11月30日に開催された第73回全日本総合選手権(東京・駒沢オリンピック公園総合運動場体育館)5日目は、各種目の準決勝が行なわれた。ここでは男女シングルスのダイジェストを紹介しよう。
【男子シングルス】
決勝の切符を手にしたのは、桃田賢斗(上写真/NTT東日本)と西本拳太(トナミ運輸)の2人。昨年の総合ファイナリストだ。
前回王者でもある桃田は、A代表の坂井一将(金沢学院クラブ)と対戦。ベテランの坂井に対して桃田は「このレベルになると、こっちの強打をうまく利用してくる」と、カウンターを警戒。持ち味のアタックの強度をうまくコントロールしながら、第1ゲーム21-11で先制する。続く第2ゲームも、世界王者の桃田が試合を支配。相手の強打をうまくさばきながら、21-12で勝利をつかんだ。「詰め将棋のようにしてくるので、自分の反応が遅れてしまう」とは敗れた坂井。試合巧者ぶりも発揮した桃田が、2連覇に向けて前進した。
西本はトナミ運輸の後輩・常山幹太との勝負に挑んだ。第1ゲームから接戦を展開した2人。先制を手にしたのは常山だったが、第2ゲームは西本が強気に攻めて奪い返した。ファイナルゲームはロングラリーが何本も繰り広げられる好戦となり、どちらも譲らずスコアは17オール。さらに終盤も20オールとなったが、最後は西本が抜け出し勝利。4年連続となる決勝進出を決め、2016年以来の優勝に王手をかけた。
【女子シングルス】
3連覇をねらう山口茜(再春館製薬所)が、大堀彩(トナミ運輸)に苦杯を喫した。
2年前の総合決勝を争った2人が、準決勝で激突。第1ゲームは山口が21-11で制したものの、ここからスピードを上げた大堀が6連続ポイントなどで第2ゲームを奪い返す。ファイナルゲームは、互いに我慢勝負となったラリーでポイントをつかみながら試合を進め、山口が16-13とリード。このまま決勝進出か――そう思われた局面から、大堀が意地の7連続得点で逆転に成功すると、そのまま山口の追走を振り切って勝利。大堀が初優勝に向けて、2年ぶりの決勝進出を決めた。
4年ぶりの優勝をねらう奥原希望(太陽ホールディングス)は、日本ユニシスの髙橋沙也加との勝負に挑んだ。昨年まで同じチームで切磋琢磨した2人の勝負は、第1ゲームを髙橋が21-14で先制。大会を通して「コンディションはよくなかった」という髙橋だったが、鋭いカットやスマッシュを決めて奥原にプレッシャーをかける。しかし、ここから冷静に試合を運んだ奥原は、軽快なフットワークを生かして主導権を握る。第2ゲームは21-13、最終ゲームも21-11に封じて決勝に進出。「全日本のタイトルにこだわってやってきたので、その準決勝を乗り越えたのは大きい」という奥原が、2年連続で決勝の舞台に勝ち進んだ。
取材・文/バドミントン・マガジン編集部
写真/菅原淳