バドミントンにおいて、ラケットはプレーヤーの「手」と同じ役割を果たすといっていい。そのラケットのなかでも「グリップ」は、選手によってテープの素材や巻き方が異なり、独自性が出やすい部分だ。ここでは、トップ選手のグリップへの「こだわり」に迫る。
【連載】Vol.19 金子真大
(トナミ運輸)
かねこ・まひろ◎1999年12月10日、福岡県生まれ。両親の影響を受け名門・岡垣ジュニアで6歳から競技を始める。福島の富岡第一中では1年から久保田友之祐とペアを組み、中3の全中で複優勝。ふたば未来学園高ではJOC、選抜、IHを制し、シングルスでもIH3位などの好成績を残した。高校3年時には世界ジュニアのダブルスで優勝。日本男子複初となる偉業を成し遂げた。2018年に久保田とともにトナミ運輸に入社。18年全日本社会人複2位、19年日本ランキングサーキット複3位などの好成績を残している。168㎝65㎏。血液型B。日本B代表。
グリップの一番のこだわりは「細さ」!
――まず、ラケットのこだわりを教えてください。
いまのラケットは、使い始めて2年くらいかな。けっこう使って、慣れてきました。前衛の人が使うラケットで、振り抜きのよさを重視しています。
――グリップについて、一番のこだわりは?
細さですかね。もともと巻いてあるグリップをはがして木の状態にして、アンダーラップは薄く1周くらい巻くのが持ちやすいです。
――見た目がゴツゴツしていますね!
ほぼ木みたいな感じですよね(笑)。細いと握りやすくて、力が伝わる感じがあるんです。
――持たせていただくと、キャップの下がへこんでいるのがわかるくらい細い! そこに親指をひっかけて打つんですか?
そうですね。いつもはそんなに意識していないですけど、サービスのときは、そこに親指をかけて打ちます。
――前衛を得意とする選手としてのこだわりは、ありますか?
あるといえば、あります。シャフト部分まで長めに巻くのは、同じ前衛タイプの嘉村(健士)さんのマネです。嘉村さんは、もっと長いですけどね(笑)。高校までは、長く巻いたり短く巻いたり適当でしたけど、最近はこれがしっくり来ています。前衛にいるときは、短めに持つので。
――嘉村選手以外で、参考にした選手はいますか?
保木(卓朗)さんのグリップを参考にしていたときもありました。タオルタイプで短く巻く。保木さんはセンスがすごくて、なんでもできるんですよね。
グリップエンドの膨らみは「桃田先輩」のマネ
――巻いているのは、ウエットタイプですね。
タオルにしたこともありますけど、ウエットの方が多いかな。手汗をあまりかかないので。
――巻くときに気をつけているのは?
最近は、テープが重なる幅が5ミリぐらい。あまり重ねずに間をあけています。パートナーの久保田(友之祐)は間をあけなくて、自分も以前はそんな感じだったんですけど。こっちのほうが、意外と持ちやすかったです。
――グリップエンドは、少し膨らませていますね。
毎回こうしています。なんでなんだろう…、止まるからかな? そんなに気にしたことはないけど、誰かのを見てやったのかも……、あっ! 桃田(賢斗)先輩のマネをしました! 中学生くらいのときにやってみて、いいなと思ったんです。
――高校までは、シングルスとダブルスで変えていましたか?
シングルスで使うラケットは、タオルタイプでした。それも、桃田先輩がそうしていたからかもしれないです(笑)。シングルスの人って、ほとんどタオルですよね。
巻き直すのは「秒」で終わる!
――巻き直す頻度は、どれくらいですか?
そこまでこだわりはなくて、汚くなったら巻き替えるという感じです。巻いたけどしっくりこないときは、早めに巻き替えたりして。あと試合前は、けっこう巻き替えるかな。
――久保田選手は時間をかけてじっくりと巻くそうですが、金子選手はどうですか?
「秒」で終わります(笑)! 久保田はこだわっているイメージがありますね。部屋もきれいにしているんですよ。自分は、適当なときは適当、キレイにしたいときはするという感じ。ただし、バドミントンに関する物は丁寧に扱うようにしています。
――色のこだわりは?
白か黄色です。ずっと白ですけど、たまに気分を変えて黄色。S/Jリーグのときは、先輩たちのオシャレを見習って(笑)、黄色でした。
――せっかくなので、久保田選手のラケットと並べて写真を撮りましょうか。
いいですよ。ぼくの方がきれいですね(笑)!
★パートナー・久保田友之祐選手のグリップのこだわりは≫こちら
取材・構成/バドミントン・マガジン編集部、平田美穂
写真/菅原 淳