高校生へエールを送る「明日へのエールプロジェクト」。その一環で、7月10日(金)、元日本代表の小椋久美子さんが高校生を対象とした「オンラインエール授業」を行なった。
同プロジェクトは、2020年インターハイが中止となったことを受けて、インターハイをオンライン中継するインハイ.tvと公益財団法人全国高等学校体育連盟が、インターハイ全30競技の部活動を行なう高校生に向け、アスリートや全国の有志からのエールを届けるというもの。
小椋さんは、大阪と三重から参加した高校生および高校指導者に向けて、オンラインで直接エールを送るとともに、約1時間にわたって質問に答えた。
小椋さんによる授業は、スポーツジャーナリストの生島淳さんの司会進行により、「明日への技術」「明日へのメンタル」「明日へのエール」の3部構成で行なわれた。
「明日への技術」では、「サーブが入らない」「スマッシュを速く打ちたい」「ハイクリアーが飛ばない」といった参加者の技術的な悩みや課題に、小椋さんが自身の経験をふまえ、詳細にアドバイスを送った。
また、「明日へのメンタル」では、「試合前に緊張してしまう」というメンタル面の質問について回答。試合前のアップの仕方で緊張をほぐすフィジカル的なアプローチ方法から、「練習の段階で追い込んで、試合では“誰よりも練習してきた”と自信を持つようにする」「プレッシャーがかかったときに、なぜ自分はプレッシャーを感じるのか、緊張するのかと自分の内面を深堀する」といったメンタル的なアプローチ方法まで、いくつもの緊張を克服する考え方を教えてくれた。
「明日へのエール」では、自身のバドミントンキャリアにおける後悔と、それを引退後の現在に生かしていることについて高校生たちに熱弁。
「五輪でメダルをめざしていましたが、メダルが取れず、悔いも残りました。なぜ力を出しきれなかったかと考えると、五輪前に自分のやってきたことを信じきれず、さらにやり込まないとダメだと思い、体を追い込みすぎ、結果的に万全なコンディションには程遠かった。なによりも自分を信じてあげられなかった後悔があります。自分が頑張ってきたことは間違いない。だからこそ、引退後の第二の人生では、どんなことがあっても、自分のことだけは信じてあげようと思うようになりました」
授業を終えて、参加した高校生たちの印象について、「強くなりたいという思いが伝わってきましたし、前向きな生徒が多かった。インターハイなどがなくなり、前向きになる方法を質問されるのかと思っていましたが、気持ちを切り替えて前向きになっている印象を受けました」と小椋さん。
全国の高校生に向けて「コロナの影響で大会がなくなり、今年が集大成の選手もいたと思う。ただ、私自身がひとつだけ思うのは、しっかりと願いを持って頑張れば、叶わないことはないということ。私自身がバドミントンで五輪メダルを取るという願いは叶いませんでしたが、その先の人生で、バドミントンで多くの人と出会いたいという願いは叶っている。願いは、すぐに叶わなくても絶対に違う形で叶うと思う。だから、前向きに頑張ってほしい」と、熱いエールを送った。
このオンラインエール授業のもようは、後日、「明日へのエールプロジェクト」公式サイト(https://sportsbull.jp/inhightv/online-yell/about/)にて、アーカイブとして公開される予定だ。
取材・文/バドミントン・マガジン編集部