11月29日に開催された第73回全日本総合選手権(東京・駒沢オリンピック公園総合運動場体育館)4日目は、各種目の準々決勝が行なわれた。ここではダブルス3種目のダイジェストを紹介しよう。
【男子ダブルス】
ベスト4に順当に勝ち進んだのは、2連覇をねらう園田啓悟/嘉村健士(トナミ運輸)と、2年前の総合王者・遠藤大由(上写真・右)/渡辺勇大(日本ユニシス)。準々決勝最後の試合に登場した園田/嘉村は、全日本社会人王者の高野将斗/玉手勝輝(日立情報通信エンジニアリング)を2−0で退けて準決勝へ。遠藤/渡辺も、勢いに乗っていた市川和洋/馬屋原大樹(ジェイテクト)を、こちらも2−0のストレートで下して上位進出を決めている。
男子ダブルス注目のカードとなったA代表・井上拓斗/金子祐樹(日本ユニシス)とB代表・古賀輝/齋藤太一(上写真・左/NTT東日本)の勝負は、古賀/齋藤に軍配があがった。第1ゲームは、序盤から強気に攻めた古賀/齋藤が21-8で先制。第2ゲームは調子を上げた井上/金子と12-11の接戦となったが、ここから6連続ポイントで引き離して念願のベスト4入り。「自分たちは総合の最高成績がベスト8だったので、ベスト4には絶対にいきたかった」と古賀。齋藤も「A代表に入りたいという気持ちは本当に大きい」と、代表選考も関わる準決勝の大一番向けて、強い気持ち語った。
昨年の総合でベスト4に入っている岡村洋輝/小野寺雅之(日本ユニシス/早稲田大)は、大学生ペアとして準々決勝に勝ち残った三上楓/霜上雄一(日本体育大)を2−1で下し、2年連続準決勝進出を決めた。勝負は果敢に攻め込む日体大ペアが第2ゲームを奪って1−1としたが、ファイナルゲームは経験豊富な岡村/小野寺が持ち直し、21-17で勝利をつかんでいる。
準決勝は園田啓悟/嘉村健士と古賀輝/齋藤太一、遠藤大由/渡辺勇大と小野寺雅之/岡村洋輝が激突する。
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【女子ダブルス】
福島由紀/廣田彩花(アメリカンベイプ岐阜)、髙橋礼華/松友美佐紀(上写真・右/日本ユニシス)、松本麻佑/永原和可那(北都銀行)の3ペアが順当に準決勝に進出。準々決勝屈指の好カードとなった櫻本絢子/髙畑祐紀子(ヨネックス)と志田千陽/松山奈未(再春館製薬所)のB代表対決は、先週の韓国マスターズ優勝で勢いにのる志田/松山が制してみせた。
志田/松山(上写真・左)は立ち上がりから攻め込まれて、第1ゲームを16-21で落とす苦しい展開。第2ゲームも出だしから2−7とリードを許した。しかし、ここでねばり強さを発揮した志田/松山。「リードして余裕が出たところのレシーブで、簡単に上げてしまった」(高畑)という相手のスキを見逃さず、持ち味の低空戦に持ち込み逆転。第2ゲームを21-19で制すと、最終ゲームも同様に出だしで先行される展開から追いつき、最後は21-18。「最後に2人で攻め続けたのがすごくかみ合った」という志田/松山が、実力ペア同士の見応えのある勝負を制して初の総合ベスト4を決めている。
準決勝は福島由紀/廣田彩花と志田千陽/松山奈未、髙橋礼華/松友美佐紀と松本麻佑/永原和可那が激突する。
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【混合ダブルス】
総合2連覇中の渡辺勇大(上写真・左)/東野有紗(日本ユニシス)が貫禄の勝利で準決勝に進出。相手はB代表の山下恭平/篠谷菜留(日本体育大/日本ユニシス)だったが、前半から主導権を握ったのが渡辺/東野。「スペースを見つけて無理のない展開の攻撃を多くつくることができました」(渡辺)と、相手の攻撃を堅いディフェンスでさばきながら、強打で攻めきり勝利をつかみとった。
一方、第2シードの保木卓朗/永原和可那(トナミ運輸/北都銀行)は、全日本社会人王者の西川裕次郎/尾﨑沙織(NTT東日本)と対戦。第1ゲームを奪った保木/永原だったが、第2ゲームを21-23で落とした直後にキケン。保木の右肩痛(大会発表)により、西川/尾﨑が準決勝へと駒を進めた。
期待の若手ペア、緑川大輝/齋藤夏(早稲田大/ACT SAIKYO)も、大学生ペアとファイナル勝負にもつれた試合を制して準決勝進出。試合後は満足のいく表情を見せなかったが、地力の強さ発揮してベスト4を確保した。三橋健也/松田蒼(日本大/日本ユニシス)と金子祐樹/中西貴映(日本ユニシス)の勝負は、今年の日本ランキングサーキット準優勝の実績を持つ金子/中西が制して、準決勝進出を決めている。
準決勝は渡辺勇大/東野有紗と緑川大輝/齋藤夏、西川裕次郎/尾﨑沙織と金子祐樹/中西貴映が対決する。
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【選手コメント】
3日目(11月28日)
2日目(11月27日)
初日(11月26日)
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記者会見(11月25日)
桃田賢斗、園田啓悟、嘉村健士のコメントはこちら
取材・文/バドミントン・マガジン編集部
写真/菅原淳