12月9日、東京都内のヨネックス東京ショールームにおいて、来年1月に開催されるBWFワールドツアー3大会でヨネックスがサプライヤーおよびスポンサーとしてサポートすることを発表した。オンライン記者会見には、ヨネックスの林田草樹代表取締役社長のほか、桃田賢斗、東野有紗も出席。記者会見および会見後に、桃田と東野が取材に対応。それぞれ、近況や2週間後に迫る全日本総合への意気込み、来年のワールドツアーに向けた熱い思いを語った。
以下は桃田との質疑応答。
――今、どれくらい練習ができていますか。
桃田 試合ができていないぶん、課題だったり収穫だったり感じづらい部分はあると思うのですが、会社の方、用具提供してくださるヨネックスさんのおかげもあり、毎日、なんのストレスもなく、充実した練習ができています。
――タイの国際大会の前に12月には全日本総合がある。総合の位置付けと、目標について教えてください。
桃田 全日本総合は一発勝負。本当に久しぶりの試合で、緊張も当然すると思います。思い通りにいかないこともあるでしょうし、パニックになったときの対応も以前のようにできるかという部分もあると思います。海外の試合に出るときは、自分が日本のエースとしてプレーしています。国際大会が再開されるのは本当にうれしいことなんですが、まずは目の前の全日本総合を本気で取りにいきたいなと思います。
――1月にマレーシアでの交通事故でケガを負ってから1年近く経つが。
桃田 もう完全に完治しています。なんのストレスもなく、思いきってプレーできると思います。
――試合勘に関しては。
桃田 そうですね。試合勘は不安な部分ではありますが、そこはみんな同じ条件なので、ネガティブに考えずに…。でも、そこの気持ちの整理もうまくできたほうが、勝ちを呼び込めると思うので、冷静に試合中も自分を客観視しながら、プレーできたらいいかなと思います。
――来年はオリンピックイヤー。幸先のいいスタートを切る上でも、タイでの2大会(ヨネックス・タイOP、トヨタ・タイOP)は重要になる。あらためてどういう大会にしたいか。
桃田 まだ誰が出るかわからないのですが、世界のトップの選手が集まってくると思います。本当に混戦になると思うのですが、そこで優勝することができたら、いい流れ、いいリズムで次の大会に臨める。相当自信になると思うので、いつも以上に緊張感をもって、一戦一戦どん欲に、勝ちにこだわってプレーしたいなと思います。
――試合がない期間に具体的に取り組んできたことを教えてください。
桃田 連戦のときはウエイトトレーニングやフィジカルトレーニングは重点的には取り組むことができなかったので、(試合がない)こういう状況でもありますし、毎日毎日、自分の欠点や課題を突き詰めながら、練習ができています。あとは、本番でのリアルと自分のイメージのギャップというのを少しずつ自分の中で修正していけたらいいかなと思います。
――すごく体が絞れている印象です。体重やトレーニングの重さなど、何か数字や数値に表れている部分はありますか。
桃田 周りから「痩せた」と言われるんですけど、正直、体重などはそんなに変わっていなくて…(笑)。数字的にも、それほど飛躍的に伸びている部分はないんですけど、ただ、これだけ試合をしていない期間が長かったら、プレースタイルも多少は変わっていたりするかもしれないです。自分でも気づいていない部分もあるかもしれないですし、試合では、そういうところも注目して見てもらえるといいかなと思います。
――コロナの影響で先が見えない状況が続いていた。どんな思いで練習を続けてきたか。
桃田 自分はどの大会でどういう結果を残すというより、毎日毎日バドミントンを楽しんでいた感じです。優勝をめざして頑張りたいという気持ちももちろんありますが、自分の中では「もっともっと上手になれる」「もっともっと強くなれる」という気持ちで練習しているので、特にモチベーションも下がることなく、毎日充実した練習ができていました。そうした練習ができているのも周りの関係者の方々のおかげですし、そうした方々への感謝の気持ちをもって、復帰戦はしっかり頑張りたいなと思います。
――タイOPは、桃田選手にとって約1年ぶりの国際大会となる。これだけの長い期間空いたのは、ハンディと感じるか。それとも楽しみのほうが大きいか。
桃田 それは圧倒的に楽しみのほうが大きいですね。この期間にもしかしたらとんでもなく強くなっている選手がいるかもしれないですし。そうなったらそうなったで、その選手を倒すために、もっともっと頑張らなきゃいけないので、それはそれで楽しみですね。この期間、試合がなかったので、まだ世界ランキング1位。第1シードにいると思うので、そういったプレッシャーもありますが、自分の出せる力は全部出しきりながら…。1月の事故もあって、心配してくれる方もたくさんいると思うので、完全復活したところを見せられたらいいかなと思います。
取材・文/バドミントン・マガジン編集部