11月15日に鹿児島県指宿市(指宿総合体育館)で開幕した『JTB S/JリーグⅡ2019』は、17日に大会最終日が行なわれた。男女8チームによる2複1単・総当たりでのリーグ戦は、3日間の短期決戦。今季は、毎年2月に開催されるS/Jリーグ最下位とS/JリーグⅡ優勝チームによる入替戦を実施しないため、S/JⅡを制したチームがそのままトップカテゴリーのS/Jリーグに自動昇格する。ここでは、日立化成が優勝を果たした最終日の女子ダイジェストをお伝えしよう。
2日目のダイジェストはこちら
【女子ダイジェスト】
2日目までに5試合を戦い、昨季S/Jリーグを戦った日立化成(写真)と、前回のS/JⅡで2位の好結果を残したPLENTY GLOBAL LINX(プレンティグローバルリンクス)が5連勝。優勝争いは、この2チームにしぼられていた。
日立化成は最終日(2試合)の初戦・百十四銀行との勝負を3−0で先に制し、三菱電機と戦うプレンティにプレッシャーをかける。そのプレンティも、日立化成との直接対決まで負けられない状況のなかで、強敵を相手に3−0で勝利。日立とプレンティが全勝で最終戦に臨んだ。
6勝同士の対決は、勝ったチームが優勝&S/Jリーグ昇格が決まる一戦。勝負の行方を決める重要な第1ダブルスには、日立がエースの本田恵利奈/清水望を起用し、同じくプレンティも4戦全勝の村上晃/早川紗保里で先手必勝をねらう。すると、第1ゲームを日立の本田/清水が奪うも、第2ゲームはプレンティの村上/早川が19本で取り返し、接戦の1−1でファイナルゲームに突入する。
負けられない勝負、後半にスピードを上げたのは本田/清水だ。第2ゲームを落とし「気持ちが少し空回りしていた」と本田は振り返ったが、切り替えて挑んだ最終ゲームは積極的に仕掛けて21-11。日立化成が大事なポイントをつかみとった。
シングルスは、昨季トップリーグで経験を積んでいる舟橋佳歩で勝負に出る日立に対し、プレンティは北都銀行から加入した中村優里で逆転勝利をめざす。その二人はS/Jリーグで昨年対戦しており、このときは舟橋が2−0で勝利。しかし、「相手も勝ちたい気持ちは一緒。前回の勝利は意識せず、イーブンだと思って試合に臨んだ」と舟橋。その気持ちは第1ゲームに現れた。積極的に仕掛ける中村の攻撃を冷静に受けながらミスを誘い、舟橋が21-15で先制。第2ゲームも好機を確実に得点に結びつけた舟橋が21-16で制し、日立化成が勢いのあるプレンティを抑えて全勝優勝を決めた。
2年前のS/JⅡでは上位2チームが昇格だったため、準優勝の日立化成がトップリーグの切符を手にしていた。しかし、初参戦の戦いはブロックで1勝を挙げるも、ゲーム率の差で5位。順位決定戦でも敗れ、無念の最下位に終わっていた。入替戦でも広島ガスに敗れ、降格の悔しさを味わっただけに「2月(入替戦)の苦い思い出から、選手はここまで辛い練習をやってきた」と日立化成の長澤部長兼監督。また、S/J昇格はもちろん、チームとしては優勝の二文字にもこだわった。「2年前は2位で昇格。ラッキー昇格ではなくて、ちゃんと結果を残して上がろうとしました。ですから、チームにとっては今回が初優勝。本当によかったです」(長澤監督)
歓喜の優勝を遂げた日立。その立役者となったエースの清水は「私たちは2部を何回か経験しているので、今回は7試合のペース配分を考えることができた。それがあって、最後まで勝ち抜けたと思います」と、追われる立場でも経験を生かし白星を並べた。短期決戦の厳しさを知る日立化成が文句なしの優勝を手に、再びS/Jリーグに挑む。
■女子リーグ最終順位
1位 日立化成(7戦0勝)
2位 PLENTY GLOBAL LINX(6勝1敗)
3位 丸杉(5勝2敗)
4位 三菱電機(4勝3敗)
5位 東海興業(2勝5敗)
6位 Cheerful鳥取(2勝5敗)
7位 百十四銀行(1勝6敗)
8位 JR北海道(1勝6敗)
7位・8位はマッチ率、5位・6位はゲーム率による
■表彰選手
最高殊勲選手賞
本田恵利奈(左)/清水望(日立化成)
殊勲選手賞
石橋麻美子(左)/ロシタ・エカ・プトリ・サリ(日立化成)
新人賞
落司実瑠(百十四銀行)
敢闘選手賞
村上晃/早川紗保里(PLENTY GLOBAL LINX)
※閉会式に参加できなかったため写真はなし
取材・文/バドミントン・マガジン編集部
写真/江見洋子