12月12日に開催されたBWFワールドツアーファイナルズ(中国・広州)2日目は、予選リーグ第2戦が行なわれた。ここではシングルスのダイジェストをお伝えしよう。
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【女子シングルス】
山口茜(上写真)が、待望の完全復調だ。第2戦の相手は、何冰嬌(中国/へ・ビンジャオ)。第1ゲームは終盤まで競って25-27で落としたが、相手に攻めさせながらもコートを広く使ってラリーを展開し続け、体力を奪った。「そんなに点も離されていなかったので、とりあえず頑張った」と苦笑いで振り返った第2ゲーム、中盤で疲弊した何冰嬌にミスが出始めると、山口がペースを奪還。21-10でゲームを取り返すと、ファイナルゲームは中盤で相手を突き放して勝利を飾った。
第1ゲームの中盤には、隣のコートで行なわれていた同じグループの試合が終了。陳雨菲(中国/チェン・ユーフェイ)が2−1でプサルラ・V.シンドゥ(インド)に勝利したことで、山口は勝てば決勝トーナメント進出が決まる状況に。そして2つ目の白星をつかんだことで、見事ベスト4進出を決めた。
前半のセッションに組まれた奥原希望は、2連勝で4強入りに前進した。第1戦で世界ランク1位の戴資穎(台湾/タイ・ツーイン)を破った奥原は、第2戦でタイの2番手、ブサナン・ンバルンパンと対戦。すると、第1ゲームから主導権を握って圧倒。前半で15-4と大量リードを奪った。その後、17-11まで点差を詰められたが、終盤は寄せ付けず21-12でゲームを先取。第2ゲームも終始、優位に展開した。「相手はシードを持っていない選手。自分の動きをしていく中で、ところどころチャンスが出てくる」と話したとおり、ドロップと強打を織り交ぜて攻撃を続け、ラリーの中から相手が甘いクリアーで逃げれば、飛びついてクロスへのスマッシュを叩き込んだ。過去7度の対戦は、2016年以降すべて勝利しているものの、7戦すべてファイナルゲームにもつれ込んでいたが、隙を見せないストレート勝ちで2連勝を飾った。
【男子シングルス】
男子シングルスのグループAを戦う桃田賢斗(上写真)は、世界選手権の決勝で破ったアンダース・アントンセン(デンマーク)と対戦。世界選手権では圧勝した桃田だったが、この日は苦戦。第1ゲームはアントンセンにリードを許し、追いかける展開。終盤に1点差まで追い上げたが、相手の鋭いカットなどで点を奪われ、19-21で先取を許した。
第2ゲームは終盤に突き放して21-15。ファイナルゲームも拮抗した展開が続いたが、最後はカウンタードライブで19点目、ヘアピンで20点目、スマッシュで21点目と連続得点で締めてガッツポーズ。試合中に日付を越えた一戦が終わったのは、現地時間で0時40分だった。桃田は「同じグループのインドネシアの選手が勝つだろうと思われていた試合で負けていた。この試合を落とすと(星勘定で)苦しくなると思って焦ってしまった」と判断が鈍っていたことを明かした。もともと、駆け引きのうまいアントンセンの術中にはまって苦戦したが、最後は丁寧なラリーで精度の違いを生かし、勝ちきった。
なお、男子シングルスのグループBは、大混戦となっている。連勝した周天成(台湾/チョウ・ティエンチェン)が優位だが、次戦で敗れると2勝1敗で3人が並ぶ可能性があり、予断を許さない。連勝の周天成が1勝1敗の諶龍(中国/チェン・ロン)を破って3連勝を飾れば、2連敗のビクター・アクセルセン(デンマーク)は、1勝1敗のアンソニー・S・ギンティン(インドネシア)に勝った場合に、1勝2敗が3人並んで2位争いをする形に持ち込むことができる。どの試合もハイレベルなショットの応酬で決勝戦並のパフォーマンス。大激戦のグループから誰が抜け出すか目が離せない。
日本勢の12日の結果は以下の通り。
▼予選リーグ第2戦(12月12日)
【男子シングルス】
◆グループA
桃田賢斗②〔19−21、21−15、21−15〕1●アンダース・アントンセン(デンマーク)83分
【女子シングルス】
◆グループA
山口茜②〔25−27、21−10、21−13〕1●何冰嬌(中国)71分
◆グループB
奥原希望②〔21−12、21−10〕0●ブサナン・ンバルンパン(タイ)38分
▼予選リーグ第3戦(12月13日)
【男子シングルス】
◆グループA
桃田賢斗 ― ジョナタン・クリスティ(インドネシア)
【女子シングルス】
◆グループA
山口茜 ― 陳雨菲(中国)
◆グループB
奥原希望 ― ラチャノック・インタノン(タイ)
▼予選リーグ第1戦(12月11日)
【男子シングルス】
◆グループA
桃田賢斗②〔21−10、21−9〕0●王子維(台湾)29分
【女子シングルス】
◆グループA
山口茜②〔18−21、21−18、21−8〕1●プサルラ・V.シンドゥ(インド)68分
◆グループB
奥原希望②〔15−21、21−18、21−19〕1●戴資穎(台湾)61分
取材・文/平野貴也
写真/BADMINTONPHOTO