【今月のテーマ】
サービス&レシーブの順番
ルールブックをCHECK!
第11条ダブルス 第6項
ゲームに勝ったサイドは、次のゲームで最初にサービスをする。ただし、そのとき、どちらのプレーヤーがサービスをしてもよく、また、負けたサイドのどちらのプレーヤーがレシーブしてもよい。
競技規則にも書いてある通り、 ゲームが終わった後、次のゲームで最初に打つサーバーはどちらになっても構いません。第 1ゲームでBくんが最初にサービスを打ち、第2ゲームはペアのAくんが最初でも問題ないわけです。
試合が始まる前のトスの後、主審はサーバーとレシーバーの確認をしますが、これはあくまでも第1ゲームだけのもの。それ以降、主審は各ゲームが始まる前に最初にサービスを打つ人、レシーブする人を目視にて確認し、スコアシートに「S」と「R」を記入します。
競技規則第11条第6項については、意外とこのサーバー&レシーバーの部分を見逃している人は多いようです。日本協会の3級公認審判以上の資格を持っている方で忘れている人がいたら、もう一度、赤本(ルールブック/競技規則)を確認するようにしてください。
また、主審を行なう際に注意したい点があります。それは、インターバル中に確認する行為です。試合前にサーバーとレシーバーを確認するからといって、第2ゲーム、ファイナルゲームのインターバル中に「次のサービスはどっちが打つの?」と聞いている方をたまに見かけます。先に聞いて次のゲームの準備をしたい気持ちはわかりますが、そこは選手の立場を考えてください。120秒という短い時間のなかで、選手・指導者は次のゲームの作戦を考え、休憩をとっています。たとえ数秒であっても、選手によっては集中力が削がれる場合もあるので、主審は両方のペアがコートに入り、それぞれの立ち位置についたことを確認してから、「S」と「R」をスコアシートに記入。そして、ゲームを始めるようにしてください。
このルールでは、サーバーだけではなく、レシーバーも変えていいことになっています。これも主審としては注意しておきたい部分。サーバーは気づきやすいですが、レシーバーはよく見ていないと気づきにくい。「S」「R」を確認しないままゲームが始まってしまうと、試合の途中でサービス&レシーブの順番で混乱してしまいます。選手自身も変えたことを主審に報告する義務はないので、サーバー&レシーバーの目視確認は、主審として当たり前のことだと覚えておきましょう。
余談ではありますが、国際大会などの主審をしていると、たまに最初とサーバーを変えてくるペアがいます。理由を聞いたわけではありませんが、相手との相性だったり、サービスの調子がよかったりと、理由はそれぞれでしょう。中には「サーバー(またはレシーバー)を変えたよ」と報告してくれるペアもいますが、基本的には何もいいません。国内大会ではどちらかというと意識せずに変わっていることも多いので、やはり気をつけて見ることが大切です。
サーバー&レシーバーの順番については、ゲーム最初のサービス以外でも間違いが起こりやすい部分です。とくにロングラリーの後や、汗拭きなどのブレイク(休憩)後は注意しましょう。海外の試合では、サービスが得意、またはサービスレシーブが得意だからといって、わざと順番を変えてくることも。主審がしっかり順番を確認して進行していれば問題はありませんが、選手は少しでも優位に試合を進めたい気持ちが強くなる場面もあります。主審は最後まで気を抜かず、試合を進めるようにしてください。
コラム:審判台の上から
ルールの連載を担当することになった遠井努です。読者の皆さん、よろしくお願いします!第1回ということで、ここでは私の簡単な自己紹介をしておきましょう。
私は、栃木県にある宇都宮南高校で保健体育の教員をしています。そしてBWF公認国際審判員として、年に1〜2回ほど海外で開催されている国際大会に呼ばれ、審判員を務めています。国際審判員になると、1回の出張で1週間以上も本職を休むことになるので、学校にいるときはとにかく“全力”で頑張って、仲間や上司に理解をしてもらっています。ちなみに、国際審判員になる方の職業は教員が多く、そのほかは公務員や会社員、自営業という感じ。いずれにせよ、話を聞くと仕事との両立には職場の理解が大事です。
高校では部活を指導していますが、選手たちに伝えているのは、スポーツは“やる・観る”だけが楽しいのではなく、大会運営や企画を考える楽しさもあるということ。うれしい話として、最近では30歳になった教え子が大会運営に携わるようになるなど、バドミントンを包括的に楽しんでくれる人が増えました。今後はそういった楽しさも伝えていきたいと思っています。また、せっかくですので、ここでも主審や運営のやりがいなどを紹介できたらと思っています。
監修/遠井 努(日本協会理事:競技審判担当)
イラスト/丸口洋平
※この連載は2019年のバドミントン・マガジン6月号に掲載されたものです