12月1日に開催された第73回全日本総合選手権(東京・駒沢オリンピック公園総合運動場体育館)最終日は、各種目の決勝戦が行なわれた。ここでは女子シングルスのダイジェストを紹介しよう。
【女子シングルス】
日本A代表4選手が勝ち残った準決勝を制したのが、2015年以来、4年ぶりの優勝をねらう奥原希望(上写真/太陽ホールディングス)と、2年ぶりの決勝進出で初優勝をねらう大堀彩(トナミ運輸)だ。総合優勝に意欲を見せ続けた奥原と、目の前の1試合に集中して勝ち抜いてきた大堀の一戦は、奥原の優勝に対する意思の強さが上回った。
注目の第1ゲーム、先行したのは大堀。序盤から好リズムをつかんでポイントを奪い、6−1とリードを広げた。しかし、すぐさま奥原が7-6で逆転に成功すると、中盤以降は互いに点を奪い合うシーソーゲームの展開に。奥原が先行すれば、大堀も連続得点で主導権を譲らない。ラリースピードも一気に上がった勝負は、20オールから2連取した奥原がモノにする。
第2ゲームに入ると、熱戦の疲れが色濃く出た大堀(上写真)。「2ゲーム目の前半は体が重たく感じた」と、奥原のカットやクリアーに反応が遅れ、足が追いつかない。そんな大堀の動きを、奥原が見逃すわけがなかった。「2ゲーム目は楽になって、ようやく今大会の中で一番私らしいプレーをすることができた」と、軽快なフットワークからペースを完全掌握。的確な配球で大堀を翻弄し、21-4で頂点に君臨した。
4年ぶりの総合制覇は、国際大会を含めても今季初の優勝。五輪レースの先にある東京五輪のメダル獲得に向け「(佐藤翔治)コーチと相談しながら、強みであるフットワークを見直した」ことが、スピード強化、そして大きな自信につながっている。
「現状維持では世界に通用しない」といいきる奥原。進化の過程で手にした久々の“日本一”を胸に、再び世界の高みへと挑んでいく。
取材・文/バドミントン・マガジン編集部
写真/菅原淳