12月27日に開催された第74回全日本総合選手権(東京・町田市立総合体育館)最終日は、男女シングルス、男女ダブルス、混合ダブルスの決勝戦が行なわれた。ここでは、女子シングルスで2連覇を飾った奥原希望のコメントを紹介する。
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奥原希望
(太陽ホールディングス)
決勝戦結果:山口茜(再春館製薬所)に2-1で勝利
−−ファイナルゲームの苦しい接戦を抜け出して2連覇達成
出だしは、茜ちゃんのスピードが速くてついていけなかったけど、第2、3ゲームでは茜ちゃんのリズムやスピードに対応できるようになりました。ファイナルゲームは(序盤に)離されましたが、今大会の目標である“一球を大切に戦う”ということができたので、少しずつ私のリズムになったのかなと思います。こうやって茜ちゃんと世界トッププレーヤーとして、レベルの高い試合を全日本総合という舞台で出せたのは誇らしいことだと思います。
−−2連覇の喜びはそこまで見えない感じだが
また新たな課題が見えた試合だったと思います。でも、コロナの期間に取り組んできたベースという面で、相手に少しずつプレッシャーを与えられたかなと。私の何気ない球、何気ないショットによって、相手は“何かしたい”“何かしなきゃ”と思ってプレーしていたように感じました。とくにファイナルゲームの後半は、茜ちゃんから“どうにかポイントを取りたい”というふうに見えたのですが、それは私の仕掛ける球だったりがそうさせたのだと思います。そういった一球一球の精度や意図のところで、今回は私のほうがちょっとだけ上回っていたかなと思います。
−−画面越しに伝えられたことは?
茜ちゃんとの、世界トッププレーヤーとしての駆け引きです。お互い身長が同じ選手ですが、昨日(準決勝)のインタビューでも話した通り、“盾と矛”というか、茜ちゃんがすごいアグレッシブなのに対して、私は堅実なプレー。一球一球、布石を打ちながら、詰将棋みたいなプレーです。そういった部分での駆け引きを、画面越しに伝えられたかなと。今日はお互いのよさは出ていたので、それが画面越しに届いたらいいなと思います。
−−最後、デュースに追いつかれたところで攻めきったが。
試合を全体的に見ると、茜ちゃんが最初にスピードを上げて、私がついていく展開でした。その中でファイナルゲームの終盤、20-19となった時は私がミスしたのですが、さらに20オールとなった場面では、私が合わせた球に(山口が)スピードを上げて打ってきました。でも、その後は茜ちゃんがきつそうに見えた。私はフィジカル的にも余裕があったので、そこから相手に合わせるだけではプレッシャーがかからないと思い、自分が無理しない程度に、いけるところはいこうと思って、7割ぐらいで仕掛けたところが、うまくはまったと思います。
−−前回の優勝との違いは?
去年とはまったく違ってます。決勝の相手は茜ちゃんで、世界のトップ同士がこれだけ内容の濃い試合をして、勝ちきれたのは大きい。去年は、出だしで余裕がなくなっていたけど、今年はちょっとした焦りやミスがあっても、動揺しなかった。明確にやるべきことができていたので、そこが違うところです。コロナの休みの期間に取り組んできた中で作り上げてきた部分。揺るぎない自信というのが、今回と前回の違いだと思います。
取材・構成/バドミントン・マガジン編集部
写真/菅原淳