12月15日に開催されたBWFワールドツアーファイナルズ(中国・広州)最終日は、決勝トーナメント決勝戦が行なわれた。ここでは男女シングルスのダイジェストをお伝えしよう。
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【男子シングルス】
桃田賢斗(上写真・右)は、好敵手のアンソニー・S・ギンティン(インドネシア)と対戦。前日に桃田が「簡単に負ける試合はあっても、簡単に勝てる試合はない。自分が頑張れば長い試合になる」と話したとおり、第1ゲームの序盤から、拮抗した展開となった。
桃田が相手を前後に動かし、高く返された球をスマッシュや前に詰めてのプッシュで攻撃するが、ギンティンは守備から攻守の逆転をねらい、カウンターレシーブやクロススマッシュなどで得点。桃田は、風の影響でラインジャッジを見誤り、さらにはスマッシュがサイドに外れる場面が何度も見られ、リードを許した。会場は、ギンティンを応援する空気感が漂い、桃田は難しい環境下での対応を迫られると、10-14から際どいヘアピン合戦を制して17オールまで追いつく。しかし、再びギンティンに突き離され、最後は桃田のスマッシュがアウト。17-21でゲームを落とした。
第2ゲームは、桃田がネット前へ執拗に球を落として主導権を握りにいった。ただ、勢いのあるギンティンが鋭い飛びつきや、切れ味のあるジャンピングスマッシュで会場を沸かせると、激しいラリーの中でネットインなどが生まれ勢いづく。桃田は9-5から7連続失点で逆転を許し、その後は一進一退。それでも桃田は、スマッシュをレシーブされて追い込まれながらも、ヘアピンを駆使して攻撃権をキープ。終盤は、ギンティンのスマッシュを好返球してテンポアップ。焦りを見せずに丁寧さで勝負した桃田に対して、ギンティンがミスを重ねて21-17。桃田がゲームを取り返した。
ファイナルゲームも大接戦。桃田がスピードを上げたが、ギンティンも負けじと持ち味のスピード勝負で応戦。前半はギンティンの気迫がネットインを呼び込み、桃田は5-11での折り返しを強いられた。だが、頂点への妥協を見せない桃田が、再び丁寧なラリーでミスを誘い込む。すると、しびれを切らしたギンティンがミスショットを連発。6-12から6連続得点で桃田が追いついた。
17-14になると、ギンティンが右足のテーピングを巻き直すための時間が2分弱取られたが、ここでも集中力を切らさかった桃田。ミスのないラリーで根気比べに持ち込み、最後は21-14で勝利。優勝をつかみとった。
大激戦を制した桃田は、2015年のスーパーシリーズファイナル優勝以来、4年ぶりの頂点到達。今季、国際大会11勝目を飾り、年間王者の名にふさわしい活躍でワールドツアーの戦いを締めくくった。
▼決勝
桃田賢斗②〔17−21、21−17、21−14〕1●アンソニー・S・ギンティン(インドネシア)87分
【女子シングルス】
決勝戦は地元中国の陳雨菲(チェン・ユーフェイ)が2−1で世界ランク1位の戴資穎(台湾/タイ・ツーイン)を破り、地元で初優勝を飾った。試合は、まったくの互角。1ゲームずつを取りあった後のファイナルゲームは、互いに主導権を譲らず大接戦に。わずかなリードを保ち続けた陳雨菲が中盤から突き放し、戴資穎が猛追する展開となったが、最後はネット前で優勢に立った陳雨菲が、相手のクリアーのバックアウトを誘って21-17で逃げきった。
▼決勝
陳雨菲(中国)②〔12−21、21−12、21−17〕1●戴資穎(台湾)58分
取材・文/平野貴也
写真/BADMINTONPHOTO