日本一を決める「第73回全日本総合選手権」が、11月26日に開幕した。今年も東京・駒沢オリンピック公園総合運動場体育館を舞台に、12月1日の決勝戦まで熱戦が展開される。大会3日目の28日は、各種目2回戦を実施。ここでは、男子シングルスの注目選手のコメントを紹介する。
結果:2回戦、丸尾亮太郎(日立情報通信エンジニアリング)に2-0で勝利
「昨日はすごく緊張したんですが、今日は2日目で慣れもありますし、リラックスして試合に入れました。また最初からリードできたので、つねに主導権を握って進めることができました。昨日の相手に対しては、ツイッターなどで情報を集めましたが(笑)、今日の相手は過去に何度も対戦がありますので、そのへんもリラックスして試合ができた理由かもしれません。対戦経験がある相手ということで気が楽になり、また観客席を見ると会社の方の応援が目に入り、心強かったですね。
サウスポー同士での対戦はリズムが違うところはありますね。上からのショットが独特ですし、右利きのバックに返したつもりだと左にはフォアになりますから、強打されてしまいます。ですから、チームとしても左対策の練習はしています。とはいっても、明日の相手も左なんですよ(笑)」
結果:2回戦、小野寺裕介(日本ユニシス)に2-0で勝利
「相手(対戦相手は昨年の全日本総合2回戦で敗れた小野寺選手)が強いことはわかっていますし、厳しい戦いになることは覚悟して入ったので、自分のペースだけは乱さずに、相手が我慢しても自分も負けじと我慢していこうと。強い気持ちで臨みました。
大学を卒業して、ここ一年で、練習の質も上がりましたし、海外での試合の経験値も豊富に積めている中で今大会に臨めています。去年は最後に我慢しきれずに、相手のペースになって勝ち逃げられたという感じでしたが、今年はそこを反省して、自分のペースでプレーできるようにやれたのがよかった。そこが、この一年の成長かなと思います。
(明日、対戦する桃田賢斗選手については)同じチームメートとして、また先輩としてすごく尊敬しています。ただ、その中でも追いつきたい存在であり、追い抜きたい存在。すごくいろんな感情が入り乱れているんですけど、明日は桃田先輩に勝つつもりでいきます。
中学(富岡第一中)、高校(富岡高)と一緒で、ずっと対戦したいと思っていましたが機会がなくて、公式戦では大学3年のとき(2017年)日本ランキングサーキットで対戦した一度だけ。そのときは、1ゲーム目は競りましたが19本、2ゲーム目は半分で負けました(19-21、7-21)。日頃の練習では打ち合ったりしていますが、公式戦では今回が2回目になります。
ほかの選手とはタッチの速さも違いますし、速い中でも精度も高いので、練習で打ち合っていても自分がいっぱいいっぱいになることが多いのですが、練習で打ち合うことで慣れていく部分もある。チームメートとしてプレーをしているからこその戦いができるという部分もあると思います。
シンプルに、勝ちたいです。桃田先輩に勝とうと思ったら、まず自分のミスを少なくするというのがベースになってくる。そこから自分の得意なショットを出して、逆に相手の得意のショットを防ぐ。そういう戦術的なところも明日は意識してやっていきたいなと思います」
五十嵐優(日本ユニシス)
結果:2回戦、大林拓真(早稲田大)に2-1で勝利
「第1ゲームはいい形で試合に入れましたが、2ゲーム目で前半リードされたあと中盤に追いついた場面で、相手が我慢してきたとき、もう一つ自分が我慢できなかったのが、ここ最近の課題というのを感じています。ファイナルは最後追いつかれそうな場面もあったのですが、自分がもう一段階スピードを上げて攻めていけたので、そこはゲームの中で切り替えていけたのがよかったと思います。
自分は年下には絶対負けたくないという気持ちは持っていますし、相手は大学生で、自分は社会人。日本ユニシスという会社の名前を背負っているので、頑張らないといけないという気持ちでプレーしました。
毎年思っていることですが、この大会で優勝したいという思いは強いです。去年はベスト16で終わってしまって、今年はこれでベスト8に入れたのでよかったと思いますが、満足しないで、決勝の舞台をめざして一戦一戦頑張ります」
古財和輝(龍谷大職員)
結果:渡邉航貴(日本ユニシス)に2-0で勝利
「相手はプレッシャーを感じていたと思います。動きが重かったですから。2ゲーム目の中盤あたりで一本カットを入れたとき、足が出ていなかった。そういうしぐさが見えたので、いけるかなと思ってギアを上げました。
年齢を重ねて、動けなくなったとか、反応が遅くなったとは感じます。練習量も足りていません。でも、大学や家族に理解をしてもらってバドミントンができているので、やれることはやっておかなきゃと思ってやっています。今回のプレーを見て、学生たちが、自分が本気で頑張っていたらチャンスがあるということを感じてくれたらいいですね。
実は、選手をやるのはこの大会が最後と決めているんです。終わるからこその覚悟が、試合に出たのかな。(これを)もう1回やれといわれてもできないです(笑)」
取材・構成/バドミントン・マガジン編集部
写真/菅原 淳