【国内ニュース】日本協会が元職員による2018年の公金私的流用を公表

日本バドミントン協会は、3月25日、2018年度に元職員による公金私的流用があったことを記者会見で発表した。私的流用金額は、約680万円。日本代表合宿時における選手の負担金や、グレードの低い国際大会で現金で支給される選手への賞金を協会が徴収していたものを、会計担当者であった元職員が半年にわたって着服していた。

日本協会は2019年3月に事態を把握していたが、公表はせず、理事会で協議した上で、「公益財団法人として欠損を出さないのが責務」という理事会の総意のもと、有志の理事らが損失を補填し、私的流用分を元職員に貸付ける形に収めた。元職員が深く反省し、弁済の意志を示したことから、元職員の社会的立場・人権を配慮し、刑事告訴はせずに、公表を控えた。元職員は2020年6月末に諭旨退職となり、弁済を続けているという。

この元職員の公金私的流用に関して、JOCへ告発があり、JOCは2021年10月末に日本バドミントン協会へ調査・報告依頼をしていた。これを受け、日本協会は外部弁護士や会計士、協会内の倫理委員長を含めたメンバーでの委員会を設置。11月末にJOCへ調査報告書を提出している。

記者会見で元職員の公金私的流用などについて説明した日本バドミントン協会の銭谷欽治専務理事

会見に臨んだ日本協会の銭谷欽治専務理事は、事態を公表しなかったことについて「2019年当時は半年後に東京オリンピック・パラリンピックがあり、そのムーブメントに水を差すことになるのではないか。日本代表選手を守らないといけないという思いと、国やJOC、組織委員会に迷惑を掛けられないということを一番に優先して公表を控えることにした。これは一部のメンバーということではなく、理事会の総意として決めた」と釈明した。ただし、「今となって振り返れば、ガバナンス上、やり方が正しくなかったという点では反省しています」とも語った。

また、JOCが日本バドミントン協会へ調査・報告依頼をした中には、2019年11月に実施した国庫補助事業の日韓高校交流事業における約23万円の不正申請もあったが、これは当時の補助金担当者のミスによる誤った申請手続きだったとして、返金する用意がある旨をJOCへ伝え、最終の精算処理を待っている状況だという。

なお、日本協会としては今後、不正が起きないための再発防止策として、現金での取り扱いの禁止、複数の会計担当者によるチェック体制の強化、内部監査や外部監査による監視・監督の取り組みの強化などを徹底していくとしている。

日本バドミントン協会のウェブサイトでは、協会登録会員へ向けて、この件に関する文書を公開している。

取材・文/バドミントン・マガジン編集部

投稿日:2022/03/25
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