各種目のトップ選手たちの勢力図をイメージしたとき、桃田賢斗が絶対王者に君臨する男子シングルスとは対照的に、女子シングルスは混戦といっていいだろう。
3月17日付で凍結されている世界ランキングで見れば、台湾の戴資穎(タイ・ツーイン)、中国の陳雨菲(チェン・ユーフェイ)のトップ2を追うのが、日本の山口茜、奥原希望ということになるが、昨年の世界選手権ではインドのプサルラ・V.シンドゥが初制覇を果たしており、いずれの選手の力も接近しているといっていい。
そして忘れてはいけない存在が、リオデジャネイロ五輪の金メダリストであるキャロリーナ・マリーンだ。
世界ランク3位の山口茜と世界ランク6位のマリーンとの対戦成績は13度の対戦でマリーンが7勝、山口が6勝。また、同4位の奥原希望とマリーンの対戦成績は16度の対戦でマリーンが9勝、奥原が7勝。日本の二人もほぼ五分の勝負を挑んでいるといっていいが、世界選手権で3度優勝、リオ五輪でも頂点に立っているマリーンの大舞台での勝負強さは、地元・東京での五輪でメダルをねらう日本の二人にとって大きな脅威であることは間違いない。
今年のはじめに奥原にインタビューをする機会があったのだが、その際に奥原はライバルであるマリーンの強さについて「勝負に対してのどん欲さ。その部分では、彼女がナンバーワンだと思っています。本当に勝負強い選手」と語っている。
東京オリンピックで五輪連覇をねらうマリーンに、悲劇が起きたのは昨年1月。試合中に右膝の前十字靭帯を断裂。「東京オリンピックに出場するという望みをなくした」という大ケガだったが、それからわずか8カ月でマリーンは実戦のコートに戻ってきた。
この復活劇を彼女のコーチを務めるフェルナンド・リバスは「奇跡のような出来事ではない」と断言する。コートを離れた期間も、不屈の闘志で、リハビリやトレーニングに打ち込んできたのだという。
自身も左膝と右膝の2度のケガを経験した奥原は、復活を遂げたマリーンに、「私が経験してきたことを彼女も経験してきたということは、きっと何かをプラスにして帰ってきたということ」と、これまで以上の警戒心と敬意を見せている。
さらに、東京オリンピックの1年延期も復活途上のマリーンにとっては追い風となるだろう。
バドミントン・マガジン6月号では、奥原希望、山口茜のライバルとなるキャロリーナ・マリーンをクローズアップ。その強さを支えるバックグラウンド、そしてケガからの復帰についてコーチであるフェルナンド・リバスが、その復帰ロードで取り組んだことなども明かしている。
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