6月26日(金)、男子シングルス日本代表の桃田賢斗(NTT東日本)が、オンライン記者会見を行なった。約3カ月半ぶりの会見では、新型コロナウイルス感染拡大によって延期となった東京オリンピックについての感想、現在の練習状況、また眼窩底骨折の手術後の状態などについて語っている。<その1はこちら>
///試合勘で不安なところはある
――オリンピック延期が決まった時に「動揺した」と話していたが、具体的にどういう感情が生まれたか。
桃田 (3月頃は)連日のニュースの中で“延期になる可能性が高い”と思っていました。延期が決まった時は、何で知ったのかは覚えていません。ただ、手術が終わって五輪まで約半年しかない状況で、一日一日を全力で過ごしていこうと思っていたので、ペース配分だったり、“もっとやらなきゃ”という気持ちを整理するのが少し難しかったです。
――大会がない状況の中で桃田選手はSNSを活用している。この期間、そういった取り組みや考え方に変化があったのか。
桃田 本来はコートの中で(感謝の気持ちなどを)表現できたらと思っていますが、いまは会場でプレーを見せる機会がなくなってしまったので、SNSで交流を持つようにしました。SNSでは、ファンの皆さんといつも以上に近い距離で話すことができました。特にジュニアとの交流では、子どもたちが“こういう選手になりたい”と思える機会になればいいなと考えていましたし、自分もジュニアにもっと夢を与えたいと思うようになりました。今後も、こういう機会があれば様々なことに取り組んでいきたいと思います。
――事故前と比べて(パフォーマンスは)どれくらいのレベルまで戻っているのか
桃田 実際に試合をしていないので、どのレベルか、どの段階にいるのかは明確ではないです。でも、自分の感覚的には、ゲーム練習が普通にできるくらいのレベルまでには戻ってきているかなと思います。
――具体的にどういう練習をしてコンディションを維持しているのか
桃田 5月は人数制限がある中、チームで練習をしていました。すぐには以前のレベルでプレーすることができなかったので、地道な基礎練習が多かったです。今は一日練習などはせずに、午後に練習をしています。
――試合から離れている期間が長くなっているが、次の試合では体力面、試合勘など、どういった部分が不安材料となりそうか。
桃田 試合勘の部分で不安なところはあります。相手との駆け引きもそうですし、海外の大会は風があるので、(再開後に)そういったところに対応できるか。また、相手と対峙した時に強い気持ちを持ってスムーズに試合を進められるかというのが、一番不安な部分かなと思います。
――事故後は「シャトルが二重に見える」という状況だったが、現在のトレーニングの中で視界に違和感はあるか。
桃田 プレー中はまったく問題なく見えています。(回復状況は)98パーセントぐらい。事故前と同じように見えています。
――眼以外の部分で違和感を感じることは?
桃田 毎日トレーナーの方に診てもらったり、サポートを受けているので、体に問題はなく、元気にプレーできています。気持ちの面を合わせて、100パーセントの状態で毎日練習に取り組めています。
――トップレベルを想定した練習をするのが難しくなっているが、その中でどんな工夫をして練習に取り組んでいるか。
桃田 世界トップレベルの選手と練習ができていない状況ですが、これまで戦ってきた選手のプレーが自分の中にイメージとして残っているので、そのスピードやパワーに負けないようにしながら、練習に取り組むことはできています。
――具体的にどういった選手をイメージしているか
桃田 特にどの選手をイメージしているというのはないですが、パワー、スピード、スタミナすべての質を高めていけるような取り組みはできていると思います。
3月6日の記者会見の様子はこちら
取材・構成/バドミントン・マガジン編集部
写真/代表撮影