12月24日に開催された第74回全日本総合(東京・町田市立総合体育館)3日目は、5種目すべての2回戦が行なわれた。1回戦は上位候補選手が順当に勝ち上がったが、2回戦は日本代表クラスの選手らが敗退するなど、波乱も起こった。ここでは、男子シングルスのダイジェストを紹介する。
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【男子シングルス】
テレビ中継が入った2回戦。第1コートに立った桃田賢斗(NTT東日本/上写真)は、高校卒1年目の秦野陸(トナミ運輸)と対戦した。「緊張しすぎて、どういう展開なのか全然覚えていないくらい。返すのが精いっぱいで…」(桃田)と振り返ったように、第1ゲーム序盤から飛ばしたのは秦野。長い手足を生かしてシャトルに追いつき、179センチの長身から鋭いショットを打ち込んでいく。桃田は6−6で追いつき、9−8で初めてリード。中盤からは勝負どころでノータッチのエースを奪うなどして突き放し、21−15で第1ゲームを制した。
第2ゲームに入ると、桃田はスピード勝負から一転、ゆっくりな展開で得点を重ねるなど、ペースを操る巧みな試合運びを披露。若き挑戦者を21−9と抑え込み、37分の戦いを終えた。
この日、最長の85分の激闘となったのが、下農走(トナミ運輸/上写真)と奈良岡功大(IMG)のB代表対決だ。昨年も2回戦で当たり、奈良岡がストレート勝ち。「去年はコテンパンにやられてしまって、それがすごく悔しくて、この1年間トレーニングを積んできた」という下農が、序盤から見事なラリーを展開した。鋭いショットを突き刺すだけでなく、スマッシュに強弱をつけるなど緩急をつけて、奈良岡のミスを誘っていく。第1ゲームはじっくり27分かけて21−13で下農が奪った。
第2ゲームに入ると、相手に合わせるようなクリアーを打っていた奈良岡が、一転して攻撃的な姿勢に。スマッシュやカットを放ってシャトルを沈め、下農のレシーブミスを誘う。第2ゲームは21−17で奈良岡。この時点で試合時間は1時間を超えていた。ファイナルゲームは、奪われた第2ゲーム終盤も集中力を切らさなかった下農が、奈良岡を13本に抑えてゲームオーバー。見事にリベンジを果たし、準々決勝進出を決めている。
第2シードの常山幹太(トナミ運輸)、第3シードの西本拳太(岐阜県協会)、はそれぞれ2−0で勝利し、ベスト8に進出。A代表の渡邉航貴(日本ユニシス)は同チームの先輩、小野寺裕介に2-0のストレート負けを喫した。また、大学生の嶺岸洸(法政大)が、B代表の五十嵐優(日本ユニシス)にストレート勝利を収め、初のベスト8進出を果たしている。
取材・文/バドミントン・マガジン編集部
写真/菅原淳