大学生と社会人の交流対抗戦『Badminton Survivor(バドミントン・サバイバー)』が、11月25日から愛知県の一宮市総合体育館で開催。最終日となった27日は、男女各シングルスの準々決勝から決勝までが行なわれた。
男子シングルスを制したのは、日本B代表の田中湧士(日本大)。準々決勝では竹内宏気(丸杉Bluvic)、準決勝では西野勝志(東海興業)をストレートで退け決勝進出。決勝では、田中に次ぐシードだった嶺岸洸(法政大)が、試合序盤に左太ももをつり途中棄権となったため、田中が今大会最後の“サバイバー”となった。
決勝こそあっけない幕切れとなったが、大会を通じて安定したプレーをし続けたことは、タフな連戦を勝ち上がるために必要な要素でもあった。まさに勝者にふさわしい戦いぶりだったと言うべきだろう。
ポーカーフェイスで淡々とポイントを重ねていった田中だが、大会前にはチーム内でのゲーム練習でチームメートに敗戦を喫するなど苦しい時間を過ごしてきたという。その中で、「表情から、すべてにおいて相手が嫌だなと思うようなプレーをしていかなければならない。苦しくても顔には出さないようにしました」と、苦しい時期から今大会に臨むヒントを得ていた。
インカレ個人戦の代替大会ともいえる交流大会を制し、「自分から向かっていけたかなと思います」と納得の表情を見せた。
大会最終日のベストマッチは、準決勝の嶺岸と相澤桃李(日本大)の一戦だろう。第1ゲームを相澤、第2ゲームを嶺岸が取り、勝負はファイナルゲームに突入。一進一退で中盤までどちらが勝ってもおかしくなかったが、終盤に嶺岸がギアを上げ、連続得点。21-14と突き放して決勝へ進んだものの、このロングマッチで嶺岸の身体が限界を迎えた。
男子シングルスでは、大学生プレーヤーが上位へ勝ち上がり、まさにインカレの代替大会といった、緊迫感があふれる雰囲気だったことも印象に残る。運営に携わったスタッフからは、「大学の公式戦があるなしにかかわらず、来年も開催したい」という声が上がっていた。
【優勝した田中湧士のコメント】
「B代表に入って初めての大会で、追われるプレッシャーというのも初めての経験でした。苦しい時期が続いたんですが、今回の試合は自分から向かっていけたかなと思います。チームでは、コロナ禍でモチベーションが難しい中でも、自分が先頭に立って、モチベーションを上げていけるように取り組んできました。チームとしてシングルスでもダブルスでも成長が見られた試合が多かったんじゃないかなと思います。来年は、団体戦で優勝するのが目標です」
文/バドミントン・マガジン編集部
写真/宮原和也