『週刊ヤングジャンプ』(集英社)で連載中のバドマンガ『シャトルアイズ』と『バドミントン・マガジン』のコラボ企画! 整体師の息子の鎹項羽(かすがい・こうう)が“目のよさ”を武器に成長していく『シャトルアイズ』は、ただおもしろいというだけでなく、上達に役立つヒントやノウハウがたくさん描かれています。そこで、元全日本総合王者であり、現在は理学療法士の資格を持ち選手の身体を“診る”プロである片山卓哉氏に、パフォーマンスアップにつながるポイントをシーン別に解説していただきます。第1回は、項羽がバドミントンを始めるまでの第1話~第3話をクローズアップ!
※本稿はバドミントン・マガジン7月号(P72-74)に掲載中の記事を編集・再録したものです。より詳しい内容はバドミントン・マガジン7月号をチェックしてください。
【あらすじ(第1話~第3話)】
中学3年生の主人公・鎹項羽。整体師の息子で、体を見ることで動きのクセがわかる“目のよさ”を持っていた。自分がスポーツを本気でしたことがないことに悩む中、整体院にバドミントン元五輪メダリストが現れて、同い年の世界ジュニアチャンピオン・四乃流星(しの・りゅうせい)の試合を見に行くことに。そこで項羽は、流星の動きを見て、何を打つか先読みする能力を披露する。そのことを知り興味を持った流星が、項羽に試合を申し込んでコートでシャトルを交えた。項羽は1点も取れなかったが、すっかりバドミントンの虜に。そして流星に「バドミントンやれば?」とすすめられ――。
★『シャトルアイズ』試し読みはこちらから★
【解説】片山卓哉
かたやま・たくや●1972年、静岡県生まれ。越谷南高、中央大を経てNTT東日本に入社。96年、2000年に全日本総合男子ダブルスで優勝。引退後は理学療法士の資格を取得し、総合病院などで勤務。様々な競技のトップ選手の身体作りにアプローチしながら、バドミントンの講習会なども積極的に行なう。16年に独立し、埼玉県川口市に『コンディショニングルームKATAYAMA』を開業。 バドミントンを中心に、初心者から日本代表クラスまでの身体作りをサポートする。
【シーン①】
流星の試合(体)を見て瞬時に何を打つか読む項羽<第1話>上達Point①
試合映像を”スロー再生”で
見て分析すべし!
バドミントンでは、試合を優位に運ぶためにも、相手のショットやコースを読むことに長けているのは大きな強みです。項羽のように“見て”何を打つかを瞬時に言語化するところまでいくのは難しいですが、相手の体を見て、感じて、予想するという部分は、現実世界でも鍛えていけば可能でしょう。
鍛え方の一つの例として、対戦相手の試合のビデオを見る。それも、ただ見るだけではなく、スローで再生してクセや得意なコースなどを繰り返し見て覚えておけば、試合でもある程度予測できるようになります。もしそれで、何を打つか限定するところまでいけなくても、相手が”何を打たないか”ということがわかるだけでも大きいです。
【シーン②】
流星を相手に、なんとか1点を取りたい項羽。
流星の体の一部(腰)に着目したことで、
ネット前への球を読んで返球に成功<第2話>
上達Point②
ビデオ分析ではヒザの向き、
肩の動きなどをチェックせよ!
選手は相手のフォームやクセを見てスマッシュのような強い球とドロップなどの弱い球を印象的に見分けますが、項羽は腰のひねりに着目。体の一部分に注目し、相手が何を打つかの判断基準にしています。
動画をスロー再生する際、項羽のように、見るポイントを絞るのもオススメです。たとえば、打つときのヒザの向き、肩の動きなどに着目すれば、相手の配球パターンからコースを読むだけでなく、相手の体の一部を見て、感じて、何をどこに打つかを判断する能力が高まるでしょう。
ビデオ分析を繰り返すことで、情報が増えるだけではなく、見る力、感じる力が高まり、勝つ確率の高いバドミントンをめざすことができます。
【次ページはこちら】短期連載第1回Point③「治療の時期はパフォーマンスアップの分岐点」、Point④「上達のヒントは生活動作にあり」
☆『シャトルアイズ』試し読みはこちら☆
取材・構成/バドミントン・マガジン編集部
協力/『週刊ヤングジャンプ』(集英社)