらうことになる。1回戦の相手は、インドのランキレッディ/ポンナッパ。シードではないものの、実力はWR上位にも引けをとらない相手だけに、初戦から苦戦を強いられそうだ。
保木卓朗/松山奈未(WR28位)
1回戦:タン・キアンメン/ライ・ペイジン(マレーシア)
混合ダブルスでは、過去に上位大会で好成績を残したこともある保木。昨年までは永原和可那とのペアで国際大会に参戦していたが、今回は松山とのペアで出場する。初戦からマレーシアのシードペアと対戦するため厳しい戦いが予想されるが、失うものがないだけに勢いでぶつかっていきたい。
【全英選手権】
1899年に第1回大会をロンドンで開催。当初は男子ダブルス、女子ダブルス、混合ダブルスの3種目で行なわれた(翌年から男女シングルスも実施)。バドミントンの国際大会としては、最も古い歴史を持つオープントーナメントとして知られている。
1977年に世界選手権が開催される以前は、世界の頂点を決める大会として世界のトップ選手が出場し、多くの名勝負を繰り広げてきた。
日本選手は1960〜70年代にかけて、女子シングルスに出場した高木紀子、湯木博恵、竹中悦子などが優勝。女子ダブルスでも相沢マチ子/竹中悦子、徳田敦子/高田幹子などが頂点に立っている。最近では2016年に女子シングルスの奥原希望、女子ダブルスの髙橋礼華/松友美佐紀が単複W制覇を遂げたほか、2018年は混合ダブルスの渡辺勇大/東野有紗が、同種目日本勢初の優勝。2019年は男子シングルスの桃田賢斗が同種目初優勝を遂げ、2020年は男子ダブルスの遠藤大由/渡辺勇大、女子ダブルスの福島由紀/廣田彩花が頂点に立っている。※選手名は当時
【注意】
記事内の展望は3月3日時点でのエントリー状況などから作成しています。海外選手など欠場している場合がありますのでご了承ください。
文/バドミントン・マガジン編集部
写真/BADMINTONPHOTO