8月18日に開催されたヨネックス秋田マスターズ(Super100/秋田市)は、各種目決勝戦が行なわれた。日本代表やS/Jリーグ所属の選手などが出場した今大会で、日本勢は5種目で決勝に進出している。ここではダブルスの決勝戦をダイジェストでお伝えしよう。
【女子ダブルス】
2連覇をねらう櫻本絢子(写真右)/髙畑祐紀子が登場した女子ダブルス。第1ゲームは出だしで5−0とした日本ペアが先行。ドライブなど速い展開で相手を押し込みポイントを奪う。スピードに慣れてきた相手に一時は12オールとされたが、積極的に前に入った高畑が櫻本の攻撃につなげて、第1ゲームを21-17で先制した。
第2ゲームに入ると、意地を見せるインドネシアペアの勢いが増した。「相手は低い展開が得意。そこに私たちが引いてしまった」と櫻本。レシーブで苦しんだ日本ペアが押し込まれ14-21。ファイナルゲームに突入する。
そのラストゲームは、「ファイナルゲームの前半は飛ぶコートだったので、そこでポイントを稼ごうと思った」(櫻本)という日本ペアが、序盤から攻勢を仕掛ける。主導権をつかみながら11-8。チェンジ・エンズしてからは、風下のコートでもしっかりショットを沈めながら連続得点を奪った。15-10まで点差を広げると、その後の相手の追走をしっかり振り切って21-15で勝利。「優勝してホッしています」という櫻本/髙畑が、大会2連覇を飾った。
▼決勝
櫻本絢子/髙畑祐紀子②〔21−17、14−21、21−15〕1●マルワー/シャイカー(インドネシア)73分
【男子ダブルス】
前半から激しい打ち合いとなった男子ダブルス決勝戦。元世界王者でもある張楠(ツァン・ナン/写真右)と、若手の欧烜屹(オウ・シュアンイ)のペアで決勝に勝ち進んできた中国ペアは、勢いそのままに大会初制覇をねらう古賀輝/齋藤太一に迫った。
戦前、「張楠は世界一を取ったことがある選手。ラリーでもミスが少ない」と警戒していた日本ペア。試合もその言葉通り、前半から張楠が巧みなラケットさばき、そして的確なポジション取りで強打を誇る欧烜屹のスマッシュを導く。「相手は張楠選手が前に入って速いタッチで落とし、欧烜屹が後ろから速いスマッシュを打つ形を徹底していた。そこに引いてしまった」と齋藤。レシーブで応戦するが、角度をつけて左右に打ち分ける相手のアタックになかなか対応できない。前半こそ8-11とした日本ペアだったが、後半は14-15から引き離され、14-21で第1ゲームを失った。
第2ゲームに入ると、風上から速い攻撃でポイントをねらった古賀/齋藤。ドライブ合戦から緩急つけてポイントをつかみいったが、点差を広げるまでにはいたらない。相手も強打を緩めず攻め込み、スコアは14オール。さらに速いタッチの勝負が続くと、集中力を増したのが中国ペア。勝負所では張楠/欧烜屹が確実にポイントをつかんでリード。古賀/齋藤もねばり強く19オールまで持ち込んだが、最後は振り切られて19-21。「最後のあと1点、2点が取れないのが課題」と古賀が振り返る一方、「最後は気持ちで押しきりました」と中国の欧烜屹。終盤の接戦を制したベテランの張楠も「最近ペアを組みはじめての優勝。素直にうれしいです」と喜びを語っている。
▼決勝
張楠/欧烜屹(中国)②〔21−14、21−19〕0●古賀輝/齋藤太一42分
【混合ダブルス】
ペアとして国際大会では初の決勝に臨んだ山下恭平/篠谷菜留。相手は韓国のベテラン・高成炫(写真手前)/嚴惠媛だったが、第1ゲームは相手の圧力にやられた。高成炫の強烈なスマッシュに打開策が見つからず、10-21で先制を許した。
「最初から最後まで相手のペースで進んでしまった」と篠谷。第2ゲームに入ると篠谷が積極的に前に入って攻撃展開を生んでいたが、なかなか韓国ペアを崩せない。好ラリーに持ち込んでも、最後は巧みな配球、カバー力をみせる高成炫に押し返されてポイントを失った。
それでも、後半は山下のスマッシュを打ち込むシーンが増え、一時は6-14と大差をつけられた状況から14-15まで接近。再び離され最後は17-21で敗れたが、「女子同士の勝負ではやれた部分もあった」(篠谷)、と課題だけではなく収穫もあった。ペアとしての準優勝には「B代表なので上のグレードにはなかなか出られない。だからこそ、こういう機会で準優勝の成績が残せたので、この経験を今後に生かしたい」(篠谷)と、次戦に向けて前を向いた。
▼決勝
高成炫/嚴惠媛(韓国)②〔21−10、21−17〕0●山下恭平/篠谷菜留34分
取材・文/バドミントン・マガジン編集部
写真/井出秀人