8月19日より開催されている『第25回世界選手権』(スイス・バーゼル)。大会4日目の22日は、各種目の3回戦が行なわれている。ここでは、男子シングルスの桃田賢斗、西本拳太の試合をレポートする。
西本は、ファイナル20-20にもつれる接戦の末に敗れ、目標とした8強入りにあと一歩届かなかった。
リー・ジジャ(マレーシア)との対戦は、どちらに転んでもおかしくない白熱の一戦だった。第1ゲームはラリーをつなぎながらの探り合いで、スローペースの中から好機にスマッシュを決めにいったジジャに奪われたが、第2ゲームは「ペースを立て直した」という西本が奪い返す。
ファイナルはスピードを上げてきた相手に序盤で先行を許すも、西本も食らいつく。一進一退の展開で、17-17から3連続得点を許してジジャにマッチポイントを握られるが、相手のミスも絡めて20-20と追いつき、さらに「いい意味で開き直っていた」という西本は「上から打っていこう」と、勝負を決めにかかる。強打で追い込み、ネットへ。チャンスでプッシュを決めにいったが、ジジャがスーパーレシーブ。最後はネット前の攻防で、ワイパーショットを決められた。
「この大会を通して、自分の力を出せたと思う。その中での最後の2点だった。この2点も近いようで遠い2点。そこをこれから突き詰めていきたい」と西本。勝利まであと一歩としただけに当然悔しさはあるはずだが、前を向き、この敗戦を糧にすることを誓った。
桃田の対戦相手は2回戦で林丹(リン・ダン/中国)を破ったインドのプラノイ・H.S。試合開始序盤から桃田らしい精度の高いショットを見せたものの、対戦相手も即座に強打で得点を挙げるなど、なかなか思うようにペースを引き寄せられない。「相手の動きもよかった」というように、早いタッチで球をとらえるのも難しく、第1ゲームは19-19までもつれる。
しかし、そこからはプッシュ、スマッシュとスピードを一気に上げて連続得点。結果的に、この第1ゲーム終盤で一気にペースを引き寄せられたのが大きかった。
「相手の出方を見ることで自分のプレーがぶれて、消極的になってしまったところがありましたが、そこで置きにいかずにプッシュにいけたというのは、体が動けている証拠だと思う」と桃田。「もっと早いタッチで触って、攻撃していかなければいけない」という明日以降の課題は残したが、緊迫したゲーム終盤でのプレーにはある程度の手応えを得たようだ。
王者に対する周囲からのマークは変わらず厳しいが、「(相手は)向かってくる感じはありますけど、絶対に勝つという気持ちは自分のほうが相手よりも強かったと思う」ときっぱり。準々決勝では、西本を破ったリー・ジジャ(マレーシア)と対戦する。
取材・文/バドミントン・マガジン編集部
写真/菅原 淳