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【日本代表情報】朴柱奉日本代表監督が2020年を総括「遠征中止もあったが、よい結果を残していた」

新型コロナの影響を受けた2020年のバドミントンは、他競技と同様に国内外の大会が数多く中止となった。世界トップクラスである日本代表の活動も制限されており、合宿が再開されたのは9月に入ってから。多くの代表選手たちが、所属チームでの強化に取り組む日々が続いた。ここでは、日本代表を率いる朴柱奉ヘッドコーチによる今年1年の総括などを紹介する(取材/全日本総合期間中の12月26日。取材時点では2021年日本代表内定選手は未発表)

−−2020年を振り返って。

朴監督 この1年、コロナの問題によって日本代表の遠征と合宿が中止となり残念でした。今年1月は、マレーシアマスターズ(Super500)で男子シングルスの桃田賢斗選手が優勝するなど、いいスタートを切っていましたし、3月のSuper1000の全英OPでも男子ダブルス(遠藤大由/渡辺勇大)、女子ダブルス(福島由紀/廣田彩花)が優勝できました。そこから6カ月以上の遠征中止もありましたが、(10月の)デンマークOPなど開催された大会だけでいうのなら、結果は残したかなと思います。ただ、1月に関しては桃田選手が交通事故のアクシデントがあり、これは非常に大きなショックでした。

日本としては、(3月以降)パフォーマンスを上げていくチャンスがあっただけに、合宿や遠征が全部中止になったのはとても残念です。本当は6月からNTC(味の素ナショナルトレーニングセンター)を使って合宿を行なうつもりでいましたが、感染状況もあって選手の所属チームから心配の声が上がり、中止となりました。7月、8月も予定していましたが、こちらも各チーム・選手が心配していたので、キャンセルしています。

6月から7月までの間は、各種目の担当コーチが選手たちと電話やビデオ電話などでコミュニケーションをとっていました。8月に入ってからは、担当コーチが所属チームに行って、一緒に練習したりパフォーマンスをチェックする機会も作っています。9月にようやく合宿を再開し、その後も10月、11月と合宿を行なっています。こちらはA代表、B代表どちらも見ました。9月の最初の合宿では、どこまで選手たちがパフォーマンスをキープできているか、心配がありました。でも、私の不安していたよりも、所属チームでしっかり状態をキープしていたので、安心はしました。

--来年に向けて。

朴監督 日本代表は1月3日からタイに出発します。2回のタイOPを戦い、ポイントによってワールドツアーファイナルズにも出場できますが、この1月の試合はオリンピック出場に関わるポイントではありません。ただ、世界ランキングポイントは獲得できます。この世界ランキングは、オリンピックのシードに関わるため、やはり大事な試合。10月のデンマークOPには6人だけ参加しましたが、今回は日本代表全員が参加する予定です。そして、ライバルの中国や韓国、インドネシア、マレーシアのトップ選手らも参加します。全英OPは代表選手がほとんど出場しましたが、、デンマークOPは全員ではなかったので、来年のタイOPが久しぶりです。私としては、中国、インドネシア、マレーシアなど他国の状況がチェックできる機会なので、タイOPでは勝負にいって、ライバルチームがどこまで変わっているかを確認したいです。

−−12月に国際大会の新しいスケジュールが発表された。3月以降の遠征について。

こればっかりわかりません。3月に予定している全英OPも、イングランドの状況によってはキャンセルの可能性もある。合宿はできれば1カ月に1回は行ないたいですが、今の時点ではわからないとしか答えられません。

−−コロナの感染状況も変わっているが、合宿はどう対応していくのか

朴監督 NTCで合宿しましたが、感染症対策という意味で一番安全なのはNTCで練習することだと思います。合宿の集合日にはPCR検査も行ない、練習もシングルスとダブルス、男女バラバラに行なっています。練習をチェンジする時は、必ず換気をするなど、注意して行なっています。

−−事故から復帰した桃田選手のプレーを、朴監督はどう見ているか

9月の代表合宿前に、NTT東日本の練習に行って桃田選手の様子を確認しました。その時はパフォーマンスも順調で、しっかり練習ができていたと思います。合宿での状態、また全日本総合の様子を見る限りでは、世界一のレベルをしっかりキープしていると思います。練習の面においては、事故前と同じかなと思います。

−−桃田選手の総合で試合勘や緊張度というのは、朴監督からどのように見えているか。

朴監督 試合だからプレッシャーはあります。国内の試合とはいえ、久しぶりの試合は誰でもプレッシャーがあるでしょう。ただ、総合の1週間というのは、来年のタイOPに向けてはいい経験、準備につながったはずです。タイOPは桃田選手にとって海外の大会でいうと1年ぶりの試合になるわけですから、最初のタイOPの1回戦の試合でしっかりスタートをきることができれば、大丈夫だと思います。

−−桃田選手に物足りなさを感じる部分、または成長を感じる部分は?

朴監督 桃田選手は長く世界トップクラスの選手と試合をしていないので、スピードという面では、これまでに比べると足りないイメージがありました。でも、相手のレベルが高くなれば自然とスピードは上がると思いますし、今回の総合では、自分なりにコントロールをしていたのだと思います。

−−デンマークOPで優勝した奥原希望選手も順調ですか。

朴監督 デンマークでは、キャロリーナ・マリーン(スペイン)に勝ちました。気持ちで戦っていたし、自信がついてよかったと思います。総合での試合を見ても、他の選手よりも動きは速く、よいコンディションだと思います。

−−今大会の(準々決勝までの)試合では、A代表が負けた種目もあります。選考などはどう考えていくか

朴監督 とても頭が痛いですね(苦笑)。A代表が負けたのは、久しぶりの試合というのもあっただろうし、プレッシャーも大きかったでしょう。総合はナショナル選考会のイメージがありますから、ナショナルに入りたい選手たちのモチベーションも非常に高い。ナショナル選手が負けたのは残念でありますが、逆を言えば代表ではない選手が勝っているのは、日本のバドミントンのレベルが上がっている証拠でもあります。いずれにせよ、来年のナショナルチームの選考は頭が痛い。いろいろ考え中です。

--混合ダブルスにA代表2組を入れることはあるか。

朴監督 強化本部でも話しをしていますが、それはあると思います。今は渡辺勇大/東野有紗がA代表ですが、日本はミックス専門のペアが少ない。ミックスはできればもう1ペア、A代表にほしいという考えがある。現在はB代表が4ペアですけど、Aに1組上がれば練習も充実すると思います。

−−代表監督の契約が2025年3月まで延長したことについて

朴監督 今は東京オリンピックで、とにかくメダルをとるのが一番です。ただ、12月に久留米で行なわれたB代表とU-19の合宿に参加しましたが、パリ五輪を見据えたU19の選手たちを見ることができたのはよかったです。いいチェックができました。

取材・構成/バドミントン・マガジン編集部

写真/菅原淳

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