日本一を決める「第73回全日本総合選手権」が、11月26日に開幕した。今年も東京・駒沢オリンピック公園総合運動場体育館を舞台に、12月1日の決勝戦まで熱戦が展開される。大会2日目の27日は、各種目1回戦を実施。ここでは、女子シングルスの注目試合をレポートする。
【女子シングルス1回戦】
郡司莉子(八代白百合学園高2年)②〔25-23、23-19〕0●香山未帆(筑波大3年)
郡司莉子VS香山未帆。世界ジュニア女王vsインカレ女王の対決となった試合は、女子シングルス1回戦の中でも屈指の大熱戦だった。
体の軸でしっかり回ってパワーを生み出す香山と、大きくのびやかなフォームが特徴の郡司。第1ゲーム序盤からコート奥を取り合い、あいたスペースにねらいすましたクロスショットを打ち込む。見る者をうならせる見事なラリーが続いた。
第1ゲーム終盤、郡司がリードを奪い19−13。しかし、サイドをねらったショットが次々とアウトになるなど、香山が6連続得点で19−19。20−19とゲームポイントを奪ったのは郡司だったが、香山がクロススマッシュを決めて20−20。互いに譲らぬ戦いは23−23まで続き、最後は郡司がクロススマッシュを打ち込み25−23。第1ゲームを奪った。
第2ゲームに入ると、香山がリターンを奥へと押し込んでリードを奪う。しかし、苦しい体勢からも果敢にスマッシュを打ち込む郡司が、18−18で香山をつかまえる。19点目はドリブンクリアーの打ち合いで、香山がバックアウト。続くラリーも香山のロブがバックアウトとなり、20−18で郡司がマッチポイントを迎える。
最後のラリーは、ショートサービスからのドライブの打ち合いを、香山がネットにかけてゲームオーバー。終わってみれば2-0、48分の戦いは、数字以上に中身の濃い試合だった。
◆◆郡司コメント◆◆
「去年は会場の独特な雰囲気に、自分のやるべきことが全然できず、声も出なかった。でも今日は声を出して、自分らしいプレーをやろうと思ってコートに入ったので、前半からそれがうまくいってよかったです。
(大学女王が相手でしたが)相手のほうが勝たなきゃいけない気持ちがあったと思います。自分はリードされても焦りはなかったし、気持ちに余裕がありました。逆転するのも自分のいいところの一つ。自信を持って自分からどんどん攻めていけたのがよかったです。
明日の2回戦の相手は、あこがれの山口茜選手。女子選手がやらないようなプレーをするところとか、観客の方が『おー』となるようなプレーをするのがすごい。自分のいいところは、コースを突いたライン際のスマッシュと、相手より先に自分から仕掛けていくことと。明日は自分からどんどん仕掛けて、自分のいいところを出していければと思います」
取材・文/平田美穂、バドミントン・マガジン編集部
写真/菅原 淳